第53話 そうだ海に行こう! ↑
朝ベッドの上で起きた俺はすぐに異変に気付く。
前が見えない。
別に目が見えなくなったとかそういうことではなく、これは多分誰かが俺の頭を抱きしめているからだろうと察する。
で、候補を考えるとクロネかな?と一瞬思ったがそれは違うと考え直す。
以前クロネが寝ぼけて俺の頭を抱きしめていたがここまでまったく視界がなくなるほどの巨乳ではなかったはずだ。
小さくなく大きくなく綺麗でバランスのいい胸がクロネの胸です。
…じゃあこれ誰だろう?
思い当たるのは以前、
俺に襲い掛かる(性的な意味で)とき大人の姿になったアサトとヨルトだろうか。
2柱ともとても大きな胸をお持ちでしたからね。
大きな胸の候補としては間違ってないはずだ。
しかしそれには問題がある。
昨日寝るとき2柱は端側にいた。
位置的に無理があるかもしれない。
そんな感じで長考していた俺ですが…そろそろ限界です…息が。
このままでは魔術でも使わない限り窒息死してしまいそうなので夫だけに許される最大の奥義をもってしてこの状況を葬ろうではないか。
(…失礼します!)
腕を布団からだし俺の頭を飲み込んでいる大きな胸を揉みしだく。
すみません、死んでしまうので助けてください。
ギブアップ!ギブアップ!
俺の奥さんでなければ痴漢で即タイーホですよ、これ。
すると胸をもまれた相手が反応したのか俺の頭を抱きかかえている体がピクンッと反応する。そしてそれによりどうやら相手が目を覚ましたようだ。
「…あんっ………んっ…旦那様…朝からはダメですよ…」
「…んむぅー!んむぅー!」
とりあえず死にそうな俺は必死に彼女の胸をタップする。
それで寝起きの相手にもようやく俺の状態が伝わったのか。
長い拘束から俺は解き放たれるのだった。
男としてはとても嬉しい状況ですがこれで死ぬのは皆勘弁したいだろう。
「…あっ!す、すいません旦那様!今離します」
「……ぷはっ!はぁー…はぁー…死ぬかと思った…」
俺は先ほどまで俺を抱きしめていた相手を確かめる。
いやまぁ…口調と俺の呼び方で誰かはわかってたんだけどね。
「…ふぅ…おはようネムト」
「おはようございます旦那様」
そこにいたのはいつもの眠っているときの子供姿とは別の姿、
起きているときの和服美人妻モードになっているネムトの姿があった。
寝起きですこし眠そうなネムトの白く薄い装束が扇情的だ。
我が妻ながら美人さんやで。
「すいません、眠っていた時に抱きしめてしまっていたようです。
首を痛めたりはしていないですか旦那様」
「大丈夫だよ。息さえ出来ていたらあのままでもよかったんだけどな」
「…ふふっ…じゃあ今度抱き着かせていただくときは息ができるように後ろから失礼しますね」
お互いにベッドの上で笑い合う。
ゆったりとした癒しのこの時間は傍にいたアサト達が起きるまで続いた。
◆◆◆◆◆
さて朝食、皿洗い、掃除を終えてゆったりしている俺。
今日はクロネとネムトが手伝ってくれたからいつも以上に片付くのが早かった。
で、色々片付いて現在我が家にいる住人+そこそこの頻度で遊びに来ている神達がテーブルに揃い椅子に座っている。
…何事ですかこれ?
「なんでみんなここに集まってるの?」
「旦那様、私が呼びかけてここに集まってもらったんです。
今日これからの予定のために」
「イグは仕事で忙しいからこれなかったけど大体は集まったわよ。
で?今日のこれからの予定って?」
クトゥグアがネムトにそう言うと静かに頷いたネムトが返答する。
「はい、それなのですが…
以前より計画していたルルイエ海水浴の準備が整ったので皆さんを集めて海水浴でもどうかなと思いまして」
「ルルイエ海水浴?」
「はい、ルルイエの一部分を改造してビーチにしてありますのでそこで海水浴ができるようになってます。今日は星辰が揃っているのでルルイエも浮上しておりますし、真夏日ですので最適と思い提案したいと」
「いいんじゃないか?俺は構わないよ。みんなは?」
「「「「「「「「 賛成~ 」」」」」」」」
こうして今日はルルイエに海水浴に行くことが決定。
そのために昼より前に海に行く準備をすることになったのだが。
「…ん…ナユタ…水着…どう?…」
「ナユタ、水着似合ってるかな?」
「あまりいつもの服と変わらぬデザインじゃが似合っておるかのう?」
「いつも和装なので今日は私も普通の水着にしてみましたが…
…似合っているでしょうか?」
とまあこんな感じで妻たちが全員俺に水着を見せに来てくれました。
我ながら幸せな状況ですね、いやまったく。
まずいつものアサト・ヨルト姉妹だが今日はちびっこの体ではなく大人の姿になっていた。
アサトはいつもの少し短めの綺麗な金髪がストレートロングになるほど伸び、
体は日本人の平均的な女性くらいの高さの身長。
そしてそれに似合わぬダイナマイトバスト。
末恐ろしい妻やでホンマ。
そしてその妹のヨルトもそれに比例したのか何なのか胸が同じくらい大きくなってました。巨乳おおくない?
体は初めてこの家に来た時と同じ少し大人の女性らしい印象を受ける少女と言った感じだ。
あの時と違って柔らかい笑顔なので印象がまるっきり違いとても可愛い。
髪は翠銀色の髪をサイドテールにしている。
そしてその大人の姿の二人の水着は…色違いでお揃いのビキニでした。
綺麗な肌が…眩しいぜ。
いつもロリ姿の二人が大人のダイナマイトボディでビキニというのは反則的に魅力的だ。男ならこれは反応するじゃないですかね…ホモ以外。
俺の愚息が反応しないかとやや心配していたが、
「似合ってるよ」と言った瞬間花が咲いたような笑顔で嬉しそうに俺の腕に抱き着いてくる姉妹を見ているとそれは杞憂だったようだと感じる。
体が大きくなっても挙動はいつも通りだから安心だな。
で、次にもともと大人組のネムトとクロネ。
こちらはシンプルにお綺麗でした。
クロネはいつもの妖艶な服をそのまま水着にしたような印象のフリル付きの黒い水着だ。細くてきれいな体のラインがよく見える。
よく見るとお尻の尻尾が水着から普通に出ているので猫専用の水着らしいです。
相変わらず可愛いクロネを褒めると嬉しそうに耳と尻尾をピコピコしていました。愛い奴め。
最後はネムト。
いつもはロリボディだが今日は彼女が起きているので体はいつも和装の時の大人ボディ。
和服越しでもはっきりとわかりやすい凶悪な体つきをしているので彼女の水着は、
俺以外の他の男には刺激が強いだろう。…俺?普通に刺激が強すぎますね!
だが今回はいつもの和装ではなく水着だ。
しかも青と黒のラインが入ったシンプルなハイレグ。
先ほど言った通り凶悪な体がハイレグで露わになっていてとてもお綺麗です。
俺の妻だと思うとなんかもう名誉ですよホント。
彼女自身も今回の格好は攻めているらしく、
「普段は私は眠っているので、こういう時に旦那様を誘惑しておかないといけないと思いまして……ち、ちょっと恥ずかしいですが…似合ってますか?」
和服以外は着慣れていないらしく少し恥ずかしいそうにこちらを見る黒髪ロングのハイレグ水着お姉さん。……いいね!
妻たちの綺麗な水着の御姿を心のフィルムに焼き付けて神に感謝する。
神様…幸せな気持ちをありがとう。
ここにいる神以外の神にお礼を言っていると横からドヤ顔のニャルが流れてきたのでとりあえずぶん殴っていたそのとき、ベルの声が後ろから聞こえる。
「マスター。水着」
「ほいほい。えーと……ファッ!?」
俺は驚き奇声をあげる。
ベルが水着を見てほしいんだろなと思い気軽に振り返ったそこには予想通りベルがいた。
いつものちびっこゴスロリと違い、スレンダーな大人ボディ。そして我が家唯一の貧乳枠である。
だが今回俺が奇声をあげた原因はそこらへんにはない。
その原因…それは彼女の格好にあった。
「…ベル?それなに?」
「? 絆創膏」
そう絆創膏だね。
絆創膏オンリーだね…。
なんとベルは全裸の格好で大事なところを絆創膏で隠した格好だったのである。
こんなん驚くわ!
「ベルさんや?それは水着ではありませんよ?」
「勉強用の教材に載っていた」
「それ夜伽用の教材だろ!」
「是」
おう…これはPTAに怒られる…いや子供の姿ではないから自己責任?
…いやこれじゃただの痴女だし駄目だろ。
「ベル、とりあえず別の物に替えてきなさい」
「了解」
そう言って絆創膏装甲を纏ったベルがいきなり装甲を外そうとするのでさすがに止める。嫌な予感がしたので一応次の水着を聞いてみた。
「………ちなみに次の水着は?」
「ホイップクリーム」
「もはや食材ですよそれ」
「絆創膏がある場所に付与」
絆創膏よりアウトだし海に入ったら流されるだろそれ!!!
このままではまずいと思い叱ろうとしたそのとき、
ベルの両脇をニャルとイホウンデーさんが申し訳なさそうな顔で抱えて別室に連行する。もはや両親としては看過できなかった様だ。
その数分後、学校の水着に着替えたベルが戻ってきた。
名前の欄にはひらがなで「べる」の文字。
シンプルに似合っているのでいいんではないでしょうか。
…というか他の格好が危なすぎるのでそれでいいです。
そんなこんなでいろいろありましたが全員無事に海水浴の準備を終えた俺達はルルイエへ転移するのでした。
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