第26話 遊説


「そうです、人間麻雀です。」


アリスはつづけて説明した。


「麻雀とは、自分の持ち点が相手の持ち点を最終的に上回れば勝利というゲームです。

今回は”人間麻雀”ということで一方のライフがゼロになった時点で負け、残ったほうが勝者ということになります。」


「あーあー。なんだ簡単じゃねえか。

要はあのガキのライフがゼロになるまでボコボコにすればいいんだろ?」


「隼人様のおっしゃる通りですが、これはゲーム。

それではただのストリートファイトに何ら変わりはありません。

ゲームですのでルールがあります。

では今からそれをご説明します。


このゲームは、いくら相手にやみくもに攻撃してもダメージを与えることはできません。

ダメージを与えるには、”役を作ってアガル”必要があります。


役とは何かといいますとこちらになります。」


そう言って空間に表示される映像に役の一覧が表示された。



・下半身・・・両足、股間、尻             50点

・上半身・・・両腕、胸、背中、腹          100点

・頭部 ・・・眼球、鼻、歯、耳、側頭、顎      300点

・人中 ・・・眼球、顎、みぞおち、股間、こめかみ  500点

・特殊 ・・・心臓、腎臓、脳           1000点


「あー?意味わかんねーよ!

ちゃんと説明しろよ!」


理解できず隼人は怒りをぶつけた。


「こちらに表示したのは”役”の一覧です。

つまり、このなかにある相手の部位に攻撃を加え、役に書いてある部位すべてに攻撃すると相手に右に書いてあるダメージを与えられるというシステムです。


例えば”下半身”という役にしたければ、相手の”両足””股間””尻”の3か所に攻撃を与えることに成功すれば”50点”のダメージを相手に与えられます。

さらに、その時与えた部位へのダメージを相手に与えることができます。


下半身という役を上がれば、そのアガルまでに与えたダメージがリアルにその相手に入るということです。

足を殴っていれば、役を上がったときに”殴る”という痛みがそのまま相手に伝わります。


また、このゲームには”リーチ”というものが存在します。


リーチは特定の条件で宣言することができます。

それは”役が完成する一歩手前の状態”の時です。


両足、股間にダメージ与え、残り”尻”だけ余ったとしましょう。


その時にリーチを宣言することができます。


リーチをすると得られるメリットは、得点が1.5倍に上昇するところです。

なので早く勝負を決めに行けます。


もう一つのメリットは”裏ドラ”です。


ここにカードの山があり、一枚一枚に”骨の名称”が表記されています。


ここから一枚選んでいただき、相手は選ばれた骨と同じ場所が粉砕するというものです。


ただしデメリットもあります。


リーチをかけると通常相手は役を上がらないと与えられないダメージが、普通に与えられるようになります。


殴ればリアルタイムで痛みを感じるようになります。


以上で説明を終わりますが何か質問はありますか?」


「あーあーあー、よくわかんねえけどボコり続ければいいってことな。

俺から質問はない。」


隼人は説明に飽きたのかだるそうに返事をした。


「では最後に、松本様・隼人様のライフをこちらに表記させていただきます。」


映像が切り替わり、格闘ゲームのHPメーターみたいなのが出てきた。


「松本様はライフ”1000点”隼人様はライフ”4000点”です。

これは平均成人男性のライフを2000とした場合、お二方の実世界での体力や打たれ強さをそのまま数値化したものです。

先にライフがなくなったら敗北となります。」


向こう側にいた松本は体力差が4倍もある相手に思わず笑ってしまった。


「クックック、あーおもしろいなー。

ギャンブルってやっぱりこうじゃないと…。

圧倒的理不尽。

これこそがギャンブル。

その理不尽をひっくり返すのもまたギャンブル…。」

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