第34話 おい、デュエルしろよ!『炎・海神のすゝめ』
俺は昼ごはんの準備中だ。
隣には起床して大人の姿に変わっているネムト。
和服美人の妻と一緒にキッチンに並んでいると、
とても心地よい生活感が出ていいね。
とか適当な感想を述べていると寝室からヨグソトースが出てくる。
まだ少し眠そうに瞳をこするあたりは姉妹のアサトによく似ているな。
「おはよ。朝ごはん準備するから顔洗ってこいよ」
「おはようございます。副神」
「…んーおはよぅ」
「眠そうだな」
「……昨日お姉ちゃんが寝てるときに思いっきり私にしがみついてきて苦しくてあんまり寝られなかったから…」
「なるほど」
いつもアサトと一緒に起きてくるのに今日は昼頃に起きてきたわけだ。
「…お姉ちゃんは?」
「リビングの方にいるぞ」
俺の言葉を聞いたヨグソトースと俺がリビングに目を向ける。
そこでは…、
「…ニャル…デッキ出来た…」
「ほう、この俺にできたばかりのデッキで挑もうというのか。
面白い、かかってくるがいい!」
そう言ったニャルがなんか腕に機械をつける。
そしてアサトにも同じものを渡す。
「これは別の世界から持ってきたデュエルディスク!
これでカードが実体化してよりスリリングなデュエルが楽しめるということだぁ!」
解説どうも。
そしてアサトが腕にディスクをはめて準備が完了すると、
『デュエルが始まります!デュエルが始まります!
リビングにいる一般神は退避してください!』
という機械音声とともにリビングが変形していき空間が歪んで体育館みたいなスペースにリビングが変わる。
……っておい!人の家を何で魔改造してんだ!
多分、この間のお風呂の工事の時に一緒にやったんだろう。
自分から俺達がいない間に準備してくれたから気を利かせてくれたのかと思っていたがこれが目的か。
「いくぞ!主神」
「……ん…」
「「デュエル!!!」」
という感じで騒がしいり
そして隣のネムトの肩をポンポン。
「どうかしましたか?旦那様」
「もう大体済んだし、ネムトはヨグソトースと一緒に昼ごはん食べてていいよ」
「わかりました。では…」
「そうね、じゃあ私も昼ごはん貰おうかしら」
物凄く自然に会話に混ざってきたのはクトゥグア。
いつの間に入ってきたんだ?
「了解~。ごはん?パン?」
「私はパンね」
「ごはんでお願いします」
二人に注文通りの昼ごはんを出した後、俺は皿洗いや調理器具洗いでキッチン業に勤しむ。
そんな中、妻と、友神と、副神の会話が耳に入る。
「ここに居る神ってなんで争わないの?」
「もとよりここに来る神達はそういうことを望んでないということもありますが…単に争う必要がないからだともいます」
「まぁね、人間の世界で出会うなら自分の目的とかで他の神が邪魔になるんだろうけど…ここはそういうのとは無縁だもの」
「ふ~ん…」
「それに少しだけ考え方が変わってきたというところもあるのではないでしょうか?
最近、友達のワダツミちゃんに聞きましたがクトゥグアとカグツチが仲良くしているということを聞きました。二人は以前、炎の神の覇権をかけて殺し合っていたんです」
その言葉に手をヒラヒラとしながらクトゥグアが答える。
「気づいたけどカグツチと紅茶の趣味があってたのよ。
最近は時々、お茶会をしているわね。
…まぁ彼から聞く話は『最近、母イザナミが父イザナギをボコボコにしている』とかの両親の愚痴だけど。
それにあなたも私のことは言えないでしょう?
昔はあなたもワダツミと殺し合っていたんだから」
笑いながらそう言われたネムトはそれに無言のまま笑い返す。
…さらっとうちの妻や友神がすごい殺伐のしていた過去が語られたが…今は仲はいいようなので聞かないでおこう。
「…どうやって他の神と仲良くなれたの?」
「そんなの決まってるでしょ?」
「そうですね。
どんな形であれ、まずは相手のことを知ることが大事なんです」
「争いにしろ干渉にしろ、ね。」
それを聞いたヨグソトースは少しためらった後に言う。
「…私にもできる…かな?」
その言葉を聞いたクトゥグアとネムトが顔を見合わせて笑い合う。
それを見たヨグソトースは顔を赤くして恥ずかしげに怒る。
「何よ!聞いちゃ悪いの!」
「…あははは!そうじゃないって」
「…ふふっそうですね。誤解させてすみません。
副神、あなたはもうできていますよ?」
「……えっ?…」
「最初は争いだったかもしれないけど…今はここでこうして食事をするくらいに仲良くなれているじゃない?気づいてなかったの?」
「…あっ…」
その言葉を受けた彼女は驚きながら2柱を見る。
その様子を見た2柱は再び笑い合うのだった。
うちの神達の仲良くする場面を見た後にふと俺は
「ふははは!初めてにしては粘ったほうではないか!
だがここまでだ!
俺はフィールドに存在している神2柱と
俺自身でコールオブクトゥルフ!
3柱の神でCOCネットワークを構築!テケリーリ召喚!」
なんかまばゆい光とともにニャルが輝きだす。
強そう。
「無限にも等しき貌の神よ!今こそ、その無貌の瞳で世界を嗤え!
さらにコピーした
光の収まったところにはなんかキマイラじみた物体になった神と融合し上半身だけ出ているニャルの姿が。
いるよね切り札と体を一体化させるラスボス。
負けたときのことを考えないのだろうか?
「いけぇ!
アサトのアーミテイジ教授を攻撃!【
なんかそこに立っていたおじさんが「今は…それどころではない…ぎゃあああ」と言いながら消し飛ぶ。
「…墓地の
このタイミングでチラッとヨグソトースを見てみると少し嬉しそうだった。自分のカードが姉を助けたのだ嬉しかったんだろうなぁ。
「ちぃ!無駄なあがきを!だがこの神が存在している限りおれの勝ちは揺るがないのだ!ふははははははははは!」
高笑いをするニャル。悪役だなぁ。
「…ん…大丈夫。準備は整った…」
「……なに?」
負けそうみたいだがアサトは冷静にそう言う。
「…ん…私のターン…ドロー…。
…手札から速攻魔術『鳴りやまぬフルートの旋律』を発動…
効果で墓地と除外されている人間族カードを
供物にして…コールオブクトゥルフ…
10体の供物でCOCネットワークを構築…テケリーリ召喚…」
ちょっぴり背伸びしながらアサトがかざしたカードからフルートの音色が響き渡る。…勝ったな。
「…開闢から終焉まで我が手のひらの上
…矮小にして愚かなるものに裁きを…すべてを無に帰せ…。
…きて…
……
相手の山札・手札・フィールド・墓地・そして除外されているカードの効果を無効化する…」
「くっだが…このカードは効果の対象には指定できない!…」
「…指定はしてない…全て…」
「…なにっ!?全てとはすべてを対象に指定するのではないのか!?」
「…違う…」
日本語って難しいね。
「そして無効化したカードの枚数一枚につき攻撃力を
10000アップする…42枚無効よって攻撃力…
これはひどい!
「…
「ば、ばかなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
召喚された神の力でニャルが火柱に包まれる。
その光景を見たクトゥグアが「いい火力ね!」と興奮していたが気にしない。
火柱が収まりそこには丸焦げになったニャルがたいた。
「…まさか負けるなんてな!だがいいデュエルだったぜ!またやr…」
「…まだ…終わってない…」
「ひょ?」
終わったと思っていたニャルに残酷な宣言が聞こえた。
「速攻魔術発動…『マーシャルアーツ+キック』。
…効果でデッキをめくって出た人間族の数だけ追加攻撃する…
ドロー…人間族…追加攻撃……ドロー…人間族…追加攻撃……
ドロー…人間族…追加攻撃……ドロー…人間族…追加攻撃……
ドロー…人間族…追加攻撃……ドロー…人間族…追加攻撃……」
「ぎゃあああああああ!ぎゃああああああ!ぎゃあああああ!
ぎゃあああああああ!ぎゃああああああ!ぎゃあああああ!」
アサトがカードをめくるごとにニャルが丸焼きになる。
やめて!もうニャㇽのライフはゼロよ!
こうして初デュエルは無事、妻が勝ちました。
尚、この後ニャルはデュエルをやりたがらなかったそうです。
おい!デュエルしろよ!
今日も我が家は平和です。
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