第451話 驚異の《全チートフル装備》
「うっ……」
始めて見せた俺のガチ怒りモードに、余裕をかましていたケンセーがほんのわずかだけどたじろいだ。
でもそれも一瞬のことで、すぐにまたケンセーは余裕の表情を取り戻す。
「……ふぅ、危ないあぶない。セーヤくんに正面切ってスゴまれたのって初めてだったから、一瞬ドキッとしちゃった。うんうん、これがSS級の《
「言っとくけど今のは冗談じゃないからな?」
「分かってますよーだ。ふふっ、怒ったセーヤくんもワイルドで素敵だけど、でもでもセーヤくんに怒られるのはあんまし好きじゃない――かなっ!」
言って、ケンセーはまたもや華麗な足技による連続攻撃を繰り出し始めた。
壁際に追い詰めた今がチャンスとばかりに、その攻撃はさらに苛烈さを増してゆき――。
「くっ、この! また他のチートのパワーを吸い上げてブースト強化したな?」
「まだまだいけるよ? どやぁ!」
この調子だといくらでもブーストできそうな雰囲気だな。
なんせ『20世紀最後の暴君』は本来A級チートのはずが、既に今の段階でS級チート以上にハイパワーで威力十分。
鋭く強烈な一撃はガードするのも一苦労だ。
「これが《全チートフル装備》の力か……俺も《魔神》との戦いで使ったとはいえ、これマジで反則だろ――って、あっぶねぇ!?」
フェイントからの頭を狙った後ろ回し蹴りを、太ももの筋肉を総動員してしゃがみ込み、すんでのところで回避する。
バランスを崩して尻もちをつきかけた俺は、しゃがみ込んだ姿勢で追撃を警戒しながら次なる回避動作に移ろうとしたものの、しかしケンセーはそこで軽く距離をとった。
「うーん、これだけブーストしてもまだクリーンヒットさせられないなんて。そんなおもちゃの剣でも、さすがは『剣聖』ってところかな? すごいすごい」
「へっ、『剣聖』は全チートの頂点に君臨する最強のS級チートだぜ? あんまり甘く見るなよ?」
「甘くなんて見てないし? むしろ『剣聖』の強さはセーヤくんの戦いを見てきた私には、これ以上ないって程によーく分かってるもん。――でもね? 剣は剣でも、今持っているのは攻撃力ゼロのエアーソフト剣だよね?」
「ぐぬ……っ」
「その剣じゃいくら攻撃をされても、文字通り痛くもかゆくもないし? それが分かってるからセーヤくんもずっと防御と回避に専念してるんだよね?」
ケンセーの言うとおりだった。
エアーソフト剣は一応は剣だから『剣聖』の効果こそ発動するものの、中に空気が詰まった刃はどこまで行っても安全第一。
その攻撃力は限りなくゼロに等しいのだ。
これじゃ多数のチートからエネルギーを集め、S級チートを上回るほどにガンガンブーストしてくる今のケンセーとは、とてもじゃないが戦えない。
まともに戦うためには――状況を打開するには、エアーソフト剣に代わる武器が必要だ――!
「何か、何か剣はないのか……っ!」
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