第5話 伝令
「なんだぁ、叶えたい願いでも決まったのかぁ?」
だるそうにルシウスが出てきた。
「いや、さっきコンビニで買い物した時にあった話を聞いて欲しいんだよ。」
「呼び出しといてコンビニでの買い物の話かよ。
どうでもいい話だったら殺すぞぉ?」
ルシウスの機嫌が良くなさそうなので早速本題へと入る。
「俺がおでんを注文してて、その時に店員の不注意でおでんの汁が目に入ったんだ。
そして謝ってくる店員に気を使わなくていいという意味を込めて笑顔で顔を上げたら問題が起きたんだよ!」
「なるほど、だいたい俺様には予想がつくけどなぁ。
で、どうしたんだぁ?」
予想がつくと言われたのにちょっとだけイラっとしたが話を続けた。
「見上げたらそこには絶世のブスが居たんだよ!!
そこそこ綺麗なお姉さん店員だったはずなのにすげーブスな店員だったんだよ!!
これって悪魔との契約と関係あるんじゃないか?」
「関係大アリだなぁ。
おそらくそいつは悪魔と契約している。
そしてその悪魔の欲望は
“顔を整形する”
”相手に幻覚を見せて美人に見せる“
”誰かの顔をコピーする”
この辺に関連する欲望を持った悪魔だろうなぁ。」
「今ルシウスが上げた例だと結構欲望の種類が違ってきそうだな。」
「その通りだぁ。
整形なら“美形欲”
幻覚なら“幻想欲”
コピーなら“模倣欲”
的な欲望だと思うぞぉ。」
「なるほどな、見た目上同じに見えても根底にある能力は全く違うってこともあるのか。
ん?待てよ。
なんで急にその能力を無効化してその女性の素顔を見ることができたんだ?
店に入った時は美人だったぞ?」
「そ・れ・は、俺様が一部の能力をお前に教えてなかったからだぁ。」
「はぁ?
お前まだ俺に言ってなかった事があるのかよ!」
「まぁ悪魔ってのは意地悪な性格をしているものだぁ。」
「クソが!
で、なんなんだよその能力。」
「ちょっと話が長くなるがいいか?」
「あぁ、いいぞ。」
「わかったぜぇ。
まず、この世界の一つ上の世界に悪魔が住む世界がある。
そこには悪魔を養成する学校があって俺はそこを卒業して今ここにいる。」
「ちょちょちょちょちょ。
悪魔の世界?
養成学校?
なんだよそれ、詳しく聞かせろよ。」
「いやぁ、今回この辺はどうでもいいからまた今度話してやるよぉ。
で、だ。
俺様はそこの第1期生の卒業生だぁ。
しかも首席で卒業している。」
「1期生で首席ってお前に似合わず優等生っぽいな。」
「まぁなぁ。
そこで、1期生ということもあってかまだ契約とかのルールがまだ未完成でなぁ。
そこで俺は校長とある契約をした。
それは俺様の契約者に“相手の悪魔の能力を見破る能力”をデフォルトでつけてほしい、っていう内容の契約だぁ。
もちろん後にこういう契約は平等じゃないとかこじつけて廃止された。
つ・ま・り、悪魔かどうかだけじゃなく、その悪魔の能力まで見抜けるのは、この世でお前だけなんだよぉ。」
「・・・・・・・・・・。」
(世界観が分からなさすぎる。
つまり要約すると俺だけ良い能力を元から持ってるって事でいいんだよな?)
「お〝ぉぉい!
黙ってねぇでなんかいったらどうなんだぁ?」
「俺だけなんか優遇されているってことなんだろ?
ちなみにどうやったらその能力が発動するんだ?」
「そうだぁ、俺様が優秀だったがゆえの特権だぁ。
ありがたく思えよぉ。
それでその能力だが簡単に発動できるように契約しておいたぁ。
悪魔と契約している対象者を“右目で見る”
これだけだぁ。」
(なるほど、左目をこすっていたから結果的に右目だけで見れたのか。)
「じゃ、じゃあ悪魔かどうかってどうやって見抜くんだ?」
「はぁ?そんなんもわからねぇのかよぉ。
相手を見た時、その後ろまたは半径3メートル以内にそいつと等身大の影がどこかで立っているはずだぁ。
それで一発だぁ。」
(なるほど、あの時のコンビニ事務所からの視は悪魔だったのか。)
俺はあのコンビニで起きたこと全てに納得がいった。
「オッケー、これでなんとなくわかったよ。
じゃあルシウス、帰っていいよ。」
「ここまで俺様を雑に扱う人間は今までの人間と悪魔の中でもお前くらいだぞぉ。」
「いいだろ別に。
俺が死んだら困るんだろ?」
「ちっ、そうだなぁ。
じゃあ帰らせてもらうぜぇ。」
―――――その夜。
牧田が眠るその横でとある話をしている奴がいた。
「おい、聞こえるか?
本国からの伝令だ。
ルシウス、応答しろ。」
「あぁん?
聞こえてるよヘクトール。
こんな夜中に何の用だぁ?」
「奴らがそっちの世界に向かったようだ。
何が目的でそっちにいったかは分からないがとにかく気をつけろということだ。」
「なんで奴らがこの世界に来てるんだぁ?
まあいい、来ても返り討ちにしてやるよぉ。
なかなかに素質のあるやつと契約したしなぁ。
わかったよ、気ぃつけりゃいいんだろぉ?」
「ルシウス、お前が契約者を褒めるとは珍しいな。
あの時以来じゃないか?」
「ハッ!そうだったかぁ?
それに今回のやつ、別に誉めてるわけじゃねえよ。
ただおもしろくなりそうだと思っているだけだ。」
「やっぱり誉めてるじゃないか。
あ、僕ほかの仲間にも連絡しないといけないからじゃあね。」
「だーかーらー、誉めてないって、って切りやがったなアイツ。
しかし、このタイミングで動き出したかアイツら・・・・。」
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