3.Paradox

「これは見たことあるな」

「“Paradox”は、SN社製の汎用戦闘ロボット“ステーション”の違法改造機です」

横たわる10メートル級ロボットは、僕の知る限り銀河にありふれた姿のものだった。

「どこを改造してあるんだ?」

「動力部です。非常に実験的な機体で、永久機関の搭載を目指していたと記録されています」

「永久機関とな」

「この永久機関はかつて広く普及していた愛玩動物の背中にバターを塗ったトーストを張り付けることで完成するとされ、愛玩動物は銀河のあらゆる場所から「徴兵」されて絶滅の憂き目を迎えることになりました。KONEKOのもとになった生物ですね」

「バター?」

「はい」

「なんで?」

「さぁ?」

バターに縁のある動物である。前世はホットケーキか何かだったのかもしれない。

「なお、当然ながら動力炉が不完全で起動しません。その動物が絶滅してしまった今となってはどういう理論だったのかは闇の中ですが」

謎の多い機体である。

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