SxG(サッグ)~感染~

福島いるか

第1話 恐怖の年越し

2018年年末

日本は大晦日気分で世界はカウントダウンを待ち遠しくソワソワしていた。

4畳半一間の部屋に住んでいる男がいた。

そいつの名前は幾島 龍(いくしまりゅう)

平凡に1人部屋の中でテレビを見ながら年を越そうとしていた。

2019年まで後、4秒というところで外から奇声が聞こえた。


「キィーーーギャォ!!!」


まともとは思えないその声に龍は反応して部屋の窓を少し開けるとそこには近所のお爺ちゃんがとぼとぼ歩いていた。

龍は思わず奇声をあげるお爺ちゃんに声を投げかけた。


「うるさいんだよ!!」


そう龍が言った瞬間、白目を向き顔が焼けただれた様な姿のお爺ちゃんの顔が目の前にあり、首を180度回して龍に言った。


「ア…ァァァ…」


その口からはヨダレとは到底言えない液体が垂れているのを見て龍は完全に腰が抜けた。


「な…なんだよ…その姿…」


龍の目に映るお爺ちゃんは近所のお爺ちゃんではなくただの化け物だった。

そして緊張感がある中部屋で流れるテレビから新しい年を迎えた事を知らされた。


お爺ちゃんが1歩足を踏み出すとゆっくり龍は後ろに下がり相手の出方を見ていた。

龍の額から流れる冷や汗は少しづつ増してきた。


「(誰か…助けて…)」


そう思いながら救助に来るはずのない四畳半の個室で恐怖と戦っていると、お爺ちゃんの化け物が勢いよく龍に襲いかってきた!


「ギャォ!!」


その瞬間龍は自分の死を意識して目を閉じると龍に痛みが来ず、ゆっくり目を開くとそこにはお爺ちゃんの化け物が畳の上に倒れていた。

ホッと一息すると、窓にまた誰かが登って来て龍は玄関まで後ずさりしながら驚くとそこには女の人が立っていた。


「おい…早く逃げるぞ…」


そう言われたが、龍は自分の腰が一時的に動かないことを伝えた。


「腰が…」


「弱い男だ…」


そう言いながら化け物を避けながら龍を助けに行き先に女からマスクを渡された。


「マスク?」


すると、冷たい言い方で女は龍に言った。


「今は説明する暇などないから早くつけろ!」


そう言われ龍は急いでマスクをつけて女の人に抱えられながら自分の部屋の窓から飛び出した。

離れて2~3秒後に自分の部屋から煙が巻き上がりアパート一帯は白い煙に包まれた。


「セーフか…」


女はそう呟くと龍は先程の光景について知っていそうだったので聞いた。


「一体あれはなんですか?」


女は前を向きながら冷たく答えた。


「知らなくてもいい、博士の所についてから多分聞かされるだろうし…」


龍はよく分からないまま女に抱えられたまま見知らぬ博士の元へと連れて行かれることとなった。

龍は女に聞いた。


「名前は?」


女は一切龍の方を見ずに答えた。


「樫木 綾(かしき あや)だ…」


そう名前を告げたまま特に綾と龍は喋ることなく目的地に向かい続けた。

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