5話 女神から授かったスキル
神官長メシアの部屋にお伺いすると、シックな色ツヤをした書斎、いくつかの本棚が置かれていた。
ゆったりとした椅子に腰をかけるメシアが、微笑んで言った。
「ユア、ご苦労様です。ごめんなさい、全員、呼び出していただけますか」
「了承致しました」
ユアはペコリとうなずいて、この場を離れた。
メシアが【念話】で励ました。
『イツキ様、十分強くなりましたね』
続いて、メシアは一息ついたのち、寂しそうな顔で言った。
『旅立つときが来ましたね。女神様より神託が下りました。以前に女神様より力を授けられたかと思います。その力がイツキ様の魂に、やっと定着したそうです。実感ありますでしょうか?』
メシアさんから言われるまであまり実感なかったけど、とりあえず、確認してみよう。
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種族 人間 LV15/100
名前 イツキ:タキシマ
HP:500
MP:15000
攻撃:400
防御:350
魔力:15000
精神:15000
スキル所持:言語理解、念話、女神の加護、鑑定、叡智、次元収納、魔力感知、魔力操作、下級魔法、中級魔法
スキルポイント:1500
称号:異世界からの来訪者、叡智を司る者
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ああ、なるほど。【お楽しみに♪】というのは、【女神の加護】のことなんだ。
どんなスキルなのか、鑑定したが思わず、目を丸くした。
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【女神の加護】:女神ディネヘレゥーネに守られる。あらゆる状況での、状態異常や弱体効果等を無効化する。また、強化効果の場合は、通常の倍になる。常時発動スキル。
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…………あの女神は本当に、意地悪な女神だわ。お楽しみにと言って、今度はチートスキルですか。そうですか。
気を取り直して、メシアにスキルのことを伝えた。
『鑑定しましたが、女神より加護を頂いたスキルでした』
そう伝えると、メシアが瞬いた。
『これは……。神のスキルですね。きっと、旅のお助けになるでしょう。女神様のご加護がおらんことを……』
メシアは、両手を合わせて祈った。
祈る仕草は、惚れ惚れするほど魅力的に感じられた。
たが、1つ、おかしなことに気付く。
【女神の加護】は、耳が聞こえないことも、状態異常なのだろうか?
生まれつきだから、効果ないのだろうか?
もし、本当に効果なしなら残念な気持ちになりそうだ……。せっかく異世界に来たのに、聞こえないままなんて。
ため息をもらしながら、いったん、気持ちを取り直すことにした。
まずは、メシアさんに感謝の意を述べよう。
『メシアさん、この1か月間は、大変お世話になりました!
せっかくですし、この世界を旅回りたいと思います』
『あら、旅人ということなのですね。1つ尋ねますが、職業とかそういうの、決まっていますか?』
『あ、まだ決まっていないです。――そうか。生活もかかりますし、職業も考えないといけないか』
旅とはいえ、移動するための手段はお金かかるだろうし、どうするか悩むうちに、メシアは微笑みながら、提案を出した。
『そうですね。世界へ旅回るなら、自由に動き回る職業が良いでしょう。冒険者、あとは商人、職人など色々ありますよ。ただし、旅は危険も伴います』
冒険者か……。ここは本当に、ゲームの世界みたいだね。冒険者は慣れ親しんだ言葉だし。やはり、冒険者が良いかもしれない。
『なるほど……まずは、冒険者で行こうと思います』
『そうですね。旅は危険なこともありますので、念入りに準備しておいた方が良いでしょう。他に、商人や職人等も色々な職業があります。それと、冒険者ギルドと商人ギルド、職人ギルドなど、いくつかのギルドがあります。当然、ギルドごとに登録しないといけません』
冒険者になりたいなら、冒険者ギルドへ登録する。
商人になりたいなら、商人ギルドへ登録する。
なりたい職業によって、ギルドごとに登録しないといけないそうだ。
もちろん、無登録のまま、活動すると罰として、5年間の奴隷になってしまうので注意しないといけない。
日本でいえば、車の免許みたいに無免運転違反とったら、罰金か刑務所入りという感じだろう。
しかし、ギルドっていくつかあるんだな。何かなるには、個別に登録する必要があることは、日本でも同じだね。
メシアとイツキの【念話】でのやり取り中に、ユアから全員揃いましたと連絡が届いた。
「イツキ様は明日、旅立つことになりました。今夜、お祝い会を行いませんか?」
メシアの宣言により、神官たちや侍女たちにも一瞬、寂しい顔をしたが、
「「やりましょう」」と微笑んでいた。
ユアが手を挙げた。
「あのっ! メシア様、発言の許可をいただけますか?」
メシアが振り向いた。
「何でしょうか?」
「私、イツキ様と共に旅立ちたいです。
念話できる神官は私しかいませんし、この先、イツキ様の旅を支えればと思っています」
ユアが高らかに宣言した。続いて、メシアが目を丸くした。
「まさか、あなたから言ってくれるなんて。――確かにそうですね。助かる面も大きいでしょう。イツキ様と共に、旅することを許可します」
俺はみんなが何を話しているのか分からないので、頭の上に、ハテナを浮かびながら様子見しているところ、ユアから【念話】が飛んできた。
『イツキ様、私も共に旅立ちたいです。よろしいでしょうか?』
ユアから【念話】で話しかけてくることに、目を見張った。
この先の旅は1人心細いし、念話できるのって、メシアさんとユアさんだけだ。
話が分からない時も、協力してくれると思う。この先、旅は1人では心細い。ともに行くほうが助かる面も大きいだろう。ただ、教鞭の鬼だけは勘弁だけどな。
俺はうなずいて、ユアに【念話】で言った。
『ありがとうございます。とても助かります。こちらこそ、宜しくお願いします』
『イツキ様、ありがとうございます!』
イツキとユアは、互いに一礼した。
これからは2人で、旅立つことになるのであった。
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