純粋すぎる正義は時に人の心を惑わす、不思議な魔法薬となる

☆【長】『正義の味方と僕 改稿版』作者……大臣さま

             『登場人物一覧』


浅川あさかわ しょう……主人公。小学生のころから、「三月大学付属三月学園」に在籍している。本人いわく、勉強が得意だが性格は暗い。基本的に祥の視点で物語が進み作風となっており、一人称は僕。アパートの三階に住んでいる。

 響と一緒に調査を始めて以来、教職員からも注目される。まだ自分が危険な状況に陥ると、思わぬ力を発揮する。


星川ほしかわ ひびき……私立学校法人三月学園に在籍する、女子中学三年生。中学生からの在籍で、学校ではお嬢様キャラを貫きとおす。

 学生グループに絡まれてしまった僕を率先して助けたことから、正義感の強い女の子だと思われる。だが有言実行の変わり者でもあり、祥からはどこか距離を置かれている。


浦山うらやま 正之まさゆき……祥が幼稚園でいじめられていた時に、助けた。それをきっかけに、祥とは親友同士の関係になる。勉強は苦手だが、運動神経抜群のスポーツマン。目が悪い。

 

赤野……祥の同級生。性別はおそらく男性。


明野さん……祥の同級生。「さん」と書いていることから、性別はおそらく女性。


乃田のだ あおい……祥の同級生兼正之の彼女で、スクールカーストの女王さま。委員長となった祥・響の両名が真姫の財布盗難嫌疑をはらそうとした矢先に、なぜか学校を欠席するようになった。

 幼少期に児童養護施設『葉光園ようこうえん』で暮らしていた、いう供述がある。その理由については、両親から虐待を受けていたとのこと。茜という姉がいるようだが、今現在は別々の場所で暮らしている。


井川いがわ 真姫まき……祥の同級生。小学生の時の思い出発表で「祖母と裁縫をしたこと」と紹介したことから、愛称は「オバさん」になる。口数は少ないがお金持ち。またクラスメイトの財布盗難嫌疑をかけられてしまい、2カ月の停学処分を下される。


津山つやま 慎太郎しんたろう……祥たちの担任教師。


三野みの……井川家で働く家政婦。


山部やまべ りょう……乃田グループに所属している女子。髪形はショートカット。盗難事件に何らか関わっていると思われているが、真偽は不明。演劇部に所属。


河野こうの はる……山部とは幼稚園のころからの親友。だが小学校~中学校で友達付き合いがどんどん派手になり、性格も変わってしまう。


乃田のだ あかね……葵の姉。新しい家族に迎えられるが、そこで再び虐待をうける。その後自分が通う学校の屋上から、飛び降り自殺してしまう。


            『特徴・印象に残った点』


一 正義感溢れる女子中学生という設定をはじめ、少し内気な少年・スポーツ万能な少年など、どこにでもある学園生活という点が逆に魅力を感じました。特別頭の良い学生がいるわけではないため、親近感を覚えるような内容でもあります。


二 自分の信念を貫くという響の純粋さが、とても魅力的です。この純粋さは、まさに年頃の少女を思わせる作風があります。

 そして若干暴走気味の響を陰で支える、祥・先生たちなどのサポートも見どころです。主人公以外の登場人物も個性豊かなので、彼らの活躍にも期待して欲しいです。


三 いじめ問題についてもしっかりと向き合っており、被害者・加害者の立場をしっかりと書かれていました。こういった作風では被害者の心境がメインとなることが多いのですが、加害者についてもどんなことを思っていたのか書かれています。

 加害者の行ったことを正当化するつもりはありませんが、彼らにも深い事情があるのだと考えさせられました。


             『気になった点』


一 強いてあげるとすれば、登場人物の苗字に同じ漢字が繰り返し使用されている点が気になりました。


【例】

(a) 主人公の浅川 祥

(b) ヒロインの星川 響

(c) 同級生の井川 真姫


 登場人物の名前を考えることの難しさは重々承知していますが、物語では登場人物の紹介を名前ではなくとなっています。この苗字表記という方法を統一するのであれば、彼らの苗字について一部変更することを検討してみるのも良いかもしれません。


(a) 浅川あさかわ浅井あさいもしくは浅田あさだ

(b) 星川ほしかわ星峰ほしみねもしくは星村ほしむら

(c) 井川いがわ 真姫まき井上いのうえもしくは井口いぐち


 もしくはに変更すれば、私が感じたこれらの疑問点は解消されるかもしれません。


              『総合評価』


 スクールカースト(学校内における身分制度)をテーマにした作品として、とても面白かったです。学校生活で悪影響(いじめや不登校など)を放置すると最悪の結果になってしまうこともあるため、色々と考えさせる作品でした。

 また序盤で先にお話の結末を公開するという作風についても、独特の世界観を演出されているなと思います。学校生活は楽しいことばかりではない……ということを改めて実感させていただいた、そんな学園ドラマ小説です。


      『正義の味方と僕(改稿版)』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054887575911

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