第23話 心の癒し
夢は深刻な思いを抱いていた。
呼吸も困難になるぐらいに。
だけどその中でも一歩一歩ずつ大人になっている様だ。
田中の言葉に考え込んでいる。
俺はその姿を見ながら挨拶して去って行った田中を見る。
「.....お兄」
「.....どうした?」
「.....何だろう。千って何だかその!良い人だね!」
「そうだな.....確かにな。.....お前にそう思ってもらえるのが嬉しいよ」
「.....でも嫉妬しちゃう」
「.....嫉妬?何で?」
それは分かるが。
でも嫉妬か、と思う。
そう考えながら夢を見る。
夢は、心が疼くの、と言いながら俺を見る。
そして、千には感謝してる。.....でも私は嫌、と言う。
「.....成程な。.....よく分かった。お前の心情がな」
「.....分かってくれる?お兄」
「.....ああ。.....なあ。夢。もし良かったらだけどこの後.....何処か行かないか」
「え!?じゃあ何処に行こう!?」
「そうだな。近所のショッピングセンターに行ってみないか」
「分かった!じゃあ行こう!お兄!」
夢は大喜びで表現する。
そんな夢を見ながら苦笑いを浮かべる。
それから俺達はそのままショッピングセンターに行く為の準備をした。
そうしてからそのまま表に出る。
すると夢は待ちきれないのかウズウズしていた。
「.....夢。落ち着け。ショッピングセンターは逃げないから」
「違うよ。.....お兄と一緒の時間を早く過ごしたからウズウズしてるの!」
「俺との時間?」
「そうだよ!お兄と一緒が楽しいの!」
「.....」
ウズウズする、か。
それを言ってしまっても良いのだろうか?
でも今はまだ早い気がする。
思いながら俺は顎に手を添えながら考える。
それから、取り敢えずだけど何をするか決めようか、と言ってみる。
すると夢は、そうだね.....えっと!ペットショップでしょ!玩具屋さんでしょ!色々見たい!!!!!、と言ってくる。
俺はそのはしゃぐ姿に苦笑しか出ない。
だけど嬉しかった。
少しだけでも元気になってもらえて、だ。
「夢。じゃあ行こうか」
「うん!お兄!」
それから俺達は見合ってからそのまま歩き出す。
そして近所のショッピングセンターにやって来る。
ふむ、と思いながら周りを見渡してみる。
今はイベント中の様だ。
何か賑やかである。
「お兄!早く!早く!!!!!」
「分かったから。逃げないから。落ち着け」
そんな言葉を交わしながらペットショップに先ず向かう。
するとそこにはシュナウザーとかが居た。
なんとミニチュアピンシャーもいる。
珍しいな、と思えるが。
値段たっかいな!?
「うわぁ.....可愛いなぁ.....飼いたいなぁ」
「そうだな。.....もうちょっと我慢したら買えるかもしれない。.....検討しておくから」
「.....お兄。有難うね。でも無理はしないで!」
「子供が大人の心配しなくて良いから。大丈夫だからな」
その様な会話をしていると女性の店員さんがやって来た。
もし良かったら抱いてみますか?、とその店員さんは話す。
俺達は驚きながら見合いながら。
そしておずおずと夢は言い出した。
えっと、じゃあ、と言いながら。
「先ずはアルコール消毒して下さいね。それからお嬢さんにアレルギーはございますか?それから.....あ。チワワちゃんが良いですかね?」
「この子はアレルギー無いです。.....チワワで良いか?夢」
「チワワが良い!可愛い!!!!!」
本当に笑顔が可愛いよな。
思いながら、うんうん、と納得する。
そしてチワワの子犬がやって来たが、ちっさ!?、と思ってしまう。
何故なら子犬だったからだろうけど。
目を輝かせる夢。
「うぁわぁ!可愛い!」
「言葉になってないぞ。夢」
「可愛い.....可愛いなぁ.....」
「この子は可愛いな。確かにな」
「やっぱり飼いたいなぁ.....お世話出来るだろうし」
そんな本音を呟きながらその子に頬擦りする夢。
夢は、でもお金がなぁ、とか言う。
そんな心配しなくて良いけどな。
思いながら店員さんを見る。
店員さんは柔和な顔をしている。
「ご兄妹様ですか?」
「あ。そうですね。.....兄妹です」
「.....可愛い妹様で」
「.....アハハ。確かにです」
そんな感じで会話をする。
そして俺は頬擦りをずっとしている夢に、その子じゃないけど家で動物を飼うか?、と聞いてみる。
すると夢は、駄目だよお金が、と言う。
またそれか、ええい面倒臭いな。
「ちょっと鈴さんに電話してくる」
「え?.....え?いきなり何で?」
「飼っても良いかの相談」
「.....え!!!!?お兄!?」
「お前が飼いたいって顔をしている。なら否定するのはおかしい。それにその子じゃなくてもお前の心の手助けしてくれると思うし」
「.....お兄.....」
みるみる赤くなる夢。
そしてチワワを抱いたまま固まる。
俺はその姿を見ながら店員さんを見る。
すいません。ちょっと電話してきます、と店員さんに言いながら夢の頭を撫でてから表に出る。
「.....鈴さんなら大丈夫とは思うが。.....それに飼うとしても俺の金だしなぁ」
そんな事を言いながらスマホで電話を掛ける。
すると鈴さんが直ぐに出てくれた。
俺は全てを説明してみる。
そして。
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