第17話 太陽、月子、幸春、幸雪、七家一家

思えば、この数日間でこの地球が1000周ぐらいしそうな相当な事が有った。

それはたったの数日間、だが、俺にとっては10年ぐらいの経験の様な気がする。

全て夢のお陰で周っている。

その夢が来たのが10月18日でもう少しで10月もマジで終わりそうだ。

後2ヶ月でクリスマス。

今年で俺は変わっただろうか、それとも変わってないだろうか、それはちょっと分からない。

だけど、そんな中でも一つだけ言える事があって、それは俺の周りが変わったという事だ。

夢が、鈴さんが俺を大切にしてくれて全てが明るく見えてきそうで。

今、その場所に手が届きそうだ。


「.....お兄?大丈夫?」


可愛い童顔で丸々な目をした、横の座席に座っている夢はその様に話す。

後部座席に俺と夢は居た。

そんな夢を俺は見ながら頭に手を添えて和かに接し考える。

明日、世界が終わろうとしてもこの子と鈴さんは居てくれるだろうか。

俺を助けてくれるだろうか、と。

いや、きっと大丈夫だな。

助けてくれる、と思うから。


「大丈夫だ。夢」


俺は呟いて撫でまくる。

にへらとした、俺自慢の義妹の夢を、だ。

その時だ。


「おいおいおいおい!くっらいツラしてんな矢島!」


七家が運転しながら、俺に言葉を吹っかけてくる。

全く、コイツの元気は何処から湧いて来ているのだか。

俺はその様に思いながら、七家をジトッと見る。


「やかましい。俺はボーッとするのが好きなんだよ」


「あ?そうなのか?でもそれって余り良くねぇぞ。精神的に」


「.....あのな.....元気過ぎるぞお前.....」


「うん。俺は元気だけが取り柄なんで」


いつも以上にやかましい。

コイツもしかして俺達が来る事で浮かれてんのか?

全然ついて行けない。

と、思っていると唐突に夢が俺に抱き付いて来た。


「ぎゅー!」


「お、おい夢.....」


「おお!良いね!俺もハグしてやろうか矢島」


「何言ってんの?お前」


気持ち悪い事を言うなよ。

俺はドン引きしながらスリスリしてくる、夢を撫でつつ外を見た。

家から大体、東のちょっと離れた所。

そこで車が止まった。


「因みに、俺ん家だ」


「.....お前.....」


「うわー!すごい!」


そこには、あまりにボロボロの家が有った。

築50年以上は経過しているかも知れない、家だ。

継ぎ接ぎだらけで、屋根も継ぎ接ぎだらけだ。

何だか家というよりかは、蔵に見える。

いや、嘘だろ?


「.....七家、苦労してんだな。お前も」


「まぁ、俺一人が稼ぎ頭なんでね。このザマよ。まぁ大丈夫だ。アッハッハ」


「.....」


俺以上にコイツは苦労している。

その様に思って七家の家を七家を見つつ思った。

すると、七家がエンジンを止めて、後部座席を見てくる。


「よし、取り敢えずはお前ら、先に降りてくれ。家には佐藤が居る筈だからよ」


「.....分かった」


「はーい!」


バンの後部座席のドアを開けて家の前に立つ。

そして目の前に有る玄関を見てから、横に有る機能するかも分からない様なインターフォンを鳴らす。

すると、直ぐに反応があった。


ガラガラ


「はーい。あ、矢島くんと.....あ、もしかして夢ちゃん?」


いかん場所を揺らしながら佐藤が出て来た。

夢はその佐藤に目を丸くしてから。

ニコニコしつつ、頭を下げて挨拶をする。


「こんにちは!十島.....じゃ無かった!矢島夢です!」


「.....こんにちは。夢ちゃん。.....凄く礼儀正しいね。矢島くん」


「.....ああ。そうだろ?」


少し背筋が凍りそうなんだが、何だろうかこの気は?

確認の為に見回したが、気は夢から出ている事に気が付いた。

何かライバル心の様な感じのオーラが夢から感じられるんだが。

まるで、佐藤に対しての敵視と言うか。

胸辺りを触っている。


「.....夢?」


「ん?あ、大丈夫だよ。お兄!」


何で佐藤に対して胸を見て、自分の胸を見てそんなに警戒しているのか。

ちょっと大丈夫そうには見えんがと俺は思いながら立っていると、佐藤が俺の手を引いて話し掛けてきた。

それなりにニコニコしている。


「ささっ。七家くんも入って来ると思うから、中に入って。夢ちゃんも。手を繋ごう?」


「.....」


佐藤に手を引かれる、夢はニコニコしていた。

が、何か別のオーラを夢から感じる。

その事に俺は、あ。

と気が付いたがまさかな、と思い、余り考えない事にした。

うん、多分大丈夫だ。



「夢ちゃん?わー!可愛いね!」


七家も入って来てから俺と夢と佐藤はリビングで目の前に居る子供を見ていた。

興味津々の目を夢に対して見せている姉妹が居る。

名を妹の方が(月子)。

姉の方が(太陽)と言うらしい。

そして、幼稚園児ぐらいの小さな男の子と女の子が二人だ。

男の子の名は(幸春)。

女の子の名は(幸雪)と言うらしい。

俺はその光景を見開いて見ながら夢を見た。

少しばかり恥ずかしいのか、おどおどしている。


「.....う、うん」


「わー。顔もとっても可愛いね!夢ちゃん。鞄も!わーい!」


しかし、七家から聞いてはいたが姉妹が夢と同い年とは思わなかった。

少しだけ夢を見て少し幼いと感じるのでは無いかと思って俺は心配している。

のだが、その心配を見抜いてかどうなのか分からんが佐藤が俺にヒソヒソで話し掛けてきた。

笑みを浮かべている。


「.....みんな優しいから.....きっと大丈夫だと思うよ」


「.....だと良いがな。七家に申し訳無いんだが.....」


本当に七家に申し訳無い。

こんな考えしか浮かばない事が、だ。

昔、俺にそれ相応に酷い事をしてきた連中。

鮫島とかも発達障害を理由に俺をイジメてきたから、どうにも同級生に対して複雑な気持ちだ。

相変わらず俺の身体は俺は嫌いだ。

その様に思っていると、七家が何か持って来た。


「取り敢えず、ありったけの食料を持って来たぞお前ら。.....うん?どうした?」


「いや.....ちょっとな」


「.....ああ、まぁ、大丈夫だ。チビ共は一応、礼儀正しいから.....余り心配する事は無いと思うぞ。矢島」


よっこらせと言いながら。

食料を、い草畳の中央に有るちゃぶ台に置いて七家はドカッと腰掛けた。

そして何か雑誌を丸める。

マイク代わりか。


「よし、じゃあ余興な。えー、俺と矢島は.....」


「「「「「いただきまーす!」」」」」


「いや、聞けよお前ら!!」


七家が丸めた雑誌を片手に叫んだ。

聞かずにお菓子や、甘いモノを食べ出した子供達。

俺らも七家を無視して、ジュースを入れて飲む。

そういや、酒を絶って結構経つな、俺。

夢の産物の一つだな。


「美味しい.....何処のマドレーヌだろう」


「よく分からんな」


「美味しい!」


「「ねー!」」


とりま大騒ぎだ。

って言うか、兄妹が居るってのはこんな感じなのか?

一人っ子だから、夢が礼儀正しいから初めての体験だ。

うーむ。


「夢、大丈夫か」


「うん。楽しいよ!」


「そりゃ良かった」


俺はその様に思いながらポッキーを食べる。

すると、七家がドカッと俺の横に腰掛けてニヤついた。

何だこの薄笑いは、気持ちが悪い。


「んで、早速だが.....お前は佐藤は狙ってんの?矢島」


「「ブッファ!」」


何を言ってんだこのアホは。

ジュースを思いっきり吹き出しわ畜生め。

何で佐藤までも吹き出しているのだ。


「ちょ、違うからね!矢島くん!」


「お、おう」


「怪しいのう、怪しいのう.....グフフ」


「ちょっと黙れお前。キモい」


その様に、会話していると何か背筋がゾクッとした。

俺は目をパチクリしてから。

視線を感じた方を見ると、夢が眉を顰めてムッとしていた。

胸を見ながら、俺に眉を顰めている。


「どうしたの?夢ちゃん」


「.....分からないけど、ムッとした!」


幸雪や、月子、太陽に言われた夢はプイッと横を向く。

俺はその夢に苦笑した。

佐藤と七家が?を浮かべている。

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