デモンストレーション
“ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)”、初戦闘
※時系列などは架空のものです。間違いなどございましたら、ご指摘いただきたく存じます。
「まさか、こいつで日本の空を駆けるとは思わなかったぜ……」
「まあ、仕方ないわね。もっとも
「けど、スクランブルには気を付けないとな。もっとも、オレが本気出せば『味方だ』って言い張れるはずだけどさ」
「けれど、そんな事をされれば
透明化した機体のコクピットで、三人の会話が弾む。
だが、それを最初に制したのはディノだった。
「そろそろあの人が見えるよ。重機製のロボットで奮戦してるはずだ」
その言葉を聞いたヴァイスは、最大望遠で確認する。
そこには、黄色と黒の機体がエリダーナ7機と交戦していた。
「あんな継ぎ接ぎの機体で、よくもあそこまで……」
「けど、
「わかっているわ。ディノさん、高度を限界まで落として」
「うん、ヴァイスさん!」
ディノの操作で、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)が急降下する。程なくして、着地した。
「光学迷彩、解除するわ」
ヴァイスが魔術を解除し、白い機体が姿を現した。
「あいよ! 行くぜゴリラども!」
地面を疾駆するランフォ・ルーザ(ツヴァイ)。
最も近いエリダーナを狙い、9mもの剣を振り下ろす。
「まずはお前だ!」
剣がオレンジ色の光を纏い、同時に紫の煙を発する。龍野の能力により、切れ味と重量が増加したのだ。
重い金属音が響いたと思えば、エリダーナは機体の中心を切り裂かれ、真っ二つになっていた。
「まず一つ!」
撃破を確認した龍野は近くのエリダーナに狙いを定め、機体を疾走させる。
「ヴァイス、アレを頼むぜ!」
「わかったわ」
ヴァイスが機体にイメージを送る。
と、みぞおちの装甲の一部がカパッと音を立てて、開いた。
「頼むわね!」
そして、内蔵された機関砲が咆哮した。
胸部に次々と穴を開け、やがてエリダーナの胸から紅い飛沫が飛び散った。
「うっ……次だ」
「嫌なものを見せてしまったわ。ごめんなさいね、龍野君、ディノさん」
「オレはへっちゃらだよ、ヴァイスさん」
「とにかく、次だ!」
龍野は自らを鼓舞するように叫ぶと、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)に剣を構えさせる。
「速攻でカタつけるぜ!」
ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)の剣先から、オレンジ色の
3機目のエリダーナは回避する暇も無く、爆散した。
「龍野君、派手に暴れなさいな!」
「おうよ!」
龍野は話しながら、光剣を構えて接近してきたエリダーナに盾を突き立てる。
「もういっちょ!」
そのまま盾の先からも
「それじゃあ、お前もサヨナラだぜ!」
盾に魔力を纏わせ、風穴の空いたエリダーナを切り裂く。これで5機目だ。
「龍野君、右から砲撃が!」
ヴァイスの警告に、素早く反応する龍野。
「飛ぶよ!」
ディノがとっさの判断で、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)を飛翔させた。
その直後、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)のいた箇所を47mmや76.2mm砲弾が通り過ぎた。
「この際だから、アレを使いたいね龍野!」
「ああ、アレか! いいぜ!」
「私も魔力を捧げましょうかしらね」
戦闘中だというのに、ノリノリの三人である。
「「せーのっ!」」
だが、号令一つで呼吸を合わせた。
魔力と霊力が流れ、一点へと集中する。そして――
兜の赤い宝石から、一筋の
エリダーナの1機を直撃し、瞬く間に胸部を貫通する。同時に、爆散した。
「さて、後1機……」
「逃げるよ!」
「逃がしませんわよ! 龍野君、お願いね!」
ヴァイスがランフォ・ルーザ(ツヴァイ)に魔力を送り、機体をテレポートさせる。
「終わりだ!」
そして龍野の号令で、魔力を纏った剣が振り下ろされ――しかし、光剣に阻まれる。
「おっと!」
だが、龍野はそのまま剣を押し込み続ける。
やがて、みぞおちの装甲が開いた。
「今度こそ終わりね」
ヴァイスの号令の直後、
肩関節を25mm砲が集中的に削り取り、光剣を構えた腕がぐらりと揺れる。
「などとカッコはつけたけれど……」
「サンキュ、ヴァイス!」
その隙を逃さず、龍野が仕切り直す。
真横から真一文字に振るわれた剣で、最後のエリダーナが爆散した。
*
「ふうっ、鋼鉄人形の操縦ってのも疲れるぜ」
継ぎ接ぎの機体をエリダーナの襲撃から助けた龍野達は、会話に興じ始める。
「あら、2年前にそっくりな機体を操縦したじゃないの」
「『ブランクがあるってのが問題』なんだよ、ヴァイス」
「おーい、二人とも! あの機体が、手を振ってるよ!」
救助した機体の挙動に気づいたディノが、二人を強引に止める。
「ほっ、無事だったみてえだな。けど……」
「一体どなたが、お乗りになっているのでしょうか? って、あら」
ヴァイスが驚いたのは、ふわりふわりと機体から降下する女性を見たからである。
「あっ、あの人――」
「知ってるのか、ディノ?」
龍野とヴァイスは一切心当たりが無い女性だが、ディノは知っていた。
「うん、知ってる。彼女は――」
その女性の名前を聞いた龍野とヴァイスは、驚愕した。
作者からの追伸
はい、我慢させられずにランフォ・ルーザ(ツヴァイ)を戦わせました。
まあ、“緊急時の切り札”を使っていないので、不完全燃焼ではございますがね。
ところで、最後のあの女性について、ブランシュ殿下から何か一言あるようですよ?
では、お願いいたします!
*
ブランシュ
「お美しい……けれども、恐ろしいですわ(編集済)叔母様!」
*
だそうです。
メタ視点で言えば……『応援コメントにあったので、こっそり採用させていただきました!』という事になります。
一足先に、採用させていただきました。
では……今回はここまで!
騎士と姫、切り離せぬ縁(えにし) 登場機体 有原ハリアー @BlackKnight
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。騎士と姫、切り離せぬ縁(えにし) 登場機体の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます