フレグモーネ

 馬にとってはやっかいな病気で、シェルは今のところなったことはなさそうだが、立腫れがひどいことから、予防には気を使っている。


 黄色ブドウ球菌などのそこらにいる雑菌が災いし、足がパンパンに腫れてしまう病気だ。

 後肢に出やすく、前肢の例は1頭しか見たことがない。

 一晩くらいで急激に足が丸太ん棒のように腫れ、痛くて馬は動けなくなる。悪化すると、皮膚が自壊して膿がドロドロ出てくる。熱を出し、弱ってきて、最悪の場合は、敗血症になって死に至る場合もある。

 だが、早めに対処すれば、フレグモーネで死ぬことは滅多にない、どちらかというと、よくある病気だ。

 ただ、問題は……完治しにくいことだ。

 経済動物としての馬にとって、致命的な病だ。


 一度フレグモーネになると、とにかく足が腫れ、治ったあとも腫れたままになってしまう場合も多く、さらに次もなりやすい。

 薬もだんだん耐性ができるのか、効きにくくなる。

 何度も足が腫れてしまい、しかも、見てくれも悪くなり、使い方に気を使うようになれば、乗馬クラブとしては、廃馬を考えることになる。


 昔、好きだった馬がフレグモーネで亡くなったので、私は随分と気を使っている。

 これは経験論で実際はわからないけれど……。

 血行が悪くなると、フレグモーネになる率が高くなるような気がする。

 秋口から冬にかけて多発するみたいだし、後肢のほうが前肢より血の巡りが悪そう……そして、痛いからといって動かないままにすれば、ますます悪化する。

 細菌性だから獣医さんに抗生物質を打ってもらい、患部に熱があるうちは冷やし、炎症が治まったら温める、が、良さげだ。


 ……が、きれいに元どおり! とはなかなかいかないやっかいな病。

 ならないに越したことはない。

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