デモンストレーション

“ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)”、初戦闘

※時系列などは架空のものです。間違いなどございましたら、ご指摘いただきたく存じます。


「まさか、こいつで日本の空を駆けるとは思わなかったぜ……」

「まあ、仕方ないわね。もっともIFF敵味方識別装置は在日米軍のF-35Aのものを用いているから、誤射される可能性は低くなるはずよ」

「けど、スクランブルには気を付けないとな。もっとも、オレが本気出せば『味方だ』って言い張れるはずだけどさ」

「けれど、そんな事をされればこの子ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)が物理的に壊れるから、今は私が魔術で透明化させているのですけれど」

 透明化した機体のコクピットで、三人の会話が弾む。

 だが、それを最初に制したのはディノだった。

「そろそろが見えるよ。重機製のロボットで奮戦してるはずだ」

 その言葉を聞いたヴァイスは、最大望遠で確認する。


 そこには、黄色と黒の機体がエリダーナ7機と交戦していた。


「あんな継ぎ接ぎの機体で、よくもあそこまで……」

「けど、っといたらまずいぜ。押されてやがる!」

「わかっているわ。ディノさん、高度を限界まで落として」

「うん、ヴァイスさん!」

 ディノの操作で、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)が急降下する。程なくして、着地した。

「光学迷彩、解除するわ」

 ヴァイスが魔術を解除し、白い機体が姿を現した。

「あいよ! 行くぜゴリラども!」

 地面を疾駆するランフォ・ルーザ(ツヴァイ)。

 最も近いエリダーナを狙い、9mもの剣を振り下ろす。

「まずはお前だ!」

 剣がオレンジ色の光を纏い、同時に紫の煙を発する。龍野の能力により、切れ味と重量が増加したのだ。


 重い金属音が響いたと思えば、エリダーナは機体の中心を切り裂かれ、真っ二つになっていた。


「まず一つ!」

 撃破を確認した龍野は近くのエリダーナに狙いを定め、機体を疾走させる。

「ヴァイス、アレを頼むぜ!」

「わかったわ」

 ヴァイスが機体にイメージを送る。

 と、みぞおちの装甲の一部がカパッと音を立てて、開いた。

「頼むわね!」

 そして、

 胸部に次々と穴を開け、やがてエリダーナの胸から紅い飛沫が飛び散った。

「うっ……次だ」

「嫌なものを見せてしまったわ。ごめんなさいね、龍野君、ディノさん」

「オレはへっちゃらだよ、ヴァイスさん」

「とにかく、次だ!」

 龍野は自らを鼓舞するように叫ぶと、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)に剣を構えさせる。

「速攻でカタつけるぜ!」

 ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)の剣先から、オレンジ色の光条レーザーが放たれる。

 3機目のエリダーナは回避する暇も無く、爆散した。

「龍野君、派手に暴れなさいな!」

「おうよ!」

 龍野は話しながら、光剣を構えて接近してきたエリダーナに盾を突き立てる。

「もういっちょ!」

 そのまま盾の先からも光条レーザーを放ち、後ろにいたエリダーナを貫通、撃墜した。

「それじゃあ、お前もサヨナラだぜ!」

 盾に魔力を纏わせ、風穴の空いたエリダーナを切り裂く。これで5機目だ。

「龍野君、右から砲撃が!」

 ヴァイスの警告に、素早く反応する龍野。

「飛ぶよ!」

 ディノがとっさの判断で、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)を飛翔させた。

 その直後、ランフォ・ルーザ(ツヴァイ)のいた箇所を47mmや76.2mm砲弾が通り過ぎた。

「この際だから、アレを使いたいね龍野!」

「ああ、アレか! いいぜ!」

「私も魔力を捧げましょうかしらね」

 戦闘中だというのに、ノリノリの三人である。

「「せーのっ!」」

 だが、号令一つで呼吸を合わせた。

 魔力と霊力が流れ、一点へと集中する。そして――


 兜の赤い宝石から、一筋の光条レーザーが放たれた。


 エリダーナの1機を直撃し、瞬く間に胸部を貫通する。同時に、爆散した。

「さて、後1機……」

「逃げるよ!」

「逃がしませんわよ! 龍野君、お願いね!」

 ヴァイスがランフォ・ルーザ(ツヴァイ)に魔力を送り、

「終わりだ!」

 そして龍野の号令で、魔力を纏った剣が振り下ろされ――しかし、光剣に阻まれる。

「おっと!」

 だが、龍野はそのまま剣を押し込み続ける。


 やがて、みぞおちの装甲が開いた。


「今度こそ終わりね」

 ヴァイスの号令の直後、機関砲GAU-22/Aが咆哮した。

 肩関節を25mm砲が集中的に削り取り、光剣を構えた腕がぐらりと揺れる。

「などとカッコはつけたけれど……」

「サンキュ、ヴァイス!」

 その隙を逃さず、龍野が仕切り直す。

 真横から真一文字に振るわれた剣で、最後のエリダーナが爆散した。


     *


「ふうっ、鋼鉄人形の操縦ってのも疲れるぜ」

 継ぎ接ぎの機体をエリダーナの襲撃から助けた龍野達は、会話に興じ始める。

「あら、2年前にそっくりな機体を操縦したじゃないの」

「『ブランクがあるってのが問題』なんだよ、ヴァイス」

「おーい、二人とも! あの機体が、手を振ってるよ!」

 救助した機体の挙動に気づいたディノが、二人を強引に止める。

「ほっ、無事だったみてえだな。けど……」

「一体どなたが、お乗りになっているのでしょうか? って、あら」

 ヴァイスが驚いたのは、を見たからである。

「あっ、あの人――」

「知ってるのか、ディノ?」

 龍野とヴァイスは一切心当たりが無い女性だが、ディノは知っていた。


「うん、知ってる。彼女は――」


 その女性の名前を聞いた龍野とヴァイスは、驚愕した。



作者からの追伸


 はい、我慢させられずにランフォ・ルーザ(ツヴァイ)を戦わせました。


 まあ、“緊急時の切り札”を使っていないので、不完全燃焼ではございますがね。


 ところで、最後のあの女性について、ブランシュ殿下から何か一言あるようですよ?


 では、お願いいたします!


     *


ブランシュ

「お美しい……けれども、恐ろしいですわ(編集済)叔母様!」


     *


 だそうです。


 メタ視点で言えば……『応援コメントにあったので、こっそり採用させていただきました!』という事になります。

 一足先に、採用させていただきました。


 では……今回はここまで!

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騎士と姫、切り離せぬ縁(えにし) 登場機体 有原ハリアー @BlackKnight

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