渚沙とシャンタムをつなげる、その絆の行方とは!?

★ 【長】『渚沙の恋と捕まらない大量殺人犯ノート』作者……himekonさま

           『登場人物一覧(一部のみ)』


横尾よこお 渚沙なぎさ……「美」に独自のこだわりを持つ、天然・ムードメーカ的な性格が特徴の女性。時代劇に登場するような、美形俳優が好み。きれいな女性を見るのが好きだが、同性愛者ではない。柑奈かんな高校出身。幼いころから飽きっぽい性格でもあり、物事が長続きしにくい傾向にある。年上の男性が好きな処女。

 短大へ進学後、一時的にアメリカへ留学する。また二四歳で秘書の職に就いているが、地位や役職にはあまり興味がない。尽くすタイプの女性でもあり、積極的にボランティア活動に参加している。


せいナータ……もう一人のシャンタムと呼ばれている聖人で、三十五歳。日本で言うところの、天皇に近い存在。ナータの奉仕団体の活動内容として、医療が生き届かない場所を訪れ、無料で白内障の治療などを行う。


ミスター・カンナ……渚沙とは小学校からの同級生で、高校まで一緒だった男子生徒。天然の茶髪で色白、頬がピンク色に染まっている。サッカー部に所属しており、ホストのような容姿。

 だが同窓会で再会後、彼の容姿は別人のように崩壊していた。多くの女性がショックを受けたという説明があることから、その変貌ぶりは普通ではないようだ(ただの三枚目のおじさん)。


マザー……渚沙が留学先のホームステイで、お世話になった女性。小学六年生のませた女の子・小学一年生の癇癪かんしゃく持ちの男の子がいる。


渚沙の父親……エンジニア外資系企業の取締役。


聖シャンタム……トラタ共和国にいる聖人で、世のため人のために尽くしていると噂されている。「サンタクロース」のような存在とも言われている。年齢は七十歳くらいで、多くの女性から求婚されている。

 なお東京都港区に、日本シャンタム・ボランティアセンターという施設がある。


アディ……トラタ共和国出身者の四十代男性で、シャンタム・ボランティアセンターの家主。ビジネスホテル経営者のため裕福で、熱心者聖シャンタム信者。


セドール……シャンタム・ボランティアセンターで働く、四十代半ばくらいのフランス人男性。


カリル……渚沙より一つもしくは二つほど年下の青年。霊的な力に恵まれているとシャンタムから言われており、若き聖者として期待されている。二〇代という若さで、自分の寺院を所有している。


            『特徴・印象に残った点』


一 トラタ共和国の文化や宗教などの特徴について、しっかり丁寧に述べられていました。日本に住んでいるとこのような風習に触れる機会がないので、今作はとても新鮮でした。

 また多くの人から偉人とあがめられているシャンタムについて、客観的ではありますがどんな心情なのか知ることも出来ました。


二 渚沙がどんな人生を過ごしてきたのか、そして彼女がなぜシャンタムに夢中なのか――などがお話の中でしっかりと説明されていました。物語の中で渚沙の学生時代に振り返る場面があるため、彼女の性格や生い立ちについてよりはっきりと思い浮かべることが出来ます。


三 ある意味個性的な性格でありながら、どこか憎めない渚沙という女性がとても印象に残りました。彼女なりに信念があって行動しているため、自分の気持ちをつらぬくことが出来る強い女性なのだと思いました。


             『気になった点』


一 作品のボリュームと比較すると、少し登場人物が多いかなと思いました。バランスやさじ加減が難しいのですが、多くなりすぎると読者自身が混乱してしまいます。


二 物語の本題に入るまでの説明が、少し長すぎるかなと思いました。独特な世界観を感じさせるプロローグだっただけに、その点は非常にもったいないと思います。

 第一章・第二章をコンパクトにまとめてから第三章へつなげると、さらに読みごたえのある作品になるかと思います。


               『総合評価』


 冒頭部分に物語の軸を持ってくるという作風が、とても印象的でした。まるで渚沙の冒険記を思われるような流れでお話が進むので、現代ドラマでありながら独特の高揚感を体感することが出来ました。

 そして普段私たちが「偉人」「聖人」などと呼んでいる人たちについても、作品を通してしっかりと説明しています。そこには日本と異なる文化や風習もたくさん登場します。特にトラタ共和国の結婚観が日本と大きく異なる点がポイントです。その文化や風習の違いについては、実際に読者さまが作品を読んで発見してください。

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