24話 ユアの決意


 冒険者ギルドへ向かった俺とユアは、フロストウルフが出現したことをシリウスに報告した。


『はぁ!? フロストウルフだと! Bランク魔物じゃねーか!』


 やはり、Bランク以上になると危険視するらしい。

 今更だけど、シリウスに聞いたところ、魔物の危険度ランク分けにはこうなっている。


 SSランク──神話級。世界の崩壊を覚悟しなければならないほどの脅威となる。全種族全てかけるほどだ。

 六大精霊王、神話級の龍、フェンリル ────


 Sランク──大陸の脅威となる。英雄やSランク冒険者、聖騎士など、結成して討伐可能となるレベル。

 ヒュドラ、エンシェントドラゴン、グリフィン────


 Aランク──国家の危機。Aランク以上の聖騎士を複数で討伐可能となるレベル。

 ヘルバウンド、キマイラ、グレーターデーモン────


 Bランク──大きな都市や小国等に多大な被害が及ぶ危機となる。

 フロストウルフ、ワイバーン、レッサーデーモン────


 Cランク──一般的な町に大きな被害が及ぶレベル。シーズニア大陸での冒険者ギルドの魔物討伐依頼はCランクまでとなっている。

 オーガ、サーベルタイガー、タラテクト────


 Dランク──小さな村に大きな被害が及ぶレベル。

 ジャイアントバット、オーク、シーズニアウルフの群れ────


 Eランク──小規模部隊で討伐可能レベル

 エアバタフライ、クロウラー、ゴブリンの群れ等────


 Fランク──駆け出し冒険者だと1匹で何とか討伐可能レベル。

 ゴブリン、ホーンラビット────


 もしも、シーズニア大陸外からBランク以上の魔物が侵入したら、大陸の周辺に防衛する神聖騎士団が討伐する事になっている。

 もし逃してしまったなら、神聖騎士団から大教会や各ギルドへ連絡されるそうだ。

 今回はなにも連絡がなかったので、シーズニア大陸内で発生したのだろう、とシリウスはそう推理する。


『冒険者ギルドとしても、調査してみよう。きっと、神聖騎士団から調査依頼が来るだろうしな』


 シリウスはそう言い、書類を漁っていた。


 ◆ ◆ ◆ 


 宿屋に戻り、リリーナを護衛する依頼が終えたと実感する。

 夜はユアと一緒に、食事をとることにした。


『イツキさん、護衛お疲れ様でした。リリーナ皇女様と仲良くなるなんて、不思議な縁ですね』

『ユアさんもお疲れ様でした。そうですね。リリーナはシニフィ語を扱える事が大きかったかなと思います。あ、一番驚いたのは、メイさんとマイさんとリンさんが魔法念話で話しかけてきたことですね!』

『リリーナ皇女様を呼び捨てする程の仲になっていますね……』


 ユアは寂しそうな表情を見せながら、コップの方に視線を向いた。


『あ、呼び捨てしてしまいました……すみません。公の場では、皇女様ですね。気をつけます』


 慌ててしまったが、ユアは気にしてない。いや、それより気になることがあるようだ。


『イツキさんがリリーナ皇女様とシニフィ語で会話していた時、何か明るくて楽しそうでした。念話とは違う顔で私、寂しかったです……』


 ユアは今まで、イツキと【念話】でやり取りを楽しめているので大丈夫だと安心しきっていた。だが、リリーナ皇女の出現でイツキがシニフィ語を扱えることを知り、ユアの知らないイツキの姿に戸惑ってしまう。

 そんなことがあり、ユアは【念話】だけでは、今後の発展は望めないと感じていた。だからこそ、ユアは意を決する。


『イツキさん! お願いがあります! 私にも、シニフィ語を教えて欲しいです!』


 ユアは両手でバンっと食卓の上に叩き、立ち上がって俺を食い入るように見つめたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る