12日目 免許合宿なんかできるわけないじゃん!ムリ!ムリ!ムリ!

 怒濤の七コマ。

 こんなスケジュールで身体が持つと思ってるのかと叫びたくなるほどには無茶な時間割を自動車学校という輩は強いてくる。朝九時から夜八時まで十一時間も自動車学校内か教習に拘束し、花の金曜日どころか娯楽の一つも楽しむ余裕がない。こんなことが二十一世紀の日本で許されて良いのかと憤りさえ感じるほどだ。


 ストレートに帰れたとすれば来週の木曜日には自宅に戻れるので、ようやく「来週のこの曜日もまたここにいるんだなぁ」という憂鬱な気分になることはなくなった。来週の金曜日は必ず自宅でラノベ読んだり惰眠を貪ることにしよう。どうせそのあと仕事とか量が増えるんだし、それくらいいいでしょう。ちょっとは休ませてくれ。メンタルが持たない。 現在でさえ、何度も言及しているように娯楽といえばラノベを読むことくらいしかこの自動車学校では許されていない。実際は公序良俗に反しない限りならなんでもいいとは思うのだけれど、自動車学校の周りに何もないのだからあらかじめ持ってきた積み本を崩すくらいが関の山となってしまう。追加で購入してきたラノベを合わせたとしてもギリギリ最終日まで足りるくらいの量となっているから、補充する暇がないという状態下でもしかしたら読み返すという自体も出るかもしれない。


 私はラブコメが大好物であるが、今回持ってきた積み本はファンタジーの比率が実に高い。ファンタジー小説でもラブコメ要素のあるものも少なくはないが、本筋は冒険だとか異能だとかアクションであって恋愛ではない。では何故そんなに積んだのかといえば、私は横文字のキャラクター名を覚えるのが非常に苦手という一点に尽きる。

 例えばハリー・ポッター。これはまだタイトルに主人公の名前が入っているからまだ分かるのだが、片手を超えるキャラクターが登場してくると「ちょっと待て、覚えるからそんなにいっぱい出てくるな」となる。学園ものでクラスメートや教師などたくさんのキャラクターが出ると更にキツい。なのでいつもより読むスピードが遅くなるので、そんな頻繁に読めないよということになってしまう。


 とはいえ、苦手というわけではなく短時間に読めないからという理由であるので、この時間がある隙に読んでしまおうと考えて大量に持ってきたわけだ。なお、読む読まないにしろ興味があれば発売日近辺には購入している場合が多いので売り上げにはきちんと貢献しています。

 中学時代の私は一日に最大十冊とかいう荒技を為したこともあったが、それからそろそろ十年が経過しそうな現在、そんなのは無理である。そもそも最近は肉体的疲弊からか一章ごとに小休止を入れている始末である。よく一日十冊とかできたよなと「昔は良かった」ムーブをしてしまいそうになるほどだ。


 しかし、それくらいしか娯楽がないとなるとやはり精神は疲弊する。ラノベは面白い作品ばかりだから良いのだけれど、やはり外に出れない慣れない場所となると居心地は良くない。上手いご飯が食べたい。そして家に帰りたいという思いが強い。

 路上教習で自動車学校の外に出たとしても何も知らない上にアップダウンの多い土地を走らされるので何も心は安まらない。田舎特有のイオンタウンの近くとか、店舗に入らなければただ交通量が多いだけのめんどくさい場所だからな。隣に乗っているのがかわいい女の子ならまだしも、辛気くさい教官の場合が多いのだからこれまためんどくさい。一昨日とかは教官と連ドラの話をしていたけどそれは特例なので除外する。


 とはいえ、あと一週間だ。

 早く家に帰りたいという一心でこれからもがんばっていきたい。


 さて、以下久しぶりの駄文コーナーです。今日は後輩とではないよ。


「あのさ、免許合宿って辛いの? 僕は通いで取ったからさ」


 つらいつらい。もう帰りたいレベルよ。


「へー。まぁ、あと一週間でしょ? 大丈夫じゃない?」


 どうだろ。ま、延長せずにしたいよね。


「延長したら一緒にお酒飲めないでしょ、久しぶりに会うんだからそれくらいちゃんとしてよね」


 はいはい。


「なにその返事。ひどくない?」


 これくらい普通でしょ。


「ははっ、そうだったね。そういえば」


 五年くらいで忘れるん?


「ま、それくらい経ったってことだから。僕だって変わったし、あなただって変わったでしょ」


 ま、お前はアイツと別れたし、俺もあいつと別れたわけだから。


「その話は禁止! もう思い出したくないし!」


 ごめんごめん。で、何の話だっけ?


「なんだっけ?」


 ……そんなこんなで明日からは複数人教習が始まるのでなんとかがんばります。

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