第2話

 女は毎日写真と文章を乗せている。


 愛する夫と二人の息子たちとの生活の様子を余すことなく世界に発信している。しかし毎日発信しているだけのことはあって、目新しい投稿内容はないに等しい。


 内容の九割がパート先の愚痴、夕飯のメニューの紹介、間食用の菓子のレビューで占められている。面白くもなんともない。しかし残りの一割は生々しい本音だ。夫の帰りが遅いことや夜の誘いがないことへの不満などを漏らしている。


 私はその一割の内容が見たくて痩せていることしか取り柄のないつまらない主婦のお遊びに付き合っている。


 この女は数日前にも本音を漏らしていた。ベッドの中で夫に寄り添ったら、背を向けられたという内容だった。私はそれを見て腹を抱えて笑った。近くに彼がいたから声を殺したが、殺しきれないくらい笑いが込み上げてきて大変だった。


 私はその投稿に笑いながらコメントをした。


 『寂しいですよね。私も経験があります(/_;)』と。



 

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