後悔と自責の念によって得た、未来の先に待つものとは……
☆ 【短】 『天使さま』 作者……天野 蒼さま
『登場人物一覧』
わたし……女性の主人公。三年も面倒を見てもらったという記述があることから、大学三年生だと思われる。錦戸に好意を抱いているようだ。
錦戸先輩……男性の大学4年生。殺害された白河とは恋人関係だったと、キャッチコピーに書かれている。イベント関係の会社に内定を取った。
詳しい殺害動機は不明だが、涙を流していることから突発的な犯行だった可能性が高い。
白河先輩……くりりとした大きな目・トリートメントが隅々にまで行きわたっているサラサラのロングヘアが特徴の、大学四年生。女性の「わたし」でもうっとりするほどの美人。
『感想・特徴について』
一 とても質の高い小説という言葉がふさわしいほど、文章がしっかりしています。ジャンルは「現代ドラマ」となっていますが、ミステリー小説のプロローグにそのまま使用出来るほど、内容が洗練されています。
二 作中に登場する言葉をしっかりと意識しており、それが『天使さま』という作品の良さをさらに引き出している作風がポイントです。さりげなく方言を使用している点についても、作品をより質の高い作品へ演出されています。
三 作品を読み終えた時、タイトルが持つ意味を知ることが出来るのもポイント。短編小説であるのが惜しく、この世界観を活用した長編小説があればぜひ読みたいと思いました。
『気になった点』
一 錦戸が白河を殺害した動機が不明なので、彼の心境をもう少し表現していただければ良かったと思います。もう数千文字ほど加えてもボリューム的に問題にならないと思いますので、錦戸の内面・白河との関係を描写して欲しいと思いました。
『総合評価』
短編小説でありながら、作品の世界観に最後まで引きこまれました。そして『感想・特徴について』でも述べましたが、この世界観を維持した続編などがあればさらに読みごたえの作品になると思います。
またこれは個人的な解釈となります。タイトルにあります『天使さま』とは、おそらく亡くなった白河のことを比喩していると思われます。
作中では錦戸と付き合っている白河に対し、「わたし」は密かに嫉妬を抱いていた可能性があります。そして作中ではそのような心理描写はありませんが、「天使」のように美しい恋敵(白河)がいなくなったことで、「わたし」は内心ほくそ笑んでいるかもしれません。……恋心を抱く女性というのは、時に怖いものですね。
『天使さま』
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