13話 買い物
冒険者ギルドの建物から出た俺たちは、次はどうするか考えた。
素材調達するには、武器や防具とかも必要になるだろう。
『ユアさん、武器屋へ行きませんか?』
『そうですね。武器屋はあちらにありますよ。案内しますね』
俺はうなずいて、ユアと一緒に武器屋へ向かった。
武器・防具屋は1階建ての赤レンガ張りの建物だった。
看板は剣と盾を重ねていて、中世ファンタジーでよく見かけるデザインだ。
実際に見ると、感動しちゃうな。
扉を開くと、筋肉質で強面の人がスマイルに手を揉みながら、
「いらっしゃい。ここは武器と防具を扱っているよ。何か欲しいものありますか?」
と、腰をくねくねとさせて挨拶してきた。
強面なのに笑顔で接待するのは、ギャップがありすぎるとツッコミ入れたくなった。そんな感想を抱いているところ、ユアは強面の店番に尋ねた。
「すみませんが、おすすめの杖とかありますか?」
「おや、お前さんたちは魔導士かい?」
「はい。私たちは魔導士です」
強面の店番は、目がキラリとした。続いて、営業スマイルで商品説明をした。
「なら、この星屑の聖杖がおすすめだね。金貨5枚だよ。それと星屑のローブもおすすめだよ。これも金貨5枚!
スターストーンを素材に作られた武器なので魔法攻撃力や精神力を高めることが出来ます!」
商品につけているタグを見ると、合計で金貨10枚か。
うーん、高いな。
ユアは頬に手を当てながら「やはり、高いですね。手ごろな値段がいいですね」と、断りを入れた。
だが、強面の店番は負けじと、営業トークを更に強化した。
「そうかい。お手ごろだね! それなら、銀貨3枚の魔導士の杖と銀貨5枚の魔導士のローブはどうだい? 合わせて銀貨8枚だけど、割引サービスしますよ。銀貨6枚はどうですか? お手頃価格ですよ!」
「あら、お手頃ですね。それならお願いします」
ユアが俺に振り向き、
『イツキさん、銀貨2枚の魔導士の杖と銀貨3枚の魔導士のローブはどうでしょうか?』
と【念話】で言った。
『それって、性能はいいの?』
『まぁ今、着ている服よりは、少しいいですよ』
『じゃあ、試着してもいいかな?』
ユアはうなずいて、俺に装備品を渡した。
早速、魔導士のローブと魔導士の杖を試着した。うーん……何だか魔導士です!! って感じだ。
もうちょっと、ラフにしたいかな。
『ごめん。今の服のままでいいので、杖だけお願いしてもいいかな?』
『そうですね。じゃあ、杖だけ購入しましょうか』
ユアは強面の店番に、銀貨3枚を渡し、杖のみ受け取った。
強面の店番は相変わらず営業スマイルで、「まいどあり~~」と腰をくねくねさせて、両手合わせて揉み始めた。
強面なのに不自然だと、ツッコミしたくなったが自重しておいた。
購入したのは、先っぽに赤い宝玉が埋め込まれている、木で出来たワンドそのものだ。
魔法の練習にもってこいだろう。
ユアと一緒に武器屋から出ようとしたとたん、
「きゃっ!」
いきなり小さな影が出てきたことで、思わずぶつかってしまった。
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