6.刑事vs殺人鬼
大久間祐樹は、今の時代に珍しい、言うなれば武闘派刑事として、尭宮署だけでなく、彼と関わりのある警視庁の人間の間でも有名な存在だ。幼い頃には実家の古武術道場で体を動かし、中学に上がる頃には剣道を、高校時代では柔道を習い、大学時代では全国大会で優勝を果たす。無論、警察学校では必修でもある剣道、柔道でも優秀な成績を修めてきた。警察官となってからも、趣味という名目で空手道場にも通い始め、今では黒帯の有段者として後輩を指導している。
さらに言うならば、高校時代に一時期荒れていた時には、喧嘩で負けなし。他校からは鬼とも呼ばれ、恐れられていた。まぁとは言っても、かけがえのない友人もできたし、他の生徒たちからは頼りにされていたりしたので、荒れていたというのは本人の認識でしかなかったのだが。
時として、犯人確保の際には『少々やりすぎでは?』という問題視する意見が出るには出るが、事件解決の最大の功労者となっているのもまた事実。本人は反省はしているつもりではいるが。
善を助け、悪を挫くという、まっすぐな人間性。大久間祐樹という人間は、まさに警察官として大事な物を持っていると言っても過言ではない物を持っていた。
だからこそ、祐樹は負けられない。
例え相手が凶悪な気性を持っていたとしても、こちらが命の危機にさらされていたとしても。
彼の背中に守るべき存在がある限り、祐樹は引くことはしない。
『――――――っ!!』
『――――――っ!!』
一人を倒し、残すはブロンド髪含めて5人。剣を持った二人が、叫びながら祐樹に襲い掛かる。
得物のリーチは、相手が圧倒している。ゆえに、祐樹は攻撃を避けることに専念する。一人の振り下ろしを横へ移動して避け、続けて切りかかってきたもう一人の腕を左手で掴み取る。掴まれた男は、逃れようとするも、祐樹のバカ力によって抑えられてびくともしない。
最初に切りかかってきた男が、続けざまに横薙ぎに剣を振るってきたところを、警棒で叩き落した。
正確に言えば、剣を持つ手首を叩き、剣を落とさせた。剣を落とした男は、手首を抑え、その場から離れようとした。
「どらぁぁぁ!!」
だがそうはさせじと、祐樹は気合と同時に左手に掴んでいた男を背負い投げの要領で投げ飛ばす。咄嗟に浮き上がる己の体に何もできず、男は投げ飛ばされ、その先には剣を落とした男の姿。呆気なく、二人はぶつかり、地面を転がった。起き上がる気配はない。
「おら次じゃぁ!」
一度に二人を叩きのめし、祐樹は次の相手へ立ち向かう。
剣を振りかぶり祐樹へ突撃をする男。男は、袈裟懸けの斬撃を繰り出す。祐樹はそれを、警棒で弾き飛ばすように躱す。諦めず、今度は横薙ぎの斬撃。それすらも、祐樹は弾き返し、躱した。
二度弾かれ、ならば三度目とばかりに唐竹割りを繰り出そうと上段から剣を振り下ろす。祐樹は今度は警棒で弾かず、そのまま警棒を横にして受け止める構えを取る。
「ふっ!」
刃とシャフトがぶつかり合って甲高く響く金属音。すかさず祐樹は警棒のシャフト部分を持ち、体を回転させて剣の刃を滑らせた。体重を乗せていたために前につんのめった男が体勢を直す前に、祐樹は背中に警棒を押し付け、そのまま地面に向けて叩きつける。
『―――――ッ!?』
声にならない叫びを上げて、男はうつ伏せに倒れ込んだ。
「次―――っ!?」
かかって来い、と言おうとした瞬間、足が動かない。視線を下げれば、倒したと思っていた男が、祐樹の足にしがみついていた。
浅かったか! 仕留めきれずに後悔している間、剣を突き出してきている4人目の男。躱そうにも、足が動かない。
警棒で受け流すか? 否、体勢がうまく取れない今では、力負けする可能性もある。
ならば、方法は一つ。
「離せや、この……!」
掴みかかる男を強引に振りほどき、
「やろ!!!」
顎に革靴の蹴りを一発、お見舞いする。そして剣を構えて突進してきた男には、その突進を利用させてもらい、
「おらぁっ!!」
喉元にラリアットを一発、お見舞いする。祐樹の力と突進の力の相乗効果によって、グブェ、という変な声を出しながら、男の体は慣性の法則に従って宙を舞い、足が蹴り上がるように浮く。そして今度は重力に従って落下し、そして。
『『―――――――っ!!!』』
落下地点で転がっていた男を下敷きにし、ヒキガエルのような声を上げて二人まとめて気絶した。
仮面の男どもは全滅。残すは、ブロンド髪の男、そして小太りの男。祐樹は、男たちを倒した感慨に耽ることなく、次の最大の難敵と対峙する。
「残すはオメェさんだけやが……」
警棒を前に突き出し、腰を深く落として構える。
対し、ブロンドの男は、剣を両手で持ち、顔の横に立てるように構える。剣術でいう、八相構えだ。
その顔は依然変わらず、無表情。しかし目にはありありと殺意がギラついている。
『…………』
「随分と余裕のよっちゃんやないかい、若(わけ)ぇの。自信の顕れか?」
言葉は通じないとは知ってはいても、軽口を叩かずにはいられない。
武器の長さ、躊躇いのなさ。戦闘経験も多いだろう。今まで多くの犯罪者を取り押さえてきたが、これまでの輩とは訳が違う。下手に弱気になると、あの目の闇の深さに飲み込まれてしまいかねない。
だが負ける気はしない。飲まれもしない。ただ“しばき倒す”。それだけの単純明快な事だ。
『…………』
「…………」
互いに、無言。どちらかが動き出した時、勝負が始まる。
片や殺すため。片や止めるため。
生死を分けた戦いに、場が緊張に包まれる。
『――――っ!!』
先に動き始めたのは、男の方だ。剣を振るい、祐樹へ肉薄する。
その素早さは、先ほど仲間の男を殺害した時同様、素人目では追いつけない。
「ほっ!」
だが祐樹は袈裟懸けに振り下ろされる剣を危なげなく躱す。男は間髪入れずに逆袈裟に切りつけ、それをも祐樹は躱した。そこから男は剣を脇に寄せから薙ぎ払い。祐樹はくの字になるように腰を引き、体を曲げることで回避。
『――――ッ!!』
一息で三連続の斬撃を繰り出した男は、腕を引いての渾身の突きを祐樹へ繰り出す。いまだ体を曲げている祐樹は、これを回避できない。
「だぁっ!!」
ならば叩く。祐樹は警棒を払うように振り、剣の刃を叩いて火花を散らす。衝撃で刃は軌道を逸らした。弾かれ、男は体勢を崩す……事にならず、弾かれた衝撃を利用してその勢いのまま体を一回転させ、再び薙ぎを繰り出した。
「ふんっ!!」
祐樹はそれを躱さず、警棒を縦に持って剣を受け止める。
そのまま競り合う、剣と警棒。ぶつかり合った箇所が力と力による対抗による軋み、音を鳴らす。
最初に硬直から動き出したのは、祐樹。警棒のシャフトを左手で掴み、そのまま前進。警棒を滑らせるような形で、体全体で男にぶつかりに行く。
『っ……!』
すさまじい力でぶつかられた男は吹き飛ばされ、祐樹はそれを追……おうとはせず、後ろへ跳び退る。祐樹がいた場所を、吹き飛ばされつつも繰り出された男の横薙ぎが通り過ぎた。
体勢を整え、警棒を構える祐樹。対し、男は受け身を取って衝撃を殺し、すかさず立ち上がって剣を祐樹に突きつける。
「やるやないか、このイカレ野郎……」
『…………』
苦笑し、思わず男を挑発する祐樹。男は何も語らず、ただ祐樹を睨み続ける。
やはり強い。殺しに躊躇いがない為か、一撃一撃が当たれば致命傷を負いかねない程に鋭く、速く、そして殺意が込められている。一体、どういう風に生きていれば、このような殺人マシーンとなるのか。
今は、相手の生い立ちを考える暇はなかった。呼吸を整え、先に動いたのは男。瞬時に接近し、再び剣の舞を見舞う。
上段からの振り、薙ぎ、突き、または蹴り。それを祐樹はギリギリのところで避け、弾き、または受け流す。
「んにゃろ……!」
何度か切り結び、男の上段からの剣を受け止めた時、祐樹は動く。警棒を絡ませるように剣の上を滑らし、そしてそのまま男の懐に入り込み、投げ技を繰り出すために腕を掴み取ろうとする。
『ッ!!』
が、何をするか察した男は、祐樹目掛けて蹴りを繰り出した。
「ぐっ……!」
腹を蹴り飛ばされるも、あえて抵抗せずに吹き飛ばされ、衝撃を殺す祐樹。どうにか受け身を取って床を転がり、膝を着いた。
だが、男はそれを見逃さない。
『――――ッ!!』
「うぉ!?」
男が叫び、剣を振り上げて迫る。男の速さに、祐樹は思わず横へ転がった。祐樹がいた場所に、剣が振り下ろされて、石の床に傷をつける。
そのまま横へ振るい、祐樹の首に迫る。咄嗟に祐樹は仰向けに倒れ込み、斬撃を回避。執拗に今度は、剣の切っ先が祐樹の狙う。
「なんとおおお!!」
ならばと、祐樹は雄叫びを上げながらそのまま横へ転がる。切っ先は外れ、床に穴を空けるに留まる。
追いすがろうとする男。だが祐樹の両足が、男の腹目掛けて突き出され、男はまたも吹き飛ばされた。
『ッ!!』
空気が口から吐き出されつつも、踏ん張って倒れ込まず、苦々しい顔で祐樹を睨みつける男。祐樹は立ち上がり、体勢を整え、再び場は膠着する。
お互い、大きなダメージはない。だが、いつまでも避けていては埒が明かない上、体力が無くなれば、あの凶刃の餌食となる。相手と違って、こちらは一発でもまともに喰らえば致命傷となる。長引けば不利となることを祐樹は悟った。
(何とかして有効打を与えんとな……)
懐に飛び込み、投げるか、あるいは武器を奪えば勝機がある。さっきは投げ飛ばし損ねたが、次こそは……祐樹が脳内イメージで策を練っていた時だった。
『―――!! ―――――!!』
祭壇の上で二人の戦いを眺めていた小太りの男が怒声を上げる。相変わらず何を言っているのかわからなかったが、その顔を見るに、いつまでも祐樹を仕留めれていないのを見てイライラが募っているのがわかる。大方、さっさと始末しろ、とでも言っているのだろう。
『…………』
対するブロンドの男は、怒鳴る男を目線だけで見やる。その目からは相変わらず冷たい物しか感じられないが、何を考えているかまでは読み取れない。
やがて、男は視線を祐樹へ戻す。が、何を思ったのか、剣の構えを解き、左手を掲げた。
「ぁん?」
いきなりのことに、祐樹は疑問符を浮かべる。やがて男は、ブツブツとこれまた謎の言語で呟き出した。
剣を下ろし、棒立ちとなっている今ならば隙だらけだ。警棒を叩き込むか、あるいは投げ飛ばすこともできる。
だが、動かない。否、動けない。隙だらけの筈なのに、今なら一撃を見舞ってやることができるはずなのに。祐樹は動けない。
(やばい……何や知らんが、やばい……!)
それは、祐樹の勘が警鐘(けいしょう)を鳴らしているからであった。その勘は、これまで何度も祐樹の危機一髪の状況から救っている。
追い詰めた犯人の最後の悪あがき、爆弾が爆発する前兆、身を潜めた殺人犯の奇襲。
無論、全てに対処できたわけではない。中には、祐樹が大けがをする原因となった出来事もある。だが祐樹のこの勘のおかげで、自身の命だけでなく、仲間たちを危険から守ってきた。先ほどの人質を取った時の、ブロンド男の奇襲を防いだのもこの勘だ。
その勘が告げる。避けろと。祐樹が、これまで味わったことのない、未知なる脅威が迫っている。祐樹の勘が、そう叫んでいた。
『――――!!』
少女が叫ぶ。成り行きを見守るしかなかった少女が、祐樹に向かって声を張り上げていた。必死さが伝わるその声は、言葉を理解することはできずとも、何を言っているのかなんとなくわかる。
危ない、逃げろ……そう叫んでいるのがわかった。
やがて、男の掲げた掌に変化が現れる。最初は気のせいか、アスファルトから上る陽炎のような揺らめきが掌から上っているのが見え、そしてその揺らめきが気のせいではないと確信し、そして、
「な……!?」
掌を中心に、炎が渦巻き始めた。目の錯覚か? そう思われたが、祐樹はその考えを一瞬で捨て、足に力を込め、
『―――――――ッ!!』
男が何か叫んだと同時に、横へ跳んだ。
直後、爆炎、そして熱風。肌を焼かんばかりの熱と、床に振り積もっていた埃が、祐樹を襲った。
「んがぁぁぁぁぁっ!?」
さながら、爆弾の爆発の衝撃を喰らったかのような感覚。横へ避けたはいいものの、熱と衝撃までは避けれない。祐樹は、ただ無様なまでに仰向けに転がるしかなかった。
「いってててて……」
何が起こった? 何が? 祐樹の疑問が、大きく揺れる脳を埋める。甲高い耳鳴りで、聴覚もマヒしてしまっている。
爆弾? そんな物を出す様子ではなかった。ならば小太りの男が何かをしたか? そうも思ったが、それなら最初から加勢しているはずだ。地雷……それならすでに自分の足は吹き飛ばされて存在していない。
ブロンドの男が、何も無い空間から何かを飛ばした。それしか考えられなかったが、何を飛ばしたかまではわからない。
爆発による余韻から抜け出せず、どうにか上半身を起こすだけに留まる。頭を抑え、振り、ブレる視界を安定させようとした。
耳鳴りが、収まっていく。聞こえてくるのは、遠くから聞こえる少女の声。硬い靴音を鳴らして近づいてくる足音。その足音が、一番近づいてきた時に止まる。
視界が、まだ若干霞んではいるものの、目の前の状況を把握できる程には戻る。目に飛び込んできたのは、煙の如く立ち込める埃の中で、祐樹の目の前に立ち、祐樹の命を刈り取らんとしている男の姿。
「ぬ、ぐぅぅぅっ……!」
呻き、体全体に力を入れる。男は、祐樹が動けないとわかっている余裕からか、剣をゆっくり持ち上げていく。その剣が振り下ろされれば、祐樹の体から赤い花を散らすかの如く、その命は絶たれるだろう。
(クソ、体が動かへん……!)
必死な祐樹を見下ろす男の表情が、愉悦に歪む。人を殺す瞬間にこそ、喜びを見出す殺人鬼の顔。それこそ、男の本性の顕れ。
(こいつ……この野郎……!)
祐樹を殺せば、次は少女と、老人。祐樹の死は、二人の死。男の快楽のために、二人の命は玩具となる。
祐樹は、あの二人がどういう人物か知らない。もしかしたら祐樹の知らない事実があるのかもしれない。
だがそれでも許容できない。何故玩具にされねばならない? 何故同じ人間が人間の命を弄べる? 例えどのような事情があろうと、助けを求めるか弱き人々を、草を踏み潰すかのように粗末にしてもいいのか?
「っざっけんなや……」
それを、許せるか? 否。
「クソボケええええええええ!!」
許せるはずもない!
祐樹の怒りの咆哮が、体全体に力を張り巡らす。手にはまだ、警棒が握られているまま。頭で考えてはいない。ただ祐樹の中の本能が、祐樹の体を突き動かす。
警棒を持った手を、今まさに振り下ろさんとしていた男目掛けて、我武者羅に突き出す。警棒の先端が、剣が祐樹の頭に届く直前、男に命中する。
正確に言うならば。
先端は、男の胸を捉えていた。
その胸には……胸ポケットには。
『石』が、入っていた。
何かが砕ける音が、空間に木霊するかのように響き渡った―――――
――――やっと、会えた
――――は?
――――ギリギリだったけれど、本当によかった
――――お前、は……?
――――ボクは、君の力。そして君は、ボクの力
――――へ? いや、何言っとんねんお前
――――お願い
――――おい、ちょっと話を……
――――ボクの力を、使って
――――全っ然話聞く気ないやないかお前!? おい、せめて名乗れや!!
――――ボクは、シルウェストレ……また話そう、オオクマユウキ
『――――――ッ!?』
突然の祐樹の反撃をくらい、肺から息が飛び出る。面食らいつつも、男はその場から飛び退いて追撃を防いだ。
だが、祐樹は追撃をしない。その理由は、先ほど感じた、不思議な感覚。周囲の時間が止まり、誰かと……聞き覚えのある声と会話をしたような気がした。
そして理由はもう一つ。手に持った警棒を見て、祐樹は愕然とした。
「な……何や、この渦……?」
祐樹の警棒のシャフトを中心に渦巻く、緑の光。小さな竜巻の如くうねる光は徐々に激しさを増し、警棒を、祐樹の手を包む。
「き、貴様、それは……!?」
「へ?」
突然の日本語に、祐樹は素っ頓狂な声を上げる。声の主は、目の前の男。ブロンドの男が、驚愕に目を見開き、胸ポケットを漁る。そして中身を確認するや否や、憤怒の表情で剣を振り上げた。
「貴様ぁぁぁぁぁぁ!! その力を、返せぇぇぇぇぇぇ!!!」
聞き間違えではない、馴染みのある言語で叫ぶ男。急に言葉がわかるようになった事による混乱に、一瞬狼狽えた祐樹だったが、まっすぐ向かってくる男に祐樹は、先ほどより激しく渦巻き、もはや柄も含めて全体が見えなくなる程の光を纏った、さながら竜巻を手に持っているかのような外見となった警棒を振るう。
次の瞬間、剣と警棒がぶつかり合う……筈だった。
振るった瞬間、光が消える。そして刃がかち合った時、警棒は……否、警棒“だった物”が、その姿を現した。
「いぃ……っ!?」
驚いて声を上げる祐樹の手が握っていた物は、馴染みのある警棒ではなく。
緑色の光沢を放つ、不思議な剣であった。
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