第6話 登校初日
僕の高校は歩いて20分の所にある。
近いという理由で、そこを選んだ。
学校での僕は、あまり人と話さない。
どちらかと言えば、友達はいない。
周りも僕に関心はないだろう。
それでよかった・・・よかったのだ・・・
でも・・・
ルナを連れて高校に行く。
既に段取りは済ませているので、職員室で先生に預けた。
「雅彦くん、後で会えたらいいね」
そっか、ここはパパは禁物か・・・
で、もう放課後までは、会う事もないと思っていたのだが。
でも、ここは運命のいたずらが起きる。
いつものように、教室の隅でじっとしていると、先生が入ってきた。
ちなみに男性。花の独身。
名前は、何だっけ?
一緒にルナを連れて・・・
「みんな。今日から、みんなと勉強する押見ルナさんだ。仲良くするように」
「ハーイ」
生徒が声をそろえて言う、小学生だなまるで。
「先生、押見くんと同じ苗字ですが、偶然ですか?」
「ああ、押見の従妹だ。」
クラスの眼が、こっちに向く。
「雅彦くん、同じクラスだね」
ルナが手を振る。
勘弁してほしい。
「先生、どうしてルナさんは、制服が違うのですか?」
「ああ、これは少しの間だからだ。見逃してやってくれ」
「ハーイ」
かわいいと、何をしてもいいのか?
そして、席は僕の隣になった。
「雅彦くん、よろしくね」
「ああ」
微笑むルナ。
どうなるんだ、一体・・・
休み時間、ルナの周りに人だかりができた。
あっと言う間に、溶け込んだようだ。
クラスの男子がこっちに来た。
「なあ、押見、ルナさん、紹介してくれよ」
「僕が行かなくても、すぐに仲良くなれるよ」
「なあ、彼女にしてくれよ」
「やめとけ・・・エンゲル係数が高い」
何とかして、ルナに悪い虫がつかないようにした。
そのためか、いつもよりクラス連中との会話はあったと思う。
でも、帰宅してからが、大変なんだよな。
小声でルナが言ってくる。
「パパ、帰ったら、がんばろうね」
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