第4話 驚愕


翌日の朝、飯がないことに気が付いた俺は近くのコンビニに向かって歩いていた。


ルシウスが悪魔と契約すれば、ほかの契約者も見ればわかるようになるって言ってたのが気になって外を歩こうと思ったのも理由の一つだ。


俺は都会に住んでいる大学生だ。


まあ、出来のいい俺はテストの日だけ出席して100点取って帰ってくるだけだから実質1年中休みみたいなものだ。


そんなことは置いといて、ここは都会だから朝外に出れば多くの人間を見ることができる。


これだけ人が多ければ他の契約者の一人くらい歩いているかもしれないってことだ。


・・・・・・・。


コンビニまでの道を黙々と歩く。


(おいおい、誰一人いねえじゃねえかよ。

ていうか見分けが付くようになるって、どう見わけが付くか聞いてねえじゃねえか。

もうコンビニに着いちまったぞ、クソっ。)


「いらっしゃいませー。

ただいまおでん70円セール実施中です。

いかがでしょうかー。」


コンビニに入るとお姉さん店員が挨拶してくれた。


(さて、朝飯どうするかな。

おでん70円セールか。

コンビニのおでんうまいからな、朝だけどおでんにするか。)


そういって俺はレジに向かった。


「すいませーん、おでんお願いします。」


すると先ほどのお姉さんがおでんの器とお箸を持って出てきてくれた。


(ん?誰かいるのか?)


奥の事務所から俺を見ている奴がいるような気がした。


(まあ客が並んでないか見てるだけか。)


「お客様?ご注文お願いします。

今だと大根がおすすめですよ。」


なかなか注文しない俺に店員が注文を催促してきた。


「あ、あぁ。すいません。

じゃあ大根2つと・・・つくね1つと玉子1つでお願いします。」


「かしこまりました。

少々お待ちください。」


そう言って店員はお箸で注文の品を器に移していく。


(よくそんなに手際よくお箸で具材が取れるなぁ。)


俺は鍋を見ながら店員のお箸さばきにちょっと感動していた。


「あっ!!」


その声と同時に店員が取ろうとした玉子がお箸から滑り落ちた。


ポチャ


「あちっ!」


落ちた玉子が鍋に落ち、鍋の汁が俺の左目に入った。


「す、すいません!大丈夫ですか?」


心配した店員が俺に聞いてきた。


まあ、俺はこの程度で怒るような人間じゃないからな。


許してやろう。


「いえいえ、全然大丈夫ですよ。」


そう言って左目をこすりながらできる限りの笑顔を店員に向けようと顔を上げた。


「っ!!!」


驚いた俺は後ろに退いてしまった。


ドンっ


「あ、すいません。」


次に待ってたお客さんとぶつかってしまった。


「大丈夫ですか、お客様?」


店員が話しかけてきたので振りかえるとそこにはお姉さん店員がいた。


(なんだったんだ今のは。)


そのあと普通に会計をすました俺は家に帰った。


「おいルシウス。

聞きたいことがある、出てきてくれ。」


俺はおでんに手も付けず帰宅早々ルシウスを呼んだ。


さっきあった不思議な出来事を問いただすためだ。

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