第8話 二人三脚

まずは、以前の「青春レモン」を読み返した。

「えーと、どこから狂いだしたかな・・・」

すると、ルナが声をかけてきた。


「パパ、原稿見せて」

「ああ」

そういって、ルナに渡す。

ルナは、最初から読んでいた。

(えらく、真剣だな)


「パパ」

「何?」

「この作品、最初から書き直して」

「最初から?」

「でないと、また失敗すると思う」

お前は編集者か?口はしなかったが、そう思った。


でも、ルナの言う事はもっともだ。

1から書きなおしたほうがいいだろう。


「わかったよ。そうする」

「うん。ありがとう、パパ」


で、書き直す事にしたのだが、

最初の出だしは、ルナ視点だったな・・・

「そこは、幸一くんからの視点にしてみて」

「えっ」

「パパも気付いていると思うけど、真の主役は幸二くんでしょ?」

「ああ」

確かにそうだ。前回は悪い意味で、成長してしまったと思う。

反省点だ。


「私は、幸一くんの補佐役なんだから、幸一くんを表に出してみて」

「わかったよ」

こうして出だしを書き直した。


『僕は、いつもクラスの隅にいる、。

ここが居心地がいい。


僕は他人を受け入れる事ができなかった。

いや、自ら避けていた・・・』


「パパ、そこまではいいよ。その調子で続けて見て」

「うん」

こうして、共同作業が始まった。


作品の最初の読者は、自分を除けば、編集者でもなく、

作品の登場人物かもしれない・・・

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