第8話 どうって、そりゃメロンぱいが――
「あ、あの、ありがとうございました。10体以上いたD級妖魔『ゴブリン』を、あんなにあっさり倒してしまうなんて、本当にお強いんですね。すごいです!」
戦闘を終えた――というか一方的に妖魔を
「な、なん……だと……?」
俺の口からはこれ以上ない驚きの言葉が漏れ出でていた。
だって走り寄ってくる――たったそれだけのことで、ブラウスの下で豊満なおっぱいが激しく揺れていたのだから。
それはもう、見事なまでに揺れている――暴れているのだ。
ばいんばいんが、ぽよんぽよんして、たぷんたぷんしながら、ぷるんぷるんしているのだ。
思わずガン見して、凝視して、目が釘付けになってしまうのも無理からぬことではないだろうか?
「な、なんという圧倒的な存在感……まるで、まるで大玉のメロンが波打っているみたいだ……っ!」
ごくり……
「……? どうされました?」
「どうって、そりゃメロンぱいが――」
「メロンパイ……? アップルパイのお友達でしょうか?」
「アップルパイ? ……ん? ……へ? ……はえ?」
ふと、我に返った。
目の前には美少女がいて、身長差があるから向こうが少し見上げるような上目づかいになっていて、それがまた可愛くて。
……
…………
「……違うんだこれは、ほんと違うんだよ。なんていうかその、なんでもないんだよ。なんでもないんだ。なんでもないったら、なんでもないから! 信じてくださいボクは無実です!」
「え、えっと……そ、そうです……ね?」
小首を傾げて、はてなマークを浮かべる少女。
と、とりあえず誤魔化せた、のかな……?
――にしてもヤバかった。
今のはマジでヤバかった。
ばいんぽよんたぷんぷるんする視覚的破壊力のあまりの鮮烈さに、完全に理性が崩壊してた。
インマイハート限定の持ち出し厳禁危険ワードを、思わず口走ってしまっていた!
さすがに今のはラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』をもってしても、笑って済まされない可能性がある。
異世界に来ていきなり「おまわりさんこちらです」だけは勘弁願いたいからな。
でもさ、俺は悪くないと思うんだよ。
だってぷるんぷるん半端ないんだもん。
駆け寄ってくるだけで、おっぱいめっちゃ揺れんねんで?
そんなん、揺れへんやん普通。
そんなん揺れる?
言っといてや、揺れるんやったら!
よし、状況を整理したことで、少し冷静になれたぞ――なれた気がするぞ!
「はは、これくらいの戦闘、大したことないさ、はは、はははははは……
でもほら、実際、あんな本当に大したことなかったからな。
一方的すぎて、準備運動にすらならなかったしね、うん。
オッケー、今の一連の流れはなかったことで。
はい、仕切り直し!
「それにチートの強さを改めて確認できたし、うん、良かったよかった」
「? 何か言いましたか?」
再びこてんと小首をかしげる美少女。
「ううん、独り言だから気にしないで」
それにしても、だ。
気持ちが落ち着いたところで改めて見てみると、ほんと可愛いなこの子。
「あの、このたびは助けていただいて、改めて、本当にありがとうございました」
言って、美少女は折り目正しく腰を折った。
黒曜石のような美しく長い黒髪がさらりと揺れる。
俺は黒髪ロングのストレートの清楚系の女の子が大好きだ。
左側にちょこんと結わえられたサイドテールも、ワンポイントで可愛らしさに華を添えている。
奥ゆかしそうな性格も実に好みのタイプである。
服装は白のノースリーブのブラウスで、胸にピンクチェックのネクタイ。
同じくピンクチェックのプリーツスカートで、足下は黒のショートブーツ。
アイドルって感じの服装はとっても似合っているけれど、森の中を歩くにはいささか不向きなように思えた。
何か理由があるのかもな。
そのへんはおいおい聞くとしてだ。
「容姿だけでなく性格もよくて。いきなりこんな美少女と出会えるとか、異世界転生ってばマジで最高すぎるじゃないか……!」
俺の、俺による、俺のための異世界転生……!
異世界に来てから既に何度目か分からない喜びを、俺はまたもや噛みしめたのだった。
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