01.

注 この話はプロローグを読んでからでないと理解できない場面もあるので先にプロローグを読むことをお勧めします。



どこを見渡しても雲一つない空。そこに咲く満開の桜。

僕は大きく息を吸い、大股開きで歩き出す。僕の初めての高校生活が幕を開ける。


この日を迎えるまでに自分で言うのはなんだがかなりの苦労をしてきた。中学3年の8月、僕の元となった人間、つまりはあいつの「実の息子」。そいつが事故で亡くなった_というのを隠蔽して僕がそいつに成り代わった。

実は元々あいつは出来の悪い問題児の息子をもうすぐ削除しようと思っていた。

そこで息子が亡くなった為、チャンスだと思ったらしく僕と切り替えた。

既に妻とは離婚していたのスムーズに事を進めることができた。

淡々と話しているが僕はあいつとは違う。ちゃんと道徳心を持っているから思うけど普通に考えて酷すぎる。とても実の息子に対する感情とは思えない。奴は人間じゃないんだ。(人間かどうかも怪しい僕が言うことじゃないけどね)

優しいところだってあったのに。



ということで息子と成り代わった僕は転校をし、誰も知らないところに行った。

そこからの苦労は...もう思い出したくもない。

ここでもう一つ。あいつは最初「頭がいい」クローンを作ろうと思っていた。しかしなんらかの誤差で中の上くらいの学力の僕ができてしまった。流石に2体目を作るのはあいつもどうかと思ったらしく僕はこのままとなった。

そんなことであいつはいつも僕を「失敗作」や「出来損ない」と呼ぶ。

ふざけんなよ出来損ないはお前だろ。失敗作作ったの誰だよ。なんて死んでも言えない。

僕はあいつの指示に従う為に作られた人間だから。だから僕は臆病に育ったんだ。




息子は問題児で成績オール1、又はたまに2があるくらいの成績だった。

ご存知だろうか。今の時代、成績に1又は2がついていたら入れない私立高校が多いことを。

あいつは都内の超名門私立に行かせたかったらしく、悔しがっていたが。もはやどうしようもない。と言うことで県内トップの公立高校に入ることを条件として提示してきた。

公立高校は私立高校と比べて内申を重視するため、この条件もかなりきついものだった。

内申が良くて合格点に引っかかったという例もある。そこで僕は2学期の内申をオール5にする必要があった。そのためには授業をクソ真面目に受ける。挙手は10回以上、先生からの評価を上げるため質問しに行く、そんでもって学年トップを取る_という計画を実行する為に家庭学習平日5時間休日12時間。臆病な性格も丸め込んで積極的で明るい男子を振る舞った。

でも苦しいことだけでは無かった。

初めての学校で初めての友達というものができた。

僕は意外と友達を作るのが上手いらしい笑

僕はすぐにクラスの人気者になった。

学校行事なんかもどんなものかは知っていたがやってみると非常に楽しく達成感のある代物だった。

人道的な僕でさえ息子が死んでくれて良かったと思ってしまったほどだ。

こんなに楽しい学校をほっぽり出して彼は何をしていたんだろう。



そんなこんなで僕は第一志望の学校に合格し、めでたく入学を決めた。

そこで今日に至る。

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