本作は一面的には、古典的なテーマである人と機械との境界を探る作品だと思うのですが、他の作品にはあまり見られない特徴を感じました。
それは、「時間的観点」です。人が機械に変わっていく過程及びその中で生れる苦悩や葛藤を描写しているという事です。
一般的なパターンとしては、アンドロイドが既に出来上がっていたり、はたまた人が機械化されるようなケースでも、その過程の描写はあっさりしている事が多いと思います。
本作は、その過程を丁寧に描いているという点で他作品と差別化されており、独自の価値を読者に対して提供してくれるものだと感じました。
近未来ものですが、設定が丁寧でしかも無駄が省かれており、とても読みやすい作品でした。
これから多くの方に評価してもらえたらな、と思います。