4.エコロジーミサイル

「これは……ミサイル?なんか木目調だけど」

「はい。“エコロジーミサイル”は、環境問題に配慮して作られた人道的殺戮兵器です。別名は木製ロケット」

「木星?」

「木製です」

「配慮された兵器とは」

「親しき中にも礼儀ありですよ?」

「その使い方は間違ってると思う」

「この兵器は木製の簡素な作りで、和のテイストを感じさせるデザインが一部界隈で熱狂的な人気を博しています。驚くことにちゃんと発射可能で、実戦に投入された記録も残っています」

「こんなものが戦場で飛んでくるのか……」

「欠点としては特殊な製法から生産コストが高く、一般的なミサイルの7倍近くかかること。また、信頼性も高いとは言い難く、湿気や衝撃に非常に弱くて水辺では打てなくなったり不整地の車上で使用された際は筒の中で誘爆して味方に甚大な被害を与えたとの記録が残っています」

「なんで作ったんだよ」

「発明とは失敗の上にあるものですよ」

「これは発想の段階で間違ってると思うが」

「余談ですが、原材料である特殊な木材を得るために銀河資源保護区の森林を違法に伐採し、緑の惑星が一つ砂の惑星と化したという黒い噂があります」

「やっぱり生まれてくるべきでは無かったのでは?」

「誕生を熱望された兵器なんてそうありませんよ」

木製ロケット、わびさびを感じるデザインは悪くなかった。

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