カエルの唄が
ゆう作
カエルの唄が
雨は、好きだ。辺り一面、絶え間なく「青」が鳴り響くから。
頭上の傘から聞こえてくる、この規則正しい『色』もクセになる。
そこかしらでたまに聞こえる、「緑」も好きだ。「ゲコッ」って感じがする。
おや、凄い『音』を立てて「青」が迫ってくる。ん、あれは駄目だ。「黒」が混じってる。それもただの「純粋な黒」じゃない。「たくさんの『音』をグチャグチャに混ぜて出来たような黒」だ。
だから、綺麗なグラデーションに聞こえないんだろう。まるで、『音』の上にさらに『音』を、水っ気の無いブラシで塗りたくったかの様に。
車が通り過ぎる。やはり、家でスケッチをしていた方が良かったかな。そう思い、水たまりが跳ねてかかった、濡れた足で家に小走りで戻った。
スケッチブックと絵の具と筆を用意する。たくさんの絵の具の中から、雨に合う『音』を探す。筆先に「ザーッ」を付ける。
『音』を塗る。
我ながらいい絵が描けた。雨に一番合った『音』で描く事ができ、まるで絵から『色』が聞こえてくるかの様な臨場感溢れる作品に仕上がった。
窓を開ける。
どこからか、カエルの唄が見えてくる。
──美しい世界だ。
カエルの唄が ゆう作 @mano3569
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