第24話 昨晩はお楽しみでし『させねーよ!?』

 さて先日俺はクトゥルフと結婚した。

 大体眠くて寝ているのでツァト同様そこまで要求されることもないクトゥルフはこれといった問題もなくみんなと仲良くなった。


 なお、彼女はツァトグアと違って惰眠をむさぼっているのではなく、ある条件が整っているときしか起きることができないそうだ。

 眠そうなのは実は眠っている体を無理やり動かしているらしい。

 …つまり眠っている神様と一度も起きた状態で会話せずに、眠ったまま結婚してしまったんですよ俺。

 まぁクトゥルフが「意識はー起きてるときとー変わらないからー大丈夫だよー」とのことだ。

 起きたときにいきなり「テメェ眠ってるときに無理やり結婚するとはいい度胸だな!」みたいなことにはならないらしい。


 そんなクトゥルフだが何やら俺にお願いがあるらしく現在リビングに俺とニャル、アサトとベルが一緒にいる。ツァトは布団で寝ています。


「…で?お願いってなんだ?」

「…えっとねー…二つあってねー…一つは私もアサトみたいにー名前が欲しいのー」

「それは…あたらしい名前を俺につけてほしいってことか?」

「そだよー」


 成程。クトゥルフって長いしな。

省略して「クトゥ」と呼ぼうかと思ったりもしたが…これだとクトゥグアも同じになっちゃうんでやめた。この際だ、何か名前をあげよう。

 …………………閃いた!


「じゃあ今日からクトゥルフの名前は『眠兎ねむと』だ。

 ……問題ないか?」

「…うんー!いい名前なのー!」


 眠そうな表情がすごくうれしそうになる。

自分の妻になったからかすごくかわいい。

俺はなでなでを執行する。サスサスサス~。


「これからもよろしくな~ネムト」

「よろしくー旦那様ー」


 クトゥルフ改めネムトとじゃれ合っていると横でアサトがこちらを見ている。


「…じー…」


 口でじーと言っているアサトを見ていると今度は反対側にベルが来る。


「じー」


 お前もか。仕方ないのでネムトを膝の上に座らせながら左右のアサトとベルの頭を撫でる。


 幸せそうな2柱と1冊が満足するまでこれは続いた。

 …でしばらくして元の配置に戻った俺達。

 もう一つのネムトからのお願いを聞く。


「旦那さまやーアサトやーベルたちと一緒に寝られる大きいベッドをかってほしいー」


 あーそういえば今のベッドは小さくて一緒に寝れてないんだよな。

 確かに一緒に寝られるベッドに変える必要はありそうだ。


「そうだな。アサトもベルもネムトも一緒に寝れるほうがいいしな」

「わーいー」

「んじゃ…俺とネムトでニ〇リにでも…」


 と言って立ちあがた俺の袖をアサトが引っ張る。


「……ん…連れて行ってアピール…」

「ほいほい。アサトも行こうな」


 こうして俺達は〇トリに買い物に行くことになった。

 ベルはすでにネックレスになって俺の首にかかっている。

 いつの間に…。


 そして家を出るときに後ろでニャルが吐血する。

 そして妙にかっこいい顔でこっちに叫ぶ。


「…ぐっ…俺に構わず先にいけぇ!!!」

「おう行ってくるわー。留守番よろしくな」

「……必ずいいベッドを買ってくるん…だ…ぞ…ガクッ」


 何してんだろうこいつ。

 静かに俺は扉を閉めて出かける。

 何も見てない何も見てない。



◆◆◆◆◆



 ―――お値段以上~ニト〇♪


 俺達は現在、広大なベッドコーナーでベッドを確認している。

 いろいろな大きさのベッド。機能性抜群のベッド。

 中に水のようなものが入ったなんか特殊なベッド。

 これは面白かった。

 アサトとネムトが沈み込むベッドに飛び込んで楽しそうだった。

 ただみんなで寝るベッドにはあってなさそうということで却下になった。


 ふーむどれがいいやら…品揃えがいいのも考え物だな。

 沢山ありすぎると悩んで困るんだよなぁ。

 と悩んでいるとそこにアサトがこっちこっちしてくる。


「…ナユタ…こっち…」

「おっ?いいのあったか?」


「こっちこっち」とアサトが手招きしている方へと向かう。

 そこには物凄い大きなベッドがある。こんなのあるんだなー。

 ベッドの説明表示を見てみる。


『ハーレムの旦那様。安心してください!

 7人くらいまでならセーフですよ!

 きっと奥様も許してくれ…おや?誰か来たよう…うわ、なにする、

やめ…あぁぁぁぁー………19,8000円…』


 ……説明は?

 まぁ文章の雰囲気から多分7人用だろう。多くね?

 これについてアサトに聞いてみると……


「…ん…ナユタ…モテるから二人分くらい多めにしといたほうがいい…」


 と断言された。

 モテるのか?俺、今のとこ恋人ならぬ恋神しかいないんだが?

 そしてこれについてもう一つの疑問があった。

 アサトは「二人分」といった。つまり5枠は埋まっているということだ。


 1. 俺 2.アサト 3.ベル 4.ネムト 


 おかしい…1枠足りないんだが?まさか俺の知らない間に妻が増えてるなんてことないよな……ないよな?


 若干の不安に駆られつつもベッドに飛び込んだネムトが気持ちよさそうにしていたのでこれでOKになった。


 そして会計はこれ。タラリラッタラ―♪ニャルズクレジットカード!

 あいつの稼いだ汚いお金は社会に還元せねば…



◆◆◆◆◆



 ―――帰宅後。


 そしてその夜。

 新しいベッドが立派に設置されている。

 俺がベッドに入る前に2柱+1冊が広いベッドに感動して、


「「「 おー 」」」


 と声を出しながら右にコロコロ、左にコロコロ。

 楽しそうだからいいんだが…これいつまでやるんだろう…。


 しばらくベッドの横から椅子に座ってこの光景を眺める。

 妻が増えてどうなるものかと思ったが…まぁこんな感じなら何柱増えても大丈夫だろう。

 もちろん相手の意思と妻たちの意思を尊重する前提だが…。

 それにこんなことはそうそうないだろう…うんないない……

 …フラグじゃないよ?


 気の済んだ2柱+1冊と一緒に俺は布団に入る。

 そしてコロコロ疲れでアサトとベルはすぐに寝てしまう。

 新しい布団って気持ちいいもんな。わかる。


 だが俺の横で一緒に寝ているネムトは眠そうな顔でこちらを見ている。

 そういえばこの状態って寝たまま動いてるって言ってたな。

 じゃあこれも一応、寝たままなんだろう。

 そんな感じのネムトがこちらを見ながらとんでもないことを言い出す。


「…結婚初夜ー?…」

「…何言ってんの…」

「しないのー?

 男の人ってーそういうの好きだってダゴン君から聞いたー」


 ダゴン君なんてことを…。いままでニャルがいじるくらいしかそんな感じの会話出てなかったのに。

 いかん。とりあえずこの局面を切り抜けよう。


「…ネムトはしたいのか?」

「…興味はあるけどー今はいいー。旦那様がしたいかなーってー」

「だったら俺もまだいい。いつかはするだろうけど…これからずっと一緒なんだし時間はいくらでもあるさ」


 そう言って俺は神様に好評のナユタハンドでネムトの頭をなでなでする。ネムトの眠そうな顔は緩んでさらに眠そうな顔になる。


「…ずっと一緒ー…えへへ―」

「ほら、寝ようネムト」

「うんー!」


 嬉しそうに抱き着いてくるネムトを抱きしめて俺も眠りにつく。


 ……いつかアサトに性についての教育をしておかないとな。

 小学校の図書館とかにある感じの。



 今日も我が家は平和です。

 そして我が家のベッドの上もギリ平和です。

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