第82話 テンションを魔術であげてるの忘れてた
急遽予定に組み込まれたクリスマスパーティー。
それを実行する行動が始まった。
そこそこ急ぎの決定なので行動も急ぎだ
とりあえずせっかくのパーティーなのでまわりの知り合いの神も声をかけようという話になり俺の知り合い(主に神)に声掛けをすることとなった。
「今日うちでクリスマスパーティーするからよかったら友神でも連れてきてくれ」
要点をまとめたこの説明。
「詳しいことも言ってないし急やしそんなにこんやろ?」という魔術でハイの思考のもと、雑に招待をしてしまいましたが…大丈夫ですよね?
あっはっはっはっは!まぁ!何とかなるだろ!
……この時の俺はまだ知らなかった。
意外と神様というのは年末暇だということを。
ちなみに招待した人たちの返事は…。
『本当かい?いやぁ!お誘い嬉しいね!
じゃあ僕の友神たちと…そうだなクロネの友神の子でも連れて行くとしよう!』
『ほっほっほっほ!こんな老神に声をかけてくれるとはのう。
では付き合いの長い友神を誘ってみるとするかのう』
『かっか!知っておるぞナユタ!イエスとかいうのを復活させて遊ぶんだな!
…えっ?違う?…かっかっか!是非もなし!』
『パーティーっすか!?お誘いっすか!?自分っすか!?
…いくっす!絶対にいくっす!』
『お誘いありがとうございますナユタさん。ですが今日は夫と牢屋の中でクリスマス仕様の拷問パーティーをする予定でして…はい、イエスメイデンです!』
だいたいこんな感じ。
皆さん意外と乗り気ですね。
一応探偵組にも電話をかけてみましたが電話口から爆発音しか聞こえなかったので多分来れないことでしょう。
…てかあいつら聖なる夜に何してんだ?
◆◆◆◆◆
そんなこんなの後、俺はパーティーの準備に走り回っている。
いらない物とかを片付けに右へ左へ。
「飾りつけは何故かベルの大量生産で出来てたから良しとして…、
後は…あー…しまった、肝心のクリスマスツリーの準備忘れてた…」
去年以上に忙しかった今年はそもそも去年のように外にクリスマスツリーを飾ることすらしていなかったことを思い出す俺。
しまったな…でもクロネとかネムト(大人)とかさゆりは今晩のパーティー用の料理の準備で忙しいし…。
どう考えてもちゃんとしたものを手配する時間はない。
「…しゃーない、ホームセンターで安物のやつ買ってくるか…」
ちょちょいと門を創造し近場のホームセンターに行こうとしたそのとき、
「ご安心を!我が神よ!」
床に作った門から唐突に上半身を乗り出したニグラスが俺にそう言った。
…いやどうやってそこに割り込んだ。
しっかり者のしたり顔で門から出てくるニグラスは身嗜みを少し気にした後、
こちらに仰々しい礼をする。
「お忙しいところ失礼します我が神よ。
クリスマスツリー…お探しですか?」
「お前…いつからそこに…まぁいいか。
そうだけど何か考えでもあるのかマイ眷属」
「もちろんです。
というか今年のクリスマスツリーならすでに私が設置済みですので」
そう言いながら自慢げに庭を指さすニグラスに釣られて庭を見るとそこには去年よりグレードアップしたクリスマ(シュブ=ニグラ)スツリーが飾ったあった。
そういえば去年もいつの間にかあったけどこいつの仕業だったのか。
「助かる…ってかお前クリスマスパーティのこと知ってたのか?」
「いえ?まったく知りませんし、
ツリーが必要なのは先ほどの門から聞こえたので知りました」
「…えっ?じゃあなんでこのツリー…」
その問いに黒い髪を揺らしてニグラスが頭を傾ける。
「…?
いえ、去年からご契約いただいているツリーレンタルのご契約履行ですが?」
「いや!?知らんけど何それ!?」
「はい、ご契約により毎年クリスマスツリーを貸し出すご契約プランです」
全く身に覚えのないその契約。
いったい誰がどこで…。
「ニャルラトホテプが去年ナユタ様名義でご登録なされており契約金も先払い一括で済んでおりますよ」
「あいつか!」
犯人特定の瞬間であった。
「100年分お支払いがされておりますのであと98年はツリーの心配は不要かと思われます」
「なにそのクリスマス100年計画…」
あいつどんだけクリスマス楽しみだったんだろう?
…でも良かったな、お前は牢屋でクリスマスメイデンだ。
「まぁ…いっか!ありがとうなニグラス助かるわ」
「お役に立てたのなら至福の喜びにございます。
ところで我が神よ…今夜はここでパーティーなのですか?」
何やら思案顔で我が家のリンビングを見ているニグラス。
何かおかしいだろうか?
「そうだけど…どうかしたか?」
「…いえ、失礼かと思いますが少々パーティーをするには狭いのではないかと」
「…そうか?」
ニグラスにそう言われた俺はリビングを見渡すがこの家は結構もともと大きい。
無駄によく作られたニャルの元別荘だからな。
「招待はいかほどに?」
「知り合いに友達でも連れてくれば程度だ。
急だし…多分そんなこないだろ?」
「…………」
しばらく黙り込むニグラス。
そして小さく頷いた後にニグラスが口を開いた。
「我が神よ、これは私からの助言なのですが…至急この部屋を4倍ほどの広さになさった方がよろしいかと」
「4倍!?そんなに幅がいるか?」
「はい、おそらく。我が神は自覚なされていませんがそれなりに広い範囲の外宇宙の神に我が神は干渉しております。ですので用心に越したことはないかと」
「ふーむ、なるほど」
ニグラスの進言を聞きリビングを再び見渡す。
…確かに言われてみれば俺や家族だけならともかくノーデンスじいじとかは体格でかいしな。
足りないよりは多い方がいいだろう。
広いに越したことはないし。
「わかった、空間魔術で広げよう。
ニグラス悪いけど…」
「はい、お手伝いさせていただきます」
このようにしてリビングが縦横4倍の広さに変更されました。
これで少し予定よりも来ても大丈夫だろ。
広くなったリビングに感動し転がっているアサトとヨルトを微笑ましく見守りながら俺はそう思う。
…だが前述した通りこの見通しが非常に甘かったみたいでして…、
「よかった…広くしてて…」と思うまでそこまで時間はかからないのであった。
◆◆◆◆◆
ニグラスという地味に強力な戦力も加わり準備も大分整ってきた。
料理もうちの妻たちのハイレベルなものが完成し準備万端。
もし料理が足りなくなってもニグラスの提供サービスに連絡が入りパーティー用の料理をすぐに運んできてくれるとのことだ。
この眷属有能なのでは?
これであとは来客を来るのを待つだけ…そう思っていた時期が俺にもありました。
実際来客が来るのを待つだけだったが「せいぜい7人くらいかな?」という予想は大きく覆される。
最初はノーデンスじいじが来た。
…屈強なお爺ちゃん2柱を連れて。
「ほっほ!今日はよろしくのう。
こっちにおるのは友神のオーディンとゼウスじゃ」
「そなたが外宇宙の統一神じゃな。
わしはオーディン、そこそこの神じゃ。よろしくの」
「俺はゼウス。一応昔は全知全能などと言われとったぞ!
今は記憶力と腰が敵わんがな!はっはっはっは!」
豪快なマッチョお爺ちゃんんが3柱。
何故だろう景色が狭い。
で、次にウタウス。
一目見た感じでは誰もつれてきていないように見えたが…
「ほ、本日はお、お招きい、いただき光栄っす!
それとこっちにいるのが…あれ?ナチャ?どこいったっす~?」
首を振り振り誰かを探すウタウス。
俺も首を振ろうとしたそのとき、
俺の上から何かが覆いかぶさって落ちて来る。
「わぷっ!?」
「はーいっ!どうもナチャちゃんはこっちだよー!
こんばんはお招き感謝って感じ!よろぴく家主さん!」
俺の上に覆いかぶさって現れたのは、
上はギャルで下半身は蜘蛛の少女…らしき神だった。
アトラク=ナチャさんだそうです。
アイドルだそうです。
ちなみにこの後、ナチャちゃんは何やら怒っているウタウスにボコられてました。
―—小声
「何ナユタさんに飛びついてるっすか!うらやま…けしからんっす!」
「ほほう…そのリアクション…さては彼だなウタウスがメロっちゃった相手!」
「な、な、な、な、何いってるっすか―!!??」
「あはっは!わかりやすす…待ってウタウスっち!
足引っ張らないで!捥げる捥げる!」
そのまた次に来たのはイグさん。
「やぁ!やってきたイグ膳さんだよ!」
「お疲れ様ですイグさん」
「やぁ!ナユタ君!今日は仕事の疲れを忘れて楽しませてもらうよ!」
意気揚々いつも通りのテンションでのイグさん。
だがその後ろには見たことない面子が勢揃いしていた。
まずは蛇っぽい見た目の男性。
姿かたちは人だがなんかひたすら自身の手を口に咥えている。
蜂蜜でもついているんですか?
「僕の名前はウロボロス。一応再生の蛇神なんだ。
…ん?これかい?
癖なんだ、自分食べるの…いつもこんな感じだから気にしないでいいよ」
とのことです。
どうやらそういう神様のようだ。
…で、その後ろ。
銀色のドレスみたいな服を着たちょっぴり妖艶な雰囲気の少女…のように見える。
だがその下半身からは蛇の尾がしっかりと出ていました。
「私はゴルゴーン3姉妹の長女ステンノ。
イグの紹介で来たわ、よろしく」
この神様の名前は聞いたことあるな確かメデュ―サ・エウリュアレ・ステンノの3柱でゴルゴーン3姉妹。
石化の魔眼を持つ女神だっけ?
ジーっと彼女の目を見るとそこにはうっすらと神の力を感じる。
やっぱりあるんだな、石化の目。
とかやってるとニヤリと挑発的にステンノが笑う。
「外宇宙統一神だか何だか知らないけどあんまり無防備に私の目を見ていると石にするわよ?」
「…あー了解です。ただそのときは手加減してもらえると多分助かる…」
「あなたが?」
「いや…えっと…ステンノ自体が?かな?」
「…えっ?」
ゆっくりとステンノ…の後ろにいる俺の妻たちを指さす。
無表情で彼女の蛇の尾を掴んでいるアサトとヨルト、
猫の姿で彼女の頭に噛り付いているクロネ、
そして何より恐ろしいのが日本刀をいつの間にかステンノの首に薄目の表情で当てているネムト、
その逆側ですごくいい笑顔で包丁を首に当てているさゆり。
おそらく彼女たちの前で石化の魔眼なんか使ったら真っ先にお命頂戴だろう。
いつの間にか四面楚歌の蛇女神がこちらに涙目で「たすけて…」と訴えている。
案外可愛い女神様なのかもしれない。
こうして8人の来客が前半にあった。
…そう前半なんですよこれ。
この後、更に来客があることなんて知る由もない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます