第334話 俺のいけない右手ちゃん
さて、いったん状況が落ち着いた(?)ところで、改めて現状を確認しよう。
俺は風呂場であおむけになって、ティモテを後ろから抱きしめていた。
すってんころりんしたティモテを、ぎりぎりで滑りこんで抱き留め助けたのだから、まぁ当然の結果だ。
当然、なんだけど――、
「ん――っ」
ティモテが何かを我慢するような、甘えたような嬌声をあげた。
それもそのはず。
俺の左手はティモテを抱え込みながら、その形のいいおっぱいをぎゅむっと鷲づかんでいたのだ。
でも左手は割とどうでもいいんだよ。
――どうでもよくはないけど、とりあえずはまだごめんなさいがきくと思う。
なにせ俺には、かなり苦しいシチュエーションでも強引にごり押しでけむに巻いてくれる、最強のラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』があるからね。
そう。
問題はおっぱい鷲づかみの左手ではなく、右手なのだった。
俺のいけない右手ちゃんときたら――、
ふにっ。
「あん――っ!」
あろうことかティモテの股間に、がっつりグワシッ!と密着していたのだから……!
ついにというか、ついにやってしまったというか?
異世界転生して初めて、温泉でラブコメ系S級チート『ラッキースケベ』が発動したのだ!
やったぁ!
つまりティモテがえっちな声をあげたのは、俺の右手中指がぷにっぷにっとやわらかいクレバスに侵入しかけちゃったからであり、
ふにっ。
「ふ――んぁっ!」
な、ななな、なんという得も言われぬ感覚!?
温かくも未知の触感が、俺の指をぬるっと包み込もうとしている……っ!
「くっ、だめだ。これはいけない……!」
このままではガチの性犯罪者になってしまう……!
聖少女を性少女にしてしまうぞ……!
いけない、はやくティモテの股間から、俺のいけない右手を引っこ抜かなければ……!
しかし突然のイベント発生に緊張しちゃったティモテは、ぎゅっと太ももを締めた状態で身体を強張らせてしまっていて、俺が右手を抜こうとすると、
「あっ――ん――っ」
ティモテの股間に擦れてしまって、切ない声をあげちゃうんだよ……!
強引に引き抜くわけにはいかない……しかしこのままでもとってもまずい……!
「くっ、『進むも地獄、退くも地獄』ならぬ『進むも
むくむくっ。
「あの……? 背中に硬いものが……?」
……だって仕方ないよね?
ティモテみたいな純真無垢な可愛い女の子を裸で抱きしめたら、そんなの当然むくむくしちゃうよね!?
もう
「セーヤさん、入ってもいいでしょうか」
ウヅキのそんな言葉が、脱衣所から聞こえてきたのは――。
「実は、石けんを置き忘れてしまいまして」
まるでタイミングを狙いすましたかのようにやってきたウヅキに、
「え!? あのあの、ウヅキさん、今はなんというかいろいろと取り込み中なので!」
っていうかあの謎な石けんはウヅキの犯行だったのか!
「大丈夫ですよ、すぐに終わりますので」
「いやいや注意一秒、怪我一生っていうだろ? ここは極めて慎重な姿勢でもって事を運ぶべきではないかと、意見具申する次第でありますよ!?」
「ふふっ、変なセーヤさん。大丈夫です、持ってくだけですから。ちょっと失礼しますね――って、はうぁぁっ!!??」
扉を途中まで開けたところで、ウヅキがビタッ!と動作を止めた。
その視線はというと、後ろからティモテを抱きしめて胸と股間を触っている俺にロックオンされていて。
ウヅキは巻き戻すように扉を閉めると、
「ご、ごゆっくり~~」
くるっと後ろを向いて、脱兎のごとく温泉を後にしたのだった。
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