30.新たな疑惑
「ふぁ……あ……」
爽やかな空気と朝の光が町を包む中、人々が各々の仕事に精を出すために家を出て、道を行き交い始める時刻。祐樹とエリスもまた、そんな人々に混じって北西の区画を目指し、喧騒と朝日に包まれながら歩いていた。その道中でエリスは口元を抑えながら欠伸をする。初めて町で寝泊まりしたおかげで興奮していたのか、まだ眠気が完全に抜け切れていないようだった。
「んー? まだ眠いんか?」
「す、すみません……よく寝たつもりだったんですけど」
「はは、しゃあないわ。初めて来た場所やとそんなもんやろ」
再び出かけた欠伸を噛み殺しながら、横を歩く祐樹に聞かれてやや俯きながら謝るエリス。それを気にせず、祐樹は笑いながらフォローした。
もっとも、エリス以上にひどかった人間がいたが。
「……にしても、ルーナスとサニアは大丈夫やろか」
「ど、どうでしょう」
今朝のことを思い出し、不安気な顔となる祐樹とエリス。太陽が昇り始めてしばらくし、食堂へ降りてきた二人が見たものは、テーブルに突っ伏して寝息をたてるサニアと、その横で早朝にも関わらずに眠気など欠片も感じさせない平然とした顔をしたルーナスが、湯気をたてるカップを口に運んでいた。手元には野菜を中心とした朝食とパンが置かれている。
聞けば、ルーナスが起きる時間にも関わらずに爆睡しているサニアをベッドから蹴落として強引に叩き起こしたという。そして寝ぼけ眼でウトウトしながらも朝食を口に運び、食べ終えるや否や糸の切れた人形のように突っ伏してしまったのだという。ルーナスは呆れ果て、もう放置する方向で行くと決めて自身の食事を始めた……と、そんな経緯を聞いた。
もはや祐樹とエリスも、何と言ったらいいのかわからなかったため、ルーナスと同じく放置する事にし、自身たちも朝食にありついた。そして食後、改めて情報収集のおさらいし、夕方に宿に集合することを約束して二手に別れた。
……結局最後まで起きなかったサニアは、「ふにゃ~……」と半ば夢の中に旅立っている状態のまま、ルーナスが襟首を掴んで引きずって連れて行った。なんだかんだで部屋に叩き込んで放置したりせずに連れて行く辺り、ルーナスも面倒見がいいのだろう。あるいは放置すれば後がうるさいという理由からかもしれないが、この際それはどうでもよかった。
「……まぁ、ルーナスがしっかりしとったら大丈夫やろ。多分」
「そうですよ、ね? ……多分」
不安は拭い切れないものの、これまでの経緯を聞いたところ、サニアが主体となって強引に動いてきたが、彼女があんな状態ならば、ルーナスが主体となって動けるだろう。短い間ではあるが、冷静に物事を運ぼうとする彼ならば、情報を集めることができるはず……というよりも、そう願うしかない。
徐々に道行く人の数が多くなってくる頃、祐樹たちは北西側の塀がある場所、行方不明となったエリーが最後に目撃されたという場所へやってきた。
「……ふむ」
顎に手を添え、祐樹は周囲を見回した。
北西側の塀近くは、中央広場が円形だとすれば、こちらは北西と北東の広場が一つとなって半円の形をした、広さだけならば中央広場よりも上の空間が広がっている。まだ朝も早い時刻であるにも関わらず、まばらではあるが人もそれなりの数がいる。壁の近くや広場の中央付近にはベンチが置かれ、憩いの場としての機能が備わっているようだった。
そして中でも異彩を放っているのは、塀の側でひっそりと建っている一つの屋台。中央広場にあるような布張りの屋根付きの屋台の下、主と思われる青年が開店の準備をしていた。
「……よし」
一言呟き、祐樹はその青年の下へ歩いて行く。エリスもその後ろを着いていった。
「ちょっとすみません」
「ん?」
祐樹が声をかけると、台の下で屈み込んで作業をしていた青年は顔を上げ、立ち上がった。ウェーブのかかった短い金色の髪をした、目尻の下がった人の良さそうな顔立ちをした青年だった。手には商品なのか、茶色の光沢のある楕円形の物体を串に刺した物を持っている。
「なんですか? これから開店準備なんですけれど……」
「あぁ、すいません。実はこう……いや、少々お尋ねしたいことがありまして」
眉を上げる青年に、祐樹は警察手帳の入った懐に手を伸ばしかけたところ、改めて言い直した。信用を得る為の警察手帳を使えないというのは、なかなか慣れない。
「訪ねたいこと?」
「ええ、ある女の子を探しておりまして……失礼ながら、あなたはここでずっと商売を?」
屋台を見て、青年に質問する。それに青年は、特に何も思う訳でもなく答える。
「ええ、5年程前からここで麦芽飴を作って売っていますが」
答えながら、台の上にある商品を並べるために幾つも空けられた小さい穴に串に刺さった飴を並べていく。日に反射して煌めくそれを、エリスは興味深そうに見つめていた。
「……因みに三日ほど前もここで?」
「はい。いつもと同じように売っていました。大体今の時間に準備してから、昼頃から夕方まで。休みの日は『ソレユの日』くらいですね」
ソレユの日とは、日本で言うところの日曜日のことだ。月曜日のリュヌの日、火曜日のフゥの日、水曜日のオーの日、木曜日のアルブールの日、金曜日のオールの日、土曜日のテールの日……という形となっている。やはり呼び名は変わっていても、この辺りは元の世界と変わらない辺り、どことなく安心感を覚える。
閑話休題。
今日は木曜日であるアルブールの日。三日前はリュヌの日であり、彼の言うことが本当ならば商売をする日だ。そして、道具屋の店主の言っていた時刻の間、ここにいたということになる。ならば、ここで犯行を目撃している可能性は高い。
「三日前、ここでピンク色の服を着た、金髪を後ろで束ねている女の子を見ていませんか? 瞳は茶色なのですが……その日から姿が見えないんです」
写真の一枚でもあれば探すのは楽なのだが、似顔絵も無い以上、外見的特徴を伝えるしかできない。身振り手振りで、どうにか特徴を説明する祐樹。
話を聞き、顎に手を添えて青年は考え込む。そしてしばらくすると、「ああ」と声を上げた。
「はい、確かに見ました」
「ホンマですか!? 何か気になったこととかは!?」
食いついた祐樹は、さらに質問を続ける。道具屋の店主の証言通りならば、彼女はここで男に話しかけられていたはず。
「ええ、三日前の昼より前かな? 人相の悪い男に話しかけられていました。ただ、僕はその時に新しい飴を作っていて手が離せなくって、目を離した隙に二人ともいなくなっていました……それからは、見ていないですね」
実際、この広場を遊び場にしていたようだ。青年の話の内容と道具屋の店主の話の内容と同じだ。
そして祐樹か感じる違和感も、また同じ。
ともかく、聞いた内容と何ら変わらずで、新たな情報は得られていない。もう少し祐樹は踏み込んでみることにした。
「他に何か……奇妙だと思ったことはありますか?」
半ば懇願に近い祐樹の質問に、青年は目尻を下げて申し訳なさそうに頭を振った。
「僕が知っているのはこれくらいなんです。お役に立てなくて、申し訳ありません」
「……そうですか」
情報を得られると思った分、内心大きく落胆する。それでも顔には極力出さないよう、なるだけ微笑みつつ頭を下げた。
「いや、お仕事中にお時間取らせてしまってすみませんでした」
「いえ、僕の情報がお役に立てればいいのですが……」
青年も頭を下げて返す。そうして、二人は改めて情報を集めるため、青年に背を向けた。
「……きっとお母さんに会いたくて仕方ないだろうなぁ……」
そんな青年のため息交じりの小さな呟きが、祐樹の背後から聞こえた。
「……結局、有力な情報は得られませんでしたね」
北西の広場に幾つかあるベンチのうちの一つ。横長の木製のベンチに並んで座り、歩き疲れた足を祐樹とエリスは休めていた。時刻は、祐樹の時計が正しければ午前11時を過ぎた辺り。二人の手には、先ほど話を聞いた青年の店で買った麦芽飴があり、時折舐めてはその香ばしい風味と甘みに癒されていた。エリスにとっては、村の祭りでもなかなか食べられない甘い物を口にして、僅かに顔を綻ばせてはいるものの、先ほどまでの情報収集での芳しくない結果に心から喜べないでいた。
得られた話というのも、『そんな少女は知らない』や、『怪しい人間なら衛兵が捕まえるだろう』といった、どれも素っ気ない、一部は真剣に答えてくれてはいたものの、手がかりになるような話を聞くことはできなかった。身振り手振りでは限界はあるものの、それでも祐樹なりにわかりやすく説明はしていたが、結果は同じだった。
「どうしましょう? 一度、お二人と合流しますか?」
サニアとルーナスならば、何か手がかりを掴んだかもしれない。一縷の望みを託し、エリスは横に座る祐樹を見上げ、提言した。
「…………」
が、当の祐樹はというと、じっと視線を真っ直ぐに、ある方向へと飛ばしていた。視線の先では、開店時間となって数人の子供たちに笑顔で麦芽飴を代金と引き換えに手渡す青年の姿。その顔は優しく、心の底から子供たちが喜んでいる姿を見て嬉しく思っているのがわかる。
そんな彼を、祐樹は麦芽飴を舐めることもせず、ただじっと、眉間に皺を寄せて見続ける。半ば睨んでいるともとられるその表情のせいで、二人が座るベンチ周りにはあまり人が寄ろうともしなかった。
そしてエリスは見た。遠くから、じっとこちらを見ている衛兵の姿を。ぶっちゃけた話、怪しまれていた。
「……あの、ユウキさん?」
少し焦り気味にエリスが声をかけても反応はない。怪訝に思いつつも、エリスはさらに声を大にして再び呼びかけた。
「ユウキさん!」
「……お、すまん。何や?」
二度目の呼びかけで応じた祐樹は、眉間の皺を消して振り向いた。元の表情に戻った祐樹に、エリスは少しホッとした。相変わらず衛兵はこちらを見ているが。
「いえ、他のお二人と合流しましょうか? って……どうかしました? 何か気になることとか……?」
「あぁ……まぁ……」
エリスに聞かれ、祐樹は再び麦芽飴を売る青年に目をやった。彼は今、嬉しそうに飴を受け取った少年の頭を優しく撫でているところだった。
「ちょいとな」
言って、飴を口に含む。そして、バリっとかみ砕き、独特の癖がある風味と甘みを感じつつ、咀嚼した。
「……合流する前に、行きたいとこあるんやけどええかな?」
「行きたいところ? いいですけど、どこへ?」
一足早く飴を食べ終えた祐樹は、串を手にしたままベンチから立ち上がった。
「女の子の母親が勤めとる、酒場や」
途中で衛兵に道を尋ねつつ、二人が訪れたのは中央広場のすぐ近くにある酒場。店の扉の上には、店名だと思われる看板が掲げられている。名前を『清き乙女亭』というらしい。宿の名前はシルバーフィッシュと英名だったのに対し、こちらはどうも訳しにくい名前をしていた。そのため、エリスに訳してもらった。やはり、まだ完全に文字を覚えたわけではないようで、今後も文字の勉強が必要だと改めて祐樹は思う。
意識が逸れた。今は、この酒場にいる人物に話を聞かねばならない。
扉を開けると、まず鼻孔をついたのは、香しい料理の匂い。店内はそれなりに広く、大きめの丸テーブルが4つ、小さな二人掛け用のテーブルが窓際に5つの計9つ、そして店の奥まった場所には低めの長いカウンターと、十分に寛げるスペースは確保されている。テーブルには老若男女、様々な人々が少し早めの昼食を摂っていた。どうやら、昼間は大衆向けの食堂となっているらしい。頭に布を巻いた恰幅のよい女性が、テーブルとテーブルの合間を縫うように料理を運んだり注文を取ったりと、忙しなく動き回っている。
「あぁ、いらっしゃい!」
祐樹とエリスに気付いた女性が、談笑する客の声に負けじと大声で出迎えてから、笑顔で二人に歩み寄ってくる。手には盆を持ち、木のコップと皿に盛られた料理が乗せられている。
「二人なんやけど」
「はい、空いている席へどうぞ」
木の床を軋ませつつ、二人は窓際の席へ案内される。席に着くと、「決まりましたらお呼びください」と笑顔を崩すことなく盆に乗った料理を運ぶために別のテーブルへと向かっていった。
「意外とええ店やな」
「そ、そうですね……」
酒場という場所に初めて入ったのか、少し緊張気味のエリス。周囲を見回していた彼女だったが、やがて身を乗り出して祐樹に小声で話しかけた。
「あの、ホントにここで働いているんですか? 夫であるマットさんに聞きに行った方が確実な気がしますけど……」
不安気なエリスに対し、祐樹は「大丈夫」と言いつつ少し笑った。
「ここに来る途中で衛兵に聞いたやろ? この町、結構広いにも関わらず、酒場はここだけや。で、あの人の職業は酒場の給仕。な?」
そう説明するとエリスは「あ」とうっかり忘れていたと言わんばかりの声が出る。それに祐樹は苦笑した。
「そういう情報は、しっかり覚えておいた方がええぞ?」
「う……すいません」
窘められ、恥ずかし気に俯くエリス。二人が話していると、ふと祐樹は自分たちが座る席まで歩み寄ってくる人物が目に入る。先ほどの女給仕とは違う、けれども二人が知っている人物だった。
「あ、あの……」
おずおずと話しかけてきた長袖の服を着た女性。祐樹たちが捜している少女の母親、マーサだった。本来なら美人であったはずの彼女の頬は相変わらずこけており、実年齢よりも老けて見えた。家で会った時と違う点といえば、給仕用としてなのか、腰にエプロンを巻き、そして手には板のような物を持っている。
「ああ、少し休憩がてら昼食をと思いまして」
頭を下げる祐樹に倣い、エリスも同じように下げる。マーサもまた会釈した。
「その……娘の捜索は……」
「すいません、続けてはいるのですが、なかなか有力な手掛かりが掴めず……」
不安気なマーサに、祐樹は申し訳なく謝罪する。実際、まだ禄な手掛かりもない以上、こうして席に着くことは不謹慎に値するかもしれない。が、マーサは咎めるわけでもなく、小さくため息をつくに留めた。
「そう、ですか……」
「……ごめんなさい」
そんなマーサに、エリスも居た堪れない気持ちになって謝る。どうにかしなければいけない状況なのは確かなのだが、やはり有力な情報が無い以上、どうすることもできないのだ。
「……そちらの方は、あれから手紙などの犯人からの接触は?」
娘が消えて三日目。そろそろ何らかの接触があってもおかしくはないと思い、祐樹は質問する。
「いえ……まだ、来ておりません……」
が、結果は思っていた事と真逆の音沙汰はなし。たかが三日、されど三日。その間、ずっと犯人からアクションが起きず、ただただ夫婦を不安に陥れるばかり。これが犯人の狙いだとしたら、許しがたい程の愉快犯である。
「……あ、あの!」
悲し気な様子のマーサに、エリスは思わず声を上げる。あまりに声が大きかったのか、店内の人々の視線を集めてしまい、ハッとして萎縮する。やがて何事もないということに気付き、店内には元の喧騒が戻る。そうしてから、エリスは再び口を開いた。
「あの……かならずお子さんを見つけます。なので、その、何て言ったらいいのか、わからないんですけど、あの……」
エリスとしては、マーサを励ましたかったのだろう。ただ、何を言っても気休めにしかならないと思いつつも、何とか励ましの言葉を口に出そうと考えてはやめてを繰り返しているせいで、狼狽えているようにしか見えなくなってしまっていた。
しかし、その気持ちはマーサに伝わったのだろう。最初はやや呆気に取られつつも、そんなエリスを見ていたマーサの疲れた表情に、小さな笑みが浮かんだ。
「ありがとう、ございます。そのお気持ちだけで、少し気が楽になりました……」
力のない笑顔ではあったが、その言葉にエリスも「い、いえ……」と小さく返した。マーサの言葉に少し安堵したのか、小さく安堵のため息をついた。
「……あ、すみません。注文をまだ取っておりませんでしたよね?」
「ああ、そうですね。メニューとかってありますか?」
見たところ、壁にはお品書きのような物は見当たらない。ここはオススメをもらうのも無難かもしれないが、どんな物が揃っているのか気になり、聞いてみる。
「ええ、こちらになります」
言って、マーサは手に持っていた板を祐樹に差し出す。見れば、板には羊皮紙が張り付けられており、そこに文字が書かれていた。これがメニュー表ということだろう。
「へぇ、どれどれ」
祐樹は差し出された表を手に取ろうとした。と、ふと動きを止め、ある点を見つめる。それは、メニュー表を持ったマーサの手の袖口。袖をボタンで留められているため、手首から先は見えない。
しかし、祐樹は僅かに見えた“それ”を目にした。
「あの……?」
「あ、すいません。この状態で眺めてましたわ」
訝し気に見られ、祐樹は誤魔化しつつ改めてメニューを受け取った。
「……あの、少々込み入ったことをお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「え? あ、はい。何でしょうか」
メニューに目を通すかと思いきや、祐樹から不意に質問をされて一瞬マーサは戸惑いを見せつつ、了承する。そして祐樹は、やや聞きづらそうに間を置いてから、口を開いた。
「旦那さんは、いい人ですか?」
「え……」
脈略のない質問に、マーサの体は硬直した。
「ユウキさん? 何でそんなことを?」
向かい合っているエリスも、祐樹の質問の意図がわからずに問う。質問者である祐樹の真剣な表情を見ると、冗談の類で聞いた訳ではないようだった。
「どうなんです?」
「…………」
疑問符を浮かべるエリスを手で制しつつ、質問を重ねる祐樹。対し、マーサは口を噤み、答えあぐねていた。
というよりも、答えられない、といった風にも見える。心なしか先ほどよりも顔色が悪く見え、僅かだが震えているようにも感じる。
「……もちろん、いい人です。私の夫なのですから」
が、それも一瞬のこと。笑顔でそう答えるマーサを、しばらく見つめていた祐樹であったが、やがて表情を和らげた。
「……そうですか。不躾なことをお聞きしてすみません」
「い、いえ……」
そうして、祐樹はマーサから視線を外し、メニュー表へと顔を向けた。そこに書かれている料理名に目を通しつつも、意識はいまだマーサの右手首、先ほどまでメニューを持っていた手に向いていた。
(まだ確信には至ってはおらんけども……当たって欲しくはないのぉ)
マーサに会いに来た理由は、近況報告と犯人からの接触の確認をすること。が、それ以外の情報を、偶然知る事ができた。
祐樹が初めて家に訪れた時の雰囲気、質問をした矢先のあの反応、そして袖口から僅かばかりに覗き見えた物。それは、痛々しい程の、赤く爛れた火傷のような跡。これらから浮かび上がる物は……。
(……この事件、一筋縄ではいかんかもしれん)
いまだ手がかりが見つからない上に、新たに浮上してきた疑惑。様々な料理名が綴られている目の前のメニュー表など、思考する祐樹の脳に入り込む余地はなかった。
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