02.
学校に着いた。
広大な敷地と近代的なデザインの校舎。
ガラス細工が美しい正門をくぐる前に今日初めて腕を通した制服を見直す。
誰が見てもここの学校の制服とわかる洗練されたデザイン。誰が着てもそれなりにかっこよく見える。
行く先に大量の新入生がいる一角。
僕も自然と足が傾き、彼らの目の前にあったものを見上げる。
クラス表だった。
自分の名前(本当の名前と言えるのだろうか)はすぐに見つかり、これから1年間同じクラスのクラスメイトの名前を見る。当然だが誰も知らない。そのまま校舎内へと向かう。
校舎内もこれが公立高校かというほど美しい。なんとなくこの学校で3年間過ごすことが楽しみになってきた。
「1年Es組」と書かれた教室に入る。
ここでみなさん気になっていたであろう、「なんだEs組って」という点について説明しようと思う。
Esというのはフランス語で希望、期待という意味のEspoirからきている。他のうちの学年ではEt組(Etoile意味は星)In組(Invincible意味は無敵の、不屈の)の3クラスしかない。
この学校は少し特殊な学校で偏差値というものが存在しない。
そのため入学試験もない。そのかわりに最先端機械を導入したその人の中に眠っている才能や性格、身体能力を見いだし、入学候補者を決めるという措置をとっている。
そしてかなり通知表を重視する。
学校側は日本の未来を担う人材の育成を掲げている。
試験がない為誰でも入れると思っているアホも多く毎年倍率は5倍以上にも上る。
教室の中には人が数名いた。
僕は机に座った。
椅子の座り心地が最高だ。本当にここは公立高校なんだろうか。
全員が集まり入学式が終わり、教室で自己紹介タイムとなった。
__「堀内皐月です。」こいつ男なのに名前女っぽいな。外見は爽やかイケメンって感じだ。
__「染谷琳です!!よろしくねぇっ!!」
あーうん。君が元気キャラってことはわかったよ。
なーんてクラスメイトに一人一人感想をつけていたら自分の番になった。
「成瀬アオイです。一年間よろしくお願いします。」(ニコッ
中学のときとキャラ変はせず。積極的なクラスのリーダーキャラでいく。結局これが一番なんだ。
休み時間、お互いまだ知らない人同士なので会話しているのは少数。
「ねえ、成瀬くんだっけ?どこ中??」
前の席の染谷が話しかけてくる。
「あーえっとね、風間中っていうんだけど知ってるかな」(ニコッ
「おー!うち隣の沢村第一!!意外と近くて運命感じるわー!」
それくらいで運命感じられても困る。
「あっ、えっと何部希望?」
「うちは管弦楽だよお!中学のとき吹部だったんだ!」
なんかイメージ違うなあ。でも沢一って吹奏楽全国的に有名じゃなかったか。
「そうか、まあ前後の席同士仲良くしよう」
「うん!じゃね!!」
せっかくだから誰かに話しかけてみよう。あの堀内皐月とかいうやつにしようかな。
「ね、堀内?部活決めた?」
爽やかイケメンが振り返った。
「お!お前成瀬だよな!?あのノーベル化学賞取った天才成瀬教授の息子さんなんだろ!?教授イケメンだよな!顔そっくりだもんなあ、いいなあ。俺成瀬教授の大ファンなんだよ!将来俺も成瀬教授みたいにノーベル賞とかーって思っててさ!家ではどんな感じなんだ!?ってかサインとかもらってきてくんねぇ??ってか俺と友達になろうぜ!そのさ、成瀬教授とか抜きで!俺と同じ雰囲気がすんだよ!」
イメージと違うな。まあいいや友達にでもなっとくか。その方が何かと便利だし、さっきの様子を見てるとあいつ知り合いが多そうだ。
「うん。いいよ。なんて呼べばいいかな?」「中学の時はさっちゃんとか堀内とかホリサツとか皐月くんとかで呼ばれてたけど...」
「じゃあホリサツがいいや。変換して堀札にするか?札束掘ったーみたいな(苦笑)」
「おいお前おもれーな笑俺さ、お前のことアオイ教授って呼びたいんだけどどうだ!?」
「アオイ教授?別にいいよ。じゃよろしく堀札!」「アオイ教授!!」
おお、なんだか楽しくなりそうだ。
幻想のドッペルゲンガー 水瀬 ハク @marumeganez
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。幻想のドッペルゲンガーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます