25.失楽園

今度のロボットは模型だった。

体中にカプセルのようなものがついており、戦闘用にはとても見えない。

「この機体は、対生命体特化兵器として開発されました。『汚染』に特化した兵器で、生命に有害なありとあらゆるものが詰め込まれています。特徴的な装甲外部のカプセルは汚染物質の塊で、例え機体そのものを破壊したとしても残骸が大地に落ちれば星を容易に汚染出来るほどの性能を誇っていました。半面、戦闘能力は並以下で、破壊そのものは容易だったそうです。ただし、この機体の有害物質は衛星軌道上で炸裂した場合でも星の大部分を汚染できたらしく、対処法は『カプセルをばらまく前に無傷で鹵獲する』か『星の重力圏に近づけさせない』程度のものしか存在しなかったとか」

「実際に投入されたのか?」

「はい。確認できるだけでも十八の星に投下され、いずれの星も未だに汚染区域にしていされたままです。知覚生命体が再び住めるのは少なくとも七億年後だとか」

「禁止されなかったのか?」

「もちろん、禁止指定されました。『環境への悪影響が度を過ぎる』と。環境保全の署名も星二つ分くらい集まったそうです」

妥当なところだろう。

「ただし、遠隔カメラによる調査の結果、これらの星は毒素を克服した一部の原始動植物の楽園になっており、人が居た頃よりも生命反応が増加しているとか」

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