第155話 間違ってない、間違ってないけれども!
「ふむ、つまりはだ。どこぞに
「むっ、きさまっ! 我らは犬ではない! 誇り高き《シュプリームウルフ》だ!」
「ほほほ、さすがは
「だから我らは狼だと言っている!」
「その面倒くさい性格は代を変えても変わらんのぅ。じゃが悪く思わんでたもれ。《シュプリームウルフ》はSS級の中でも最弱。
「なにおう! この超年増のドラゴンめ!」
ひくっ――。
《
「……なんじゃと? もういっぺん言ってみるがよい、
「何度でも言ってやるのだ! このおばさn――」
「あー! はい! わかったわかった! 味方同士でいがみ合っても始まらない、な? みんなで仲良くしよう、な? な! なっ!!」
やばそうなNGワードを機敏に察知した俺は、すぐさま仲裁のために割って入った。
素早い対処のおかげで、すんでのところで事なきを得る。
「まったく
「いや別に人がいいわけじゃないけどね。成り行きというか」
自慢じゃないが俺はどちらかというと、自分と関係ないことに首を突っ込む
「なに、
「さすがです、セーヤさん!」
久々に聞いたな、ウヅキのそのセリフ……やっぱいいな、うん。
でも『真なる龍眼』ってば、実はぜんぜん見通せてなくね?
微妙にポンコツっぽいけど大丈夫?
「ま、それはそれとしてさ。せっかく会いに来てもらったところ悪いんだけど、今は最優先でシロガネの姉妹を探そうかなって思っててさ――」
「それならもう見つけておるのじゃ。ここから3キロほど北にある、大きな屋敷がまばらに立つ
「…………は?」
俺はぽかんと口を開けた。
周りのみんなも同じく「えっ?」って顔をしている。
「えっと、見つけたって、何を……?」
困惑するみんなを代表して尋ねてみる。
「もちろん《シュプリームウルフ》の幼い姉妹じゃが? いま探しておるのじゃろう?」
「いやまぁそうなんだけど……その、なんで分かるんだよ?」
「我が『真なる龍眼』を甘く見てもらっては困るのじゃ
すみません、甘く見てました。
ついさっき微妙にポンコツとか思っちゃいました。
今はとても反省しています。
「でも俺の『龍眼』では、そんなの分からなかったんだけどな」
さっき一応試しに使ってみたんだけれど、全く手がかりすら得られなかったのだ。
「
「マジか……」
「『龍眼』とは単に見えないものを見ること――ただ遠いものを見る千里眼には
《
俺の頭の中に一つの大きな建物、その内部がテレビ映像のように映し出されたのだ。
いや、みんなの驚いた顔を見るに、ここにいる全員がその映像を共有している……!
「これって――」
「
「こいつは驚いたね……」
「すごいです……」
「うにゅ」
「あっ、いたのだ! 妹たちなのだ!」
「これで決まりですわね!」
「この屋敷、たしかスコット=マシソン商会の古い保養所――」
凄い、凄すぎるぞ《
おかげで一気に解決に持っていけるぞ……!
俺は《
「ほんと助かったよ。ありがとうな、力を貸してくれて」
しっかりと頭を下げて感謝の気持ちを伝えたのだった。
「ぶっちゃけ
「本当に助かったよ。ありがとうな」
感謝の言葉を重ねて伝える。
「よいよい。それに
「いや、さすがにそれはどうなんだろうな?」
人としてダメすぎる気がする。
「それよりも、ここは愚かで蒙昧な思念が渦巻いておってかなわんのじゃ。はよう解決して
「……ずっと気になってたんだけどさ。その『
「何なんだと言われても困るのじゃが、好意を込めた愛称じゃよ?
「は!? ――って、それ、空を飛ばれたら面倒だから飛ばせないように牽制して、《
「最後は力尽きて倒れ込んだ
「間違ってない、間違ってないけれども!」
「ママー、変態がいるー!」
「しっ、見ちゃいけません!」
「そ、それでしたらわたくしだって!」
サーシャが勢いよく手を挙げた。
もはや嫌な予感しかしない。
「わたくしだってセーヤ様の熱いものをたっぷりと身体中に注ぎ込まれ、最後は
「だからなんで! わざわざそんな誤解を招くような言い方で張り合うの!? 《
「ママー、ヤリチンクソヤロウがいるー!」
「しっ、指差しちゃいけません! ヤリチンが
「
「はづきも、ちんちん、なでた」
「セーヤさんは、お風呂ですごく優しかったんです、えへへ」
「アタイも、えっちな下着の鑑賞会をする約束をしたね」
「おまえ……」
シロガネが完全に引いていた。
「くぅっ、こんなやつに我は身体を捧げねばならんのか……!」
「お前はお前で、なにを言ってんの!?」
「だって我の耳を差し出しただろう! 我らにとって耳を撫でさせるのは求愛の証なんだからな!」
うん、獣人族のココさんがそんなことを言っていたね……?
この求愛ルールは、《シュプリームウルフ》にも当てはまっちゃうんだね……。
「修羅場……」「七股……」「あんな小さな子まで……」「穴があれば手当たり次第……」「認知するのが男の責任……」
などといった、無実の俺を糾弾してやまない事実無根のひそひそ話が周囲から漏れ聞こえてくる……っ!
「よし! とりあえずは場所を移そう。話はそれからだ」
俺はそう提案すると、みんなを引き連れて、逃げるようにその場を後にしたのだった――。
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