32.確信
「DV!?」
その日の夜、各々が集めた情報をまとめるため、食堂のテーブルに一堂に集う祐樹たち。そして、深刻な顔をして自身が抱いている疑惑を口にした瞬間、サニアが叫んだ。斜め前に座るエリスが驚き、ビクリと肩を震わせる。
「ああ……」
頷き、ため息をつく祐樹。あまり当たって欲しくないが、昼間のマーサの様子を見て、祐樹はそう思ってならない。もしそうならば……。
「DVって……DVって……!」
テーブルに拳を着き、ワナワナと震え出すサニア。顔は恐慌で青ざめ、目は見開かれている。そしてDVという言葉を恐怖の対象の如く何度も口にし、そして震える口を開いた。
「……なに?」
ガヅンッ。力の抜けた祐樹の額が木のテーブルにぶつかって鈍い音を鳴らした。
「フッ」
ゴヅンッ。呼気と共にルーナスの拳骨がサニアの脳天に炸裂。愉快な音と共にサニアの意識は異次元の海に沈んでいった。
「……あ、あの、DVって何でしょうか?」
「そうだな。サニア|(バカ)の言葉を借りる事になるけど、俺もDVという言葉は知らない。どういう意味なんだ?」
横に座るエリスと、サニアの名をバカと呼んだルーナスに質問され、祐樹は内心でこの世界にはDVという言葉が存在しないことに気付いた。
「あぁ……せやな、軽く教えるわ」
額を赤く染めながら、祐樹は気を取り直して話し始める。
「DV。ドメスティック・ヴァイオレンスの略称で、訳すと『家庭内暴力』っちゅー意味や」
「家庭内、暴力?」
エリスが繰り返し、祐樹は一つ頷いた。
「せや。つまり、虐待。今回の場合は身体的に危害を加える、身体的虐待や」
「ちょっと待ってくれ」
と、ルーナスが片手を上げて祐樹の話を制止した。
「傷だけでそこまで判断するのは早計じゃないか? もしかしたら、日常生活の間に負った傷という可能性も……」
反論するルーナスに、祐樹はマーサがDVを受けていると思われる理由を語った。
「無論、その可能性も否定できへん。が、最初にあの家に入った時、ちょっと気になることがあったんや」
「気になること、ですか?」
横で疑問符を浮かべたエリスに、祐樹は顔を向けた。
「ところでエリス。台所の横にある棚は基本何を入れる?」
「へ?」
いきなり話を振られ、しかもこれまでの話と脈略もない話題に、エリスの脳はすぐに追いつけなかった。
「あの、それが何か……」
「ええから答えてみ?」
質問の意図が汲めず、返し聞いてみるも、祐樹は尚も問う。仕方なく、エリスは少し考えてから答えた。
「えぇっと……台所でしたら、普通は食器、あるいは調理器具とか調味料とか……食事に関連する物を収納するのが一般的だと、思い、ます……」
最後は祐樹の望んだ答えかどうか不安になり、尻すぼみになっていく。少し俯き加減になり、チラと祐樹を見上げてみた。
祐樹は笑ってはいなかった。が、真剣な顔で頷いていた。
「そうや。普通はな」
「……それがどうかしたのか?」
ホッとしたエリスに代わり、マーカスが祐樹が質問した意味を聞いた。そして祐樹は再びマーカスを見据える。
「あの家の棚の中には、食器も、調理器具も入ってへんかった。入っていたのは、夥しい数の瓶。十中八九、中身は酒や。あの家に入った瞬間、一瞬だけアルコールの臭いがした」
家に入った瞬間、鼻孔を突くかのような酒独特の臭いに、思わず祐樹は鼻を鳴らしたのを思い出す。そうして、棚を見れば埋め尽くすように収納された酒瓶の数々。これは、日常生活において、常日頃アルコールを摂取していると考えても過言ではない。
「アルコール?」
「要は、酒の臭いや」
この世界ではアルコールという言葉もないらしく、ルーナスが眉を上げる。それを祐樹はわかりやすく説明した。
「……そういえば、私も正直、あの家の臭いは独特だなって思っていました……失礼だと思って、鼻を抑えたりするのは我慢しましたけど……」
エリスが人差し指を顎に当てて、当時の事を思い出した。森の中で暮らしていた当時では、嗅ぐことはなかったアルコールの臭い。町に住む人の家はこんな臭いがするのかと思い、不快感こそあれど疑問には思わなかった。
「……けど、お酒が多いからというのと、その、マーサさんがひどいことをされているっていうのは、どうして何ですか?」
エリスの疑問に、祐樹は「それはな」と前置きをしてから答えた。
「アルコールっちゅうのは人の脳を酩酊させる効果があるんや。つまり、気分が高揚したり、体がだるくなったりと、な。その際、人によってまちまちではあるんやが、人格を大きく変えてまう人間がおる」
「人格を、ですか?」
「そう。普段から暗い人は酒を飲んで気分が昂って明るくなったり、普段は周囲を騒がせるような人が酒によって心の内に貯め込んだ愚痴を吐いて泣き出したり……或いは」
言いかけた祐樹を、マーカスが気付いたかのように口を挟んだ。
「鬱憤を晴らすために、身内に八つ当たりをするような人間がいたりする……」
「そういうこっちゃ」
首肯する祐樹。そしてエリスはハッとした。
「じゃあ、マーサさんは本当に……!」
「妻のマーサは、旦那であるマットに日常的に暴力を受けている……ということか?」
「確証はないが、状況的に恐らくな」
尭宮警察署にいた頃、刑事課の祐樹にとって管轄外ではあったが、事件の捜査中にそういった状況に置かれた人間とは少ないながらも何度か会ったことがあった。今回のマーサも、それと似たような雰囲気を感じ取った。
ただ、現段階では祐樹の憶測でしかない。あの傷が暴力を受けてできた傷なのかどうかの確実な証拠が必要だった。
「それが本当なら何とも許しがたいわね!!」
テーブルの上で伏せながら意識を飛ばしていたサニアが唐突に帰還、勢いよく起き上がって叫んだ。横でルーナスが「チッ復活したか」と舌打ちを交えて呟いたのは多分気のせいだ。
「ああ、ホンマにな。どんな理由があったとして、身内に、それも女房を怒りの捌け口にするのは間違っとる」
「……だが、少しいいか?」
再び手を上げ、ルーナスは異論を唱えた。
「確かにそれは許しがたいことではある。けど、今回の誘拐事件とは何か関係があるのか?」
言い方は冷たいかもしれないとルーナス自身も自覚はしているが、今は誘拐事件についての調査をしている最中であり、マーサが虐待されているという情報が今必要なのかどうか、ルーナスは疑問に思っていた。それは祐樹にもわかっているはず。
「……おかしいと思わへんか?」
が、祐樹は眉間に皺を寄せたまま、マーカスらを見回し、問う。
「へ? 何がよ?」
「……マットさんが、あそこまで娘に固執する理由や」
祐樹の問いかけに、ルーナスが反論する。
「おかしくはないと思うぞ? もし虐待をしているとしても、一人の親なら恐らくは……」
が、祐樹は頭を振ってそれを否定する。
「ワシは、どうもそうは思えんかった」
「な、何でですか?」
「ワシが衛兵に連絡を取ったかどうかって聞いた時、あの男は何故か狼狽えとった。その態度がどうも気になってな」
まるで、衛兵には知られたくない何かがあるかのようで。本当に些細なことかもしれないが、祐樹はそこが引っかかってならない。
「確かに、衛兵に伝えたら犯人が娘に危害がくわえるのではないかという不安はわかる。せやけど、身内に暴力を振るう男が、そんな心配をすると思うか?」
「……けど、まだマットが暴力夫だという説が本当かどうかわからないだろう? 違っていたら、アンタのその推理は的外れとしか言いようがないぞ?」
ルーナスの言い分は最もだ。涙ながらに懇願するマットの顔は、嘘をついているようには見えなかった。それに、祐樹の話はまだ完全に固まっていない憶測にすぎない。
「せや。だからこそ、ワシはこの話が真実かどうかを確かめへんとあかん」
ならば、この憶測が真実かどうかを調べるまでだった。浮かんだ疑問が解けるまで、徹底的に調べる。誘拐事件と、あの家の家庭環境。この二つは密接に関わりがあると、祐樹は踏んでいた。
マットが娘の身を案じている理由は、別にある……祐樹はそう考えていた。
外れていて欲しいとも思う。しかし、これまでの状況を鑑みれば、この説は的外れではないと、祐樹の直感が叫ぶのだ。
「……まぁ、アンタが気になるっていうなら、俺は反対しないけど」
「わ、私は、ユウキさんを信じてます」
ルーナスは若干訝しんでいたが、エリスは祐樹に全面的に協力するつもりで、両拳を胸の前でグッと握りしめて決意を新たにする。
そしてサニアはというと。
「私は前半全然聞いてなかったけど、悪党が他にもいるんならやってやるわ!!」
若干的外れではあるものの、異論はない様子だった。
「……じゃあまずはお互い集めた情報を共有しよか」
気を取り直し、話をまとめるために祐樹は提案した。
「ああ……と言っても、情報はそこまで多くはない。誘拐された場所から離れているからかもしれないが、目撃者はいなかった」
ため息交じりに話すルーナス。が、何故か隣のサニアは腕を組んで堂々としていた。
「けど、結構有力な情報は得られたわよ!」
「有力な情報やと?」
目撃証言はない。しかし有力な情報はある。どういうことだろうか? そう疑問に思う祐樹に、ルーナスが説明する。
「ああ。この町はウォルフゲートへ向かう旅人にとって中間地点、所謂休息所みたいな役割があるんだ。だから旅人はここによく訪れるし、何気に物流も盛んではある……けど、妙な話を聞いた」
「話?」
「近頃、見慣れない柄の悪い輩が町をうろついているという話だ。それも複数人。夜な夜な町を徘徊しているのを目撃されている」
「こいつらが誘拐した可能性はかなり高いわよ!」
「だから決めつけるなって言ってるだろう。まだ禄に調べてないんだからな」
「わ、わかってるわよ!」
呆れた物言いでサニアを窘めるルーナスの話を聞いて、祐樹は腕を組んで考え込む。そして、気になることを聞いた。
「……そいつらが現れ始めた時期は?」
「五日ほど前からだそうだ」
なるほど、確かにどういった連中かはまだわからないが、少女が行方不明となった日より前となると、そいつらが怪しいと見てもおかしくはない。これもまた裏付け捜査が必要ではあるが、有力情報であるには違いない。
「それで、そっちは?」
ルーナスが祐樹とエリスに話を振る。言われたエリスはビクリと肩を震わせた。
「え、えっと、その、有力なお話というのも何ですけれど、その、あの……」
しどろもどろ。話そうとするエリスの肩に、祐樹は軽く手を置いた。
「すまんな、ワシらのとこはこれといって有益な情報は得られんかった。せいぜい、売店の兄ちゃんから、道具屋の店主と同様の証言を得られた程度やな」
「それって、北西辺りで女の子に声をかけてる奴がいたって話? でも、二人も目撃者がいるんなら、その話に信憑性が増したってことにならない?」
サニアの言い分はもっともだった。道具屋の店主、そして麦芽飴を売っていた青年。二人の証言は一致している。女の子はその男に連れ去られたという話がより濃厚となった訳だ。
「まぁ、そうなんやけどなぁ……」
が、祐樹はどうもこの話に違和感があるようにして思える。そのためか、やや煮え切らない口調で頭を掻いた。
「何よ、ハッキリしないわね」
「……この証言、どうもちぐはぐな気がするんや」
サニアに文句を言われ、祐樹は自身の違和感を話した。
「ちぐはぐ?」
「ああ。女の子を連れ去ったであろう男は見た。けど、見たのは道具屋の店主、そして売店の兄ちゃん。犯行時刻は人が大勢集まるような時間帯。なのにその姿を見た人間は二人以外はいない……おかしないか?」
二人の証言が正しいのならば、二人以外の人間もその姿を目撃しているはず。だが祐樹が聞いて回った時、そんな人物は見ていないという。尚、聞いて回る際、当日の時間帯にその場にいたかという話も聞いた。それにも関わらず、目撃証言は皆無。
犯人を見たという二人。だがその他大勢は見ていない。矛盾しているのだ。
「それって……どういうこと?」
「……これもワシの憶測でしかないんやけど」
と、サニアの問いに祐樹は前置きし、顎に手を添え、語る。
「道具屋の店主と兄ちゃん以外の人間には、それこそ町ぐるみでもなければ嘘をつく理由はないし、聞いた感じ嘘をついているとも思えへんかった」
「……じ、じゃあっ」
祐樹が言わんとしていることがわかり、エリスは戸惑った。
「……目撃証言をした二人が、虚偽の証言をしとる可能性が高い」
祐樹の考えに、エリスも、サニアも、ルーナスも黙り込む。
もしそれが本当ならば、今まで自分たちが調べていたことは何だったのか。それだけではない。ようやく犯人に目星がついたと思っていたのに、嘘をついている二人の人物までもが、誘拐に関わっている人間として浮上してきてしまった。
「……それが本当ならば、もう一度情報を集め直さないといけないな」
捜査は、振り出し。ルーナスは気を取り直すため、今後の方針を提案する。
そこを、祐樹が手を上げた。
「すまんが、明日はワシとエリスにちょっと付き合(お)うてくれ。行くとこができた」
「行くところ?」
別行動を取っていたルーナスとサニアに同伴を申し出した祐樹に、サニアが眉を上げた。
「なぁに、これも情報収集や」
「あぁ、お隣の家族かい? 仲は……よくはないだろうねぇ」
翌日の朝。祐樹とエリスが訪れた場所は南東の区画の、マットの一家が住まう家の近隣住宅の前。扉から顔を出した中年女性が、少し言いにくそうに話をする。
「よくない、ですか?」
「ああ、結構前の話ではあるんだけどね。あそこの亭主はそりゃもう乱暴者でね。夜中にどっかで飲んで来たのか知らないけど、深夜なのに怒鳴り声はするわ悲鳴はするわ、子供は泣き喚くわで、衛兵が出て来る騒ぎがあったんだよ。私も気になって見てみたんだけどね、奥さん顔に大きな痣があるじゃないさ。こりゃ亭主がやったんだろうねって、一目でわかったよ」
「……最近では?」
祐樹は一字一句メモを取ってから、もう一度質問をした。
「最近は、ねぇ。衛兵に厳重に注意を受けてからは騒がなくはなってはいるけれど、どうだろうねぇ。時々鈍い音はするんだよ。ただ、子供の泣き声はしないし、今度衛兵に知られたら罪になりかねないから、やってるかどうかはわからないねぇ。もしかしたら、何かをぶつけた音かもしれないし。迂闊なことを言って、あの亭主に逆恨みされたらたまらないわ」
やはり、祐樹のマットが虐待をしているという見立ては間違っていなかったようだ。そして、衛兵に知らせるのを躊躇った理由も。マーサのあの手の火傷の跡は、見たところ新しく見えた。となると、衛兵に再び虐待をしていることがバレてしまう恐れがある。
「……娘さんに対して、亭主はどんな態度を取ってたのか知ってますか?」
「あぁ、当時の話では『泣くなこのクソガキ!』って叫んでたから、父親に対する態度じゃないよありゃ。子供に対する愛情は無いんじゃない?」
「……ふむ」
マットは娘を疎んじていた。ならば、どうして誘拐された娘の身を案じているのか。今更になって情が芽生えたのか、はたまた別の理由があるのか。
「……他に何か、気になることは?」
これ以上の情報は無いかもしれないが、淡い期待を込めて聞いてみる。女性は「うーん」と顎に手を添えて考える仕草をしつつ、思い出そうとしていた。
「……あぁ、そういえば」
「あるんですか?」
やがて、思い出した節を見せ、祐樹は思わずやや前のめりとなった。
「いやね、この頃マットとマーサ、二人とも日が暮れてからどっか出かけてるのよ」
「二人とも? 一緒に、ですか?」
「いんや、マットが出て行ってからしばらくしてマーサが、みたいにね」
「……ふむ」
それぞれ違うタイミングで、暗くなってから出て行く……確かに、気になる話だ。
「……具体的には、いつ頃から?」
「確か、マットは一月ほど前から。マーサに関してはつい最近だね。五日前かな」
「五日?」
隣のエリスが驚いたように声を上げた。五日ほど前と言えば、ルーナスが昨晩話してくれた、怪しい男たちが目撃されるようになった頃と被っている。エリスはそれを思い出し、祐樹も同様のことを考えていた。
関連性があるのだろうか、或いは単なる偶然か……少し考えたが、祐樹はそれは後で考えようと思考を切り替えた。
「何してんのか知らないけど、またここら辺で騒ぎを起こされたらたまんないよ。アンタらがどういう理由であの家族のことを調べてんのか知らないけど、厄介ごとだけは起こさないようにしておくれよ?」
「はい、肝に命じておきます。情報提供、ありがとうございました」
頭を下げて礼を言う祐樹とエリス。女性は挨拶もそこそこに、再び家の中に引っ込んで扉を閉めた。
「……予想外のところで、新しい情報が出ましたね」
「せやな。ただ、二人が日が暮れてからどこへ行ってるのか、まではまだわからへん」
腕を組む祐樹。と、少し離れた場所からこちらへ近づいてい来る足音が聞こえたエリスは、その方向へ振り返った。
「おーい」
「おぉ、二人とも」
駆け寄ってきたのは、サニアとルーナス。祐樹も気付き、声をかけた。
「どうやった?」
「ああ、アンタの見立て通りだ。やはり、あの家族は仲が良好じゃなかった」
「……やっぱりか」
ルーナスの情報に、祐樹はため息をついた。
「……その様子だと、そっちも同じみたいね」
「はい……」
サニアに言われ、エリスもまた暗い表情で肯定した。
祐樹がルーナスとサニアも同行するように言ったのは、この近辺でのマットたちの家庭環境を知る人たちから、より多く情報を得るためだ。一つの家庭の情報だけではなく、あの家族を知る人々から情報を集めることで、信憑性をより高める。
そして結果は、黒。ここまで大勢の人間たちから、マットが暴力亭主であるという認識をされていては、認めざるを得ない。
どのような理由があって暴力を振るっているかは知らないが、マーサのあの憔悴している理由は、我が娘を誘拐されただけではないことがわかり、祐樹たちは胸の内が暗くなるのを感じた。
「……それから、もう一つ気になる情報を入手した」
「気になる情報?」
一番冷静なルーナスが、やや難しそうな表情で話す。
その内容に、祐樹は内心で驚愕することになる。
「……マットの父親なんだが……どうやら、あの道具屋の店主がそうらしい」
「……何やと?」
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