二人の瞳に浮かぶ虹の橋は、ほんのりと切ない青春の味
☆ 【短】『スプリンクラー』作者……八ヶ岳南アルプスさま
『登場人物一覧』
僕……主人公。吹奏楽部の部長。スプリンクラーの修理が出来るという、意外な一面を持つ。運動は苦手。
佐伯 由香……陸上部の女子部長。全国高等学校総合体育大会で、連覇を果たす。音楽は苦手。
男子剣道部主将……部長会議に出席する生徒。
『特徴・印象に残った点』
一 陸上大会で連覇を果たすという快挙を遂げながらも、その重圧やプレッシャーなどに押しつぶされそうだという心境が、逆にリアルで良かったです。優れた運動神経を持っていても、由香は一人の女子高生。心が成熟しているはずもなく、由香なりに周りに合わせようとする健気な姿が印象的です。
二 タイトルにあります『スプリンクラー』を通して語られる、二人の青春ドラマ何よりのポイント。同時に青春ドラマでありながら、恋愛に走るというありがちな展開にならなかった点も印象に残りました。
高校生という年頃の男女が登場するお話ですと、どうしても恋愛要素をイメージしてしまう方が多いかと思います。青春ドラマの素晴らしさは恋愛だけではない――そう語りかけてくるような素敵な作風です。
『気になった点』
一 主人公として活躍する男子生徒の名前を、物語のどこかで紹介していただければと思いました。後にあとがきで、作者さまの実体験がベースになっているとご紹介されています。仮名でも良いので主人公の名前を入れて欲しかった……個人的にはそう思っています。
『総合評価』
誰もが一度は思い描いた(似たような経験をされた人もいるかも?)高校生活の一コマを疑似体験出来る、そんな素敵な青春ドラマ小説です。文章も短編小説ながら分かりやすく、文字数も短すぎず長すぎずといった形にまとまっています。
また運動は苦手だが音楽は得意という主人公、運動は得意だが音楽は苦手という由香、この相反する特徴を持つ二人の個性が今作で活かされています。
さらに実体験を踏まえながら『スプリンクラー』という作品を書いた、作者さまの思いや情熱もポイントです。後に私の独り言でも述べる予定ですが、「現代ドラマ」というジャンルを書く上で重要なことは、自分の実体験をどれだけ作品に反映させるということだと思います。
仮に作者さまが音楽に興味がなく吹奏楽部に在籍していなかったら、『スプリンクラー』という作品が誕生していなかったかもしれません。あとがきで作者さまも語られていますが、吹奏楽部と陸上部の組み合わせは本当に面白いと私も思います。
青春ドラマ小説に興味がある方はもちろんですが、普段短編小説を読まない・現代ドラマというジャンルは苦手――という意識を持っている方にも、自信を持っておすすめします!
『スプリンクラー』
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