1章 第2話

突如だった。黒い雪がチカチカ光ながら降ってくる。

その時私は剣道部をやっていて今は休憩の時間だった。


「おい!皆外に出て見てみろよ!空から黒い雪みたいなのが光ながら降っているぞ!!」


剣道をしている1人の男性が声をあげて言ってきた。それを聞いた他の皆は出ようとして私の友達である子もそれに続こうとするので慌てて止める。


「ちょっとサヤちゃん、待って!」


「どうしたの?ヒナガ」


私はサヤちゃんに何か嫌な予感がするので外に出ない方が良いと伝える。けどサヤちゃんは気にしすぎだってと言い気にする様子もなく私の手を引いて外に出ようとする。

そして私はサヤちゃんに連れられて一緒に外に出て見ると私達の目の前でとんでもない光景が広がっていた。何故か急に苦しみながらバタバタと倒れる人達が次々と増え学校で授業を行っている人や部活をやっていた人がパニックとなっていた。


「ヒナガ·····これって一体何が起こっているの?」


「分からない、でも原因はあの黒い雪のせいだと私は思うの。だから早く急いで外にいる皆を中に入れなきゃ!」


私は無事な人達に声を掛けて倒れている人を中に入れるために近くが見た感じ息をしていない。もしかして死んでいる?それでも私は倒れている人を担いで剣道をしていた場所に入れてそっと転ばせる。


「ねえ、ヒナガ、私も倒れている人を運んだけど息をしていないの、これってもしかして」


「サヤちゃん、今は一刻も早く倒れている人を中に入れることです。それ以外の事は他の人がしてくれます。もうじきここは満席になるので私は次の人を助けて別の所に運んで行くよ」


「ちょっと!ヒナガもあんまり外に出ちゃ危険かも知れないんだよ!」


私の事を心配してくれるサヤちゃんの事がとても嬉しく思う。でも私は倒れている人達を放っておく訳には行かない。サヤちゃん心配させないように私は力こぶを作って大丈夫、これでも私はしぶといんだからと言って安心させる。

それを見たサヤちゃんは笑って「そうね、あんたはバカだからそう簡単にくたばる筈もないか」それを聞いた私は「それってどう言う意味」と言って頬っぺを膨らませる。


「冗談よ、ほらさっさと行きなさい、助けるんでしょ」


「うん、じゃあまた後でね!」


これがサヤちゃんと最後の言葉になるとはこの時は知るよしもなかった。


 ◈◈◈◈◈


「すみません!この人をここで寝かしてもよろしいでしょうか!」


「君は確か別のクラスの後輩の子だね。僕は委員長をやっているサダと言います」


「私は剣道部をやっていたヒナガと言います。委員長さん、すみませんがこの人の面倒を見てくれませんか、お願いします」


「分かった、ここは僕に任せてくれ。後、僕の事は名前で呼んでくれると嬉しい。おい!動けるものは何か布を持ってくれ!」


それを聞いた他の人達がサダ先輩が言われた通りの事を始める。命令もきちんと出来ていてさすが委員長って感じだった。私もまだまだやる事がある、頑張らなきゃ。私が教室から出ていこうとするとサダ先輩から声をかけられた。


「実は君の事を教室の窓から見ていたんだ。一生懸命に倒れている人を運んでいくのをね。だから今度は他の人達に任せて君は少しの間休んでくれて良いよ。大丈夫、あの黒い雪を浴びても大丈夫な人をうちのクラスにも何人かいたからその人に任せておくと良い」


「わかりました、じゃあ、お言葉に甘えて頂きます」


私は空いている席に座り休んでいると1人の女性がこちらに近づいてきた。何やら手には水筒を持っていてコップにお茶を注ぎながら私に渡してきた。


「良かったらこれを飲んで下さい。少しは落ち着くと思いますので」


「ありがとうございます。······あの、貴方は」


「あ、すみません、私はマイと言います。私の事も名前で呼んでください。実は私も貴方の事を窓から見ていたんです。あの、よく分からない黒い雪に怯まず堂々と外に出る勇気に何だか感心しちゃいました!」


私は、あはは、と笑いお茶を飲む。!?、美味しい。まさか、こんなに美味しいお茶を飲んだのは初めてだ。私はマイ先輩を見るとこのお茶自分のアレンジで作ったと言った。きっとこのお茶を売れるかも知れないかもと私は言うけどマイ先輩は気に入った人しか飲ませないらしい。どうやら私はマイ先輩に気に入られてるみたいだ。


「良かったらおかわりいりますか?」


「はい、おかわりします」


そうしている間に20分経った頃1人の男性が慌てて教室に入ってきた。何だかあの人様子が変だ。首もとを押さえながら何かを言おうとしている。丁度近くにいたサダ先輩が今にも死にそうな顔をしている男性に近づき話しかける。


「君は確か隣のクラスの生徒だよね。一体何があったんですか?」


「に···げて、急に襲われ···て」


「襲われた?」


「今······すぐに···倒れている······人から···離れて··················」


ドサリと倒れると皆は何が起こったのか分からない顔をした。皆は徐々に騒ぎ始めるがサダ先輩がその場を沈まさせる。サダ先輩は倒れている男に近づき首もとを見ている。


「首もとに何かに噛まれた後がある。この人はもう死んでいる」


皆はそれを聞いてまたしても騒ぎ始めるが「皆!落ち着いてくれ!」と言うが皆はそれでも落ち着かないようだった。すると1人の女性が声をあげる。私達はその声を聞いて見てみると、どうやら黒い雪によって倒れていた人が目を覚ましたみたいだった。女性はその人に近づきしゃがみながら大丈夫ですかと問う。しかし、一向に返事がないので何回か声をかける。すると急に少女の肩を両手でガシリと掴むと口を大きく開けて少女の首もとにガブリと噛む。少女の首は血がふき「へ?」と言う声で少女は倒れる。


「きゃああああああ」


誰かが悲鳴をあげる。たちまち教室の中がパニックになる。


「ヴあああああ」


「な、何だよお前、来るんじゃねえよ。来るな、来るなって言っているだろ!」


私は丁度そこにあった金属バットを取り出して頭に狙い攻撃をする。すると男性だった者は黒板の所まで吹き飛び倒れる。私は先程の人に大丈夫か訪ねる。


「あ、ありがとう」


「どういたしまして。皆さん!ここから一刻も早く出ましょう!何だか様子が変です!」


皆は教室から出ようとするが1人が立ち止まっていて出られない状況だった。早く出ろよと叫ぶ人がいるけど。その人は一向に出ようとしない。むしろ教室のドアを閉めて棒で塞ぐ。マイ先輩が何をやっているのと言うがその人机でさらにドアを塞いだ。


「ここから出ちゃ駄目!廊下にもさっきみたいな奴がいるの!」


「それって、先程のゾンビみたいなのがいるって事?」


少女は首を縦にブンブンと振る。そうなるとここで大人しく待つしかないみたいだけど。このままじゃいけない気がする。私はどうすれば良いか考えていると誰かが悲鳴をあげる。私は振り向くと先程攻撃して倒したと思った男性だった者が起き上がっていた。それだけではない、隣のクラスだった人が死んでいた筈なのに立ち上がっていた。他にも首を噛まれ死んだ少女まで立ち上がる。


「ちょっと!一体なんなのこれ!」


マイ先輩が私の背中に隠れて叫ぶ。私は皆を下がらせて前に出る。私は近付いてくる者を金属バットで殴ろうとするが物凄いスピードで私を通りすぎ他の人に近づき男性の首を噛む。男性は叫びながら倒れる。

訳が分からなかった、どうして私を無視して他の人を襲ったのか。私は先程の少女だった者に攻撃をするが後ろにいた他の者が腕を使い私の体をガシリと掴み動けないようにした。私は腕をほどこうとするが力が強すぎて動けなかった。


「っ!離しなさい!」


そう言っても離す筈もなくこうしている間次々と人が噛まれては立ち上がり立ち上がった人が襲ったりと繰り返してそうして増えていって最後は私だけが残った。私は何も出来なかった、ただ皆がゾンビ見たいな奴等の仲間になるのを見ていることしか出来なかった。ゾンビになった人達は一斉に私の方を見る。


「ひ」


私はかすれた声を出してこれから自分に来る結末を震えながら待つしかなかった。今も私の体をゾンビの腕で動けないようになっていた。しかし、一向に襲って来る様子がない。一体どうしたと言うのだろうか。するとゾンビが私の体から離れていく。何故?そう思っているとゾンビ達の1人が教室のドアを塞いでいた物を突き破り一斉に教室から出る。そして私はただポツンと立っているだけだった。数分経った頃に私はその場からへたりこむ。


「どうして私だけ助かったの?······そうだ、サヤちゃん、サヤちゃんは無事なの」


私はサヤちゃんがいた場所まで移動する。大丈夫、きっとサヤちゃんは無事だ。サヤちゃん、サヤちゃん、サヤちゃん、サヤちゃん、サヤちゃん、サヤちゃん、サヤちゃん、サヤちゃん。

私がこうして移動している間にも誰の姿がどこにもなかった。一体皆はどこにいるの。それよりサヤちゃんだ、お願い無事でいて。ついに到着した私は扉を開けるとそこは血まみれで人は誰1人もいなかった。


「あは、あははははは!」


私は笑った、ただ笑うしか出来なかった。


 ◈◈◈◈◈


私はこの後くまなく人がいるか調べて見たけどやはり誰もいなかった。結局残ったのは私だけ。私は一旦自分の教室に戻り着替えることにした。何故か知らないけど金属バットも一緒に教室まで持ってきてしまったけど。


「どうして私だけなの」


私は呟きながら剣道着けんどうぎを脱ぐ。それとしたの剣道袴けんどうはかまを脱ぐ。そしていつもの服をに着替えようとすると教室のドアが開いて誰かが入ってきた。私はとっさに振り向くとそこには包帯を巻いた人が立っていた。いや、人かどうか怪しかった顔まで包帯でグルグル巻きにされていてむしろミイラに近かった。それに目の瞳がギラギラと真っ赤に光っていて不気味だった。ミイラは私を見つめていた。自分が今下着姿だった所を見られて顔が真っ赤になるけどそれと同時に怖くて震えていた。まだ仲間がいたなんて、もしかしたら次は襲って来るかも知れない。


私は隣に置いてあった金属バットを握りいつの間にか恥ずかしさや怯えなどが消え目の前のミイラに近づき攻撃をするが避けられる。私は避けられたことに驚く、やはりゾンビになった者は身体能力が高いみたいだ。でも相手は一人、なら問題ないと思い構え直して次の攻撃をする。しかし、どれも全て避けられる、何か一瞬ミイラが喋ったような気がするけど気にせず攻撃を繰り返しているとミイラの目が激しく光だし金属バットを掴み握り潰した。

私はさすがにこれは驚くと持っていた金属バットを手から離す。まさか、ここまでだなんて。ミイラは私をじっと見つめている。私は体が震えて声を上げる。


「いや、こっちに来ないで!!······死にたくない!」


そんな事言ったて助からない事はわかっている。それでも、私はこんな所で死にたくなんてない。そう思っていると。ミイラが口を開き喋りだした。え!喋った!何で?しかし、自分が今、下着姿のままだった事を聞いて気づく。私は顔をより顔を真っ赤にしながら即座に着替えていく。

私は考える、さっきの人がもし生きているとしたらどうしてあんな格好をしているんだろう。それに今さらだけど私は組まなく人がいないか探して誰もいなかった筈なのにどこから来たのか分からない。


けど今は、着替え終わったらちゃんと謝らなきゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る