第112話 デートのナイア 6 大きな穴の開いた……
「はいはいご馳走様でした! っていうか本当にカレシじゃないの? そんなアツアツなのに? うーん、でもそっかー。カレシじゃないなら、ナイアちゃん、いつものはパスな感じだねー。素敵な新作が入荷したんだけど、また今度かなー」
「いつもの?」
「うん、いつもの」
ナイアとココ、仲良しな二人だけにわかる符丁は、俺の独占欲をいたく刺激してきて、ちょっと気になっちゃうじゃないか。
「ココ、ちょっと待って――」
そしてどうしたことか、珍しく焦る素振りをみせるナイア。
「うんとね、ナイアちゃんはね。可愛くてえっちな下着を付けるのが好きなんだよ」
「……はい?」
えっとココさんってば、急になにを言ってるの?
よく意味が解らず思わず首をかしげてしまう俺。
「この前なんてピンクのひらひらレースがいっぱいついた、スケスケでムッチリピチピチな、しかもお尻に大きなハートの穴まで開いた、それはもうエッチすぎる紐パンをお買い上げだったしー」
「……え? 大きな穴が? お尻に開いた? ナイアが? ……ええっ!?」
い、いったい何の目的のために、パンツのお尻に穴が開いているんでしょうか!?
そしてそんなドスケベパンツをナイアが買ったって言うのは、それは確定的な事実なの!?
「ココ……。そういうことをだね、やたらめったら
「じ、事実……だと……!?」
まさかのご本人が認めちゃったよ!?
俺は今、異世界に来て一番の驚愕に襲われていた。
《
だってまさか、まさかナイアが――、俺の大好きな『えっちなお姉さん』だったなんて!
ただでさえ魅力的なお姉さんなのに、実はえっちでもあったなんて……なにそれ素敵すぎる!
はっ――!
そう言えば聞いたことがある。
高度な責任&ストレスにさらされ続ける有名人や指導者は、自らの心のバランスを保つために、代償行為的にある種の特殊な趣味や性癖を持つ、みたいな話を――!
「ぷんすか! ココだってそれくらいの分別はありますー! でもココの直感が、おにーさんにはそういうのがいいアピールになるって、告げてくるんだよねー」
「えっ!?」
そしてなにゆえ、ここでいきなり俺に話を振ってくるのか!?
「そうなのかいセーヤ?」
上目づかいに尋ねてくるナイアと、
「おにーさんは、大人のエロエロドスケベショーツが大好きだよね?」
商人の直感でもって、ズバリと指摘してくるゴスロリ店員さん。
「……そりゃあまぁ俺も男なんで、その、嫌いではないわけだけど……」
「ダウト! おにーさん! ココは男らしくイエスかノーで聞いてるんだよ!」
「あ、はい、イエスです。すみません、ちょっと興味ないかも的な要素を入れて、自分を硬派に見せようとしました……。えっちなお姉さん大好きなんです……」
「セーヤ……」
ううっ、ナイアの目が冷たい――、ことはなかった。
むしろなんかちょっと嬉しそうまである!?
「今度二人っきりで夜のファッションショーをしようね」
「なん……だと……!?」
夜のファッションショー!?
なにその魅惑の超絶パワーワード……!
なんていうかさ、単語にたった一言「夜の」って付くだけで、急にムーディな雰囲気になって、そわそわしちゃわない?
俺だけじゃないよね?
「セーヤに……好きな男の子に見てもらいたいんだ」
「!?!?」
それはマジで言っているのか!?
お尻に大きな穴の開いたドスケベパンツで、二人っきりの夜のファッションショーしちゃっていいの!?
なにこの斜め上すぎる急展開!?
思考が全然追いつかないんですけど!?
そんな俺が言えることと言えば――、
「もうこれは間違いない、この異世界は究極の理想郷だ。なにより俺のために存在している……! やっぱり異世界転生は最高だぜ!」
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