一つの偶然から始まった、少女と青年の交流を描いた感動ドラマ!

☆ 【中】 『ユウとリナの四日間』 作者……奈月 沙耶さま

※ 読者目線で疑問点があれば質問して欲しい、という作者さまからのご要望ありました。


            『登場人物一覧』


リナ……主人公。日常的に母親から暴力を受けているため、心を閉ざしている。そのため自然と口数が少なくなり、友達はいなくなった。

 (a) 一年生のころという描写があること (b) 子どもはもう寝ている時間帯に放送する、テレビドラマを見るのが好き (c) ユウが着ていたTシャツをリナが着ると、裾が膝より下にきてワンピースみたい (d) ちゃぶ台の上に乗って洗濯物を乾かす、などの描写があることから、リナの年齢は小学校低学年~中学年くらいと思われる。


リナの母親……冒頭からリナを殴るという描写があることから、DV(domestic violence)と思われる。また一週間ぶりに帰ってきたという説明から、リナならびに家庭のことはあまり大切に思っていない可能性が高い。さらに家のお金を全部持って出かけるという描写から、金銭感覚が少しずれていると思われる。

 リナの家庭では、父親よりも母親の方が強い権力を持っている可能性が高い。父親が乗っていた水色の車を、まるで自分の車のように使いまわしている。


リナの父親……へそくりをするという描写から、父親自身も母親の性格に困っているようだ。だが慣れてしまったという説明があることから、少し弱気な性格か? 母親のようにリナへ暴力をふるうことはないが、母親がいない時はお風呂に入らないずぼらな性格。


ユウ……茶色がかったくせ毛が顔の周りでほわほわしており、目は丸い。リナは「おにいさん」と呼ぶが、年齢はそれほど若くはないようだ。「おじさん」と呼んでも違和感はなく、絵が上手。年齢は二〇代~三〇代くらいか?

 ベランダから見えるのは、工場の屋根・隙間から少し見える道路など。携帯電話は所有。冷蔵庫や洗濯機が使用出来ることから、電気は通っている。だがテレビ・カレンダーがない。固定電話もないのか? 掃除は苦手なようだが、簡単な料理なら作れるようだ。を作るという説明がある。

 午後の三時~四時前後に戻ってくることが多い? 土日の仕事はなし。


おじさん……トラックの運転手。トラックの中に日用品・食料品などを並べていることから、移動販売の業者だと思われる。同時に作中ではリナと一緒にいる男性を「ユウ」と呼ぶことから、本名であると思われる。


           『特徴・印象に残った点』


一 読者がその場にいるかのような作風が特徴的で、作品を読んでいると情景が浮かびます。また終始リナ目線で語られるためか、物語の過程をゆっくりと読みとることが出来ます。


二 青年ユウが寡黙という設定が、この作品の良さを引き出していました。仮にユウがもっとおしゃべり・暴力的な性格だったら、読み終えた時の充実感を味わえることはないと思います。


             『気になった点』


一 ユウの正体について。リナの問いかけにたどたどしくも答えること・日本語が独特の抑揚などであることから、耳が聞こえないというわけではないと思います。たどたどしくも、時折ユウがリナへ話す場面もありました。

 なおユウの正体における私なりの考えは、『総合評価』の考察で別途述べたいと思います。

 

二 リナが四日間ユウと一緒にいた部屋には、固定電話はないのでしょうか? テレビはないという描写がありましたら、固定電話については何も触れていなかったと思います。ただし、ユウが携帯電話を所有しているという描写はあります。


三 何の前触れもなく、なぜリナがユウの自宅を出ていくと言い出したのでしょうか? 第七話まで心を通わせていた描写が多かっただけに、唐突にリナが「自宅へ帰る」というのは少し違和感が残りました。リナが一人で自宅へ戻るきっかけとも呼べる、プロセスや人間心理を踏まえた説明がないと矛盾が生じてしまいます。


 なお作者さまは続編を執筆される予定なので、これらの疑問点は新作で解消されるのかもしれません。


              『総合評価』


 心の交流をテーマにした中編小説として、自信を持っておすすめ出来る作品です。お話の内容も決して暗いものではなく、日常をテーマにした点が良かったと思います。

 続編を作るという予定らしいので、上記に残した『気になった点』を改善すれば、さらに素晴らしい作品になると思います。


 そして心を閉ざした少女リナと寡黙な青年ユウとの奇妙な関係は、クリント・イーストウッド監督の『パーフェクト・ワールド』(脱走犯ブッチと少年フィリップの関係)に、どこか作風が似ていると思いました。同時にリュック・ベッソン監督の『レオン』(殺し屋レオンと少女マチルダの関係)についても、どこか共通点があるように思いました。(なお邦画の『パーフェクトワールド 君といる奇跡』ではありませんでの、ご注意ください)

 これらの映画が好きな方であれば、『ユウとリナの四日間』という小説はうってつけの作品だと思います。ぜひご一読ください。


 そして作中では語られていないユウという男性の正体について、私なりに考えてみました。以下主観となりますので、ご了承ください。


     『ユウという男性の正体における、私の考察(一部重複あり)』


  ユウの正体について――リナの問いかけにたどたどしくも答える・日本語が独特の抑揚などであることから、耳が聞こえないというわけではありません。たどたどしくもユウがリナへ話す場面もあることから、不器用な性格でありながらも、コミュニケーションを取る意思はあると思われます。

 リナの視点では、アルファベットで「U」という文字が書かれていたため、そのように読むという描写があります。さらに物語途中で登場するおじさんも、男性のことを「ユウ」と呼んでいます。

 これらのことを踏まえると、ユウの正体は(アジア人)ではないかと思います。西洋人のような描写は一切なかったので、外見はおそらくアジア系だと思われます。ユウという名前はため、私はそのように考えました。


 さらにリナへ危害を加える様子や素振りもなかったことから、リナの母親とは面識がない? ただし第一話で母親と一緒にいたかもしれないという説明があることから、その点については謎が残ります。

 同時に山の中で生活をしている・工場勤務・あまり清潔ではない部屋・日用品を購入する際に移動販売を使用、などから察するにあまり待遇の良くない職に就いていると思われます。


     『ユウとリナの四日間』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886099095

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