第15話 上界
「俺様達、悪魔はたまに人間界に降りては遊びで願を叶えてやっていたぁ。
牧田みたいに契約してなぁ。
そして、どの人間が一番面白い人生を送るか勝負して楽しんでいたんだぁ。」
「なんだよそれ、趣味わりぃな。」
「まあいいだろ、おまえらのしょうもない願いを叶えてやってたんだからなぁ。
俺様は当時この遊び、”第二の人生ゲーム”とか言う遊び名だったんだが、これでずっと勝ち続けていたぁ。
だから常に俺様に挑んでくる連中が次々に現れたぁ。
そのせいで俺様は悪魔界に1600年近く帰ってないなぁ。
なにせ人間の人生を使った遊びだからなぁ。
ワンゲームが100年とかかかる。
当然、天使が襲ってきてるとは知らずに遊びに夢中になっていたぁ。
そんな時、悪魔界から逃げ延びてきた連中が俺様に連絡をくれてなぁ。
それで俺様は天使が襲ってきていることを知ったぁ。
ちなみに、このことを知ったのはつい1週間前の話だぁ。」
「1週間前!?
最近じゃねえか!」
「あぁそうだぁ。
そして偶然にも俺様は次のゲームに使う人間を探していたところだったぁ。
それがおまえ、牧田だぁ。」
「なんで俺なんだよ。
もっと他のやついただろ。
例えば、、、FBIとかの連中は?
俺より絶対頭いいだろ?」
「ハハハハハっ、確かに間違ってないが俺様からしたら大きく間違えている。」
「は?」
「いいかよく聞けぇ。
ゲームってのはなぁ、そんなFBIだの大統領だの、そんなやつら使っても勝てないんだよぉ。
なぜかわかるかぁ?」
「・・・いや、わからねえ。
どう考えてもそいつらのほうが頭がいいし人間としておもしろいと思う。」
「確かに、そいつらを使えばおもしろいことになる。
当然ゲームに勝つ可能性は高くなる。
だが、実際はそうじゃない。
だから俺様はお前を選んだぁ。」
「だからなんでなんだよ!」
「大人だからだぁ。
人間を長年見てきたからわかるが大人はクソだぁ。
行動が読める。
そもそも、大人になるってことは社会的な洗脳を受けるということ。
つ・ま・り、安定的で堅実な行動はこのゲームにおいては邪魔でしかないんだよぉ。
だから俺様はお前みたいな大人になるちょっと前で、しかも社会から少しはみ出たやつを好んで契約者にしてるんだぁ。
まあ、社会からはみ出たやつはだいたい最高のクズか最高に才能を秘めているかのどちらで、俺様はそれを見極めるのを楽しんでゲームをやっている。」
「あれ、もしかして俺褒められてる?」
「おぉぉぉい!調子に乗るなクソ人間。
俺様が選んだってことは少なくとも才能を秘めているかもしれない。
だが、才能を秘めているのと才能を発揮できるのは全くの別物だぁ。
せいぜいお前が秘めてるだけじゃなく発揮してくれることを祈ってる。」
「はぁ、素直にほめてくれれば俺の才能が開花するかもしれねえのにな。」
「あぁそうかい。
話を戻すが、天使たちの目的は悪魔の撲滅。
そして奴らは悪魔界から逃げ伸びた悪魔、人間界で遊んでた悪魔、こいつらを殺しに人間界に降りてきたってわけだぁ。
そしてそれを返り討ちにするために各悪魔たちは人間と契約してるってわけだぁ。」
「なるほどね。
でもさ、天使を返り討ちにするんだったら別に人間と契約しなくてもいいんじゃないの?
悪魔は天使、天使は悪魔を殺すことができるんでしょ?」
「それがそうもいかない。
悪魔や天使の力は人間界じゃ使えないんだよ。
だから人間と契約をして、その人間に力を使ってもらっているんだぁ。
実際、襲ってきた天使も人間の姿をしていただろぉ?
そういうことなんだよ。」
「はあー。
上の世界も大変なんだな。」
「おいおい他人事じゃねえぞぉ?
今命を狙われているのはお前なんだからなぁ。
しかもこの前追い払った天使は王国一の強さを誇るだとか言ってたからなぁ。
そんなやつがこのザコ牧田にやられたとなっちゃあ絶対にお前に復讐しに来るだろうなぁ。」
「そういえばそんなこと言ってたな。
俺もうだめかもしれない。」
「まあせいぜい頑張って生き延びるんだなぁ。
そして俺様を楽しませてくれ。」
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