第25話 部屋
松本が能力を発動させると同時に、手で作った三角からまばゆい光が発せられた。
「くそっ!なにしやがった!」
光は松本と隼人という天使の目をくらませた。
その光はまぶしすぎて目をつぶっていても眩しいほどだった。
「あーあーなんだよ派手な攻撃の割にはノーダメージだなー、、、ん?」
目を開いた隼人は違和感に気が付いた。
「・・・どこだここ、ていうか体動かねえじゃねえか!」
気が付くとそこには何もない真っ白な空間が広がっていた。
立方体の形をしたその空間は、1辺の長さがおよそ25メートルほどだ。
中央にはテニスの審判が座るような高い椅子が置いてある。
そして何よりひときわ目立つのが、その椅子に座る少女であった。
「あーあー、おいそこのガキ。
どこだココ?
ていうか体動かないんだけどどうにかしろよ。」
声を掛けられて隼人のほうに顔を向ける少女。
その容姿はかなり変わっていた。
見た目は小学1年生ほどで腰まで伸びた桃色のストレートの髪の毛。
その派手な髪の毛とは反対に、服装は全身黒スーツに黒ネクタイ。
だが、それよりも大きな特徴があった。
彼女はゴーグルをしていた。
顔の半分を覆うほどのゴーグル、というかVRゴーグルに近いといったほうがいいだろう。
だいぶメカニカルなゴーグルだった。
「こんにちは皆さん。
プレイヤーがそろいましたのでルーるを説明します。」
隼人の呼びかけを無視して少女は話し始めた。
「こちらをご覧ください。」
少女が指をさす空間に映像が表示された。
「ここに100枚のカードがあります。」
どうやら映像は少女の手元を映し出したもののようだ。
「こちらのカードにはそれぞれ異なるゲーム名が書かれています。
これを私がシャッフルして、その後にそれぞれのプレイヤーが宣言する枚数分カットを加えます。
そして一番上に表示されたゲーム名を行ってもらい、勝者を決めます。
敗者には全治1ヶ月の怪我を負っていただきかつ、1週間自力では身動きができなくなるペナルティを与えます。
以上です。質問はありますか?」
「あーあーあーよくわかんねーけど要はそのゲームに勝てばいいんだろ?
で、相手は誰なんだ?」
隼人は少女に質問した。
「相手のプレイヤーは松本です。
それくらい分からないんですか、知能が低いですね。」
「あー?てめーあとで殺すからな覚えてろ。」
体が動かないため暴言だけがむなしく空間に響く。
「なお、ゲーム開始までお互いのプレイヤーは目の前にいますが相手の音声も姿もないものとなっています。
予めご了承ください。
では、シャッフルをさせていただきます。
あと申し遅れましたが私ディーラーを務めさせていただきます”アリス”と言います。
よろしくお願いします。」
アリスと名乗る少女は手元のカードを手際よくシャッフルし始めた。
「では隼人さん、カットの枚数をお願いします。」
アリスは隼人のほうを向いてカット枚数を聞いてきた。
「あーじゃあ20枚で。」
「20枚ですね、かしこまりました。」
アリスは20枚カードの山の上から取って下の山と入れ替えた。
その後、隼人には聞こえなかったがなにやら松本とやり取りをし、カットが入った。
「では両者のカットが終了しました。
では一番上のカードを開きます。」
そう言ってアリスは一番上のカードをめくった。
「今回のゲームは”人間麻雀”に決定いたしました。」
そう言ってアリスはカードを空間の映像に移した。
「あー?人間麻雀?」
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