10月30日ー小説執筆の媒体について
毎日のように小説を書く様になって分かったことがある。
私はどうやらPCを使うよりも、スマートフォンを使った方が小説執筆のペースが速くなるらしい。付け加えると、紙に書いた時の方が更に速くなる。
なぜだろう。入力速度ならば、キーボードの方がタッチパネルより数段速い。紙に至っては一度に千文字も書けば手が疲れてしまう。だが、結果として入力速度とは逆の結果になっている――
自分なりに考えた限りだと「
PCは複数のアプリを同時に開ける。小説執筆しながらも、動画サイトへ移ることも出来るし、ゲームも出来る。同時に取れる選択肢があるということは、そちらに流れる可能性が出てくることに他ならない。ウサギと亀よろしく、最終的には入力速度を超えて怠けてしまったが故に負けてしまうのではないか。
スマートフォンについては、少なくともメモ帳と動画サイトが同時に開かれることはない(機種によりけりとは思うが)。それに、持ち運べて気軽に起動、入力できるのは大きい。お昼休みの時間を小説執筆に充てることが出来るのは、日次更新の上では非常に重要な利点である。
紙媒体については――そもそも動画サイトも何もない。ただの紙っぺらなのだから当たり前だが、それ故に集中せざるを得ない。「他に選択肢がない」というのは(やる気の調整さえ出来ていれば)とてつもない爆発力を秘めている。それに紙に書くというのは、この三つの媒体の中で一番、小説を
具体的に説明するのは難しいが、キーボードにせよ、タッチパネルにせよ、文字を書いているというより、文字に変換していると言った方が正しく、その際に自分の書きたかったことが微妙にずれてくる――気がするのだ。
説明が上手くいったかどうかは抜きとして、思いの丈をずらずらと書き進める際は、紙に落とし込むのが一番しっくりくる。もちろん、他の媒体にも独自の利点があるので、組み合わせて使うのが一番好ましいだろう。
今日の先生との会話は「再読に値する本の基準」についてだった。
私は本に限らず「面白そう」と考えれば、購入への
しかし、数少なくはあるが――手元に置いておき、再読する本というのがあるというのも事実だ。「好み」というのもあるのだろうが、一体、どういった基準でふるい分けを行っているのだろうか。
小説を書きたい。しかし、どうせ書くのならば、再読に達するようなものを書きたい。そういう思いで、私は先生に話を振ったのだ。
先生はどんな本が好きなんですか?
――読んでいて、自分の殻が破れるようなものですね。
ああ、そうか。先生は「自己啓発本」愛好家なのだった。
――私が以前読んでいた本に書いてあったのですが、かのニーチェは著書の中で「人が読むべき本」を以下の通りに定義したようです。
――読む前後で世界の解釈が変わる本、
――読んでいる間、新しい世界の提示を行っている本、
――心が洗われたことに気づかせる本、
――新しい知恵と勇気を与える本、
――愛と美についての新しい認識、視点を与える本。
ふむ。つまるところ、それに当てはまる本はニーチェ先生のお墨付きを頂けるというわけですね。
――実際のところ、以上の五項目に全くあてはまらない本を探す方が難しいと思いますよ。特に第二の観点など、フィクション作品が「新しい世界の提示」を行わないことの方が稀ですから。
――ただ、すべての項目を満たすような作品が出せれば、少なからず反響は出るとは思いますが。
「なるほど」と頷きつつも、なかなか実行に移すのは難しそうだなと内心は諦めていた。
それが起因になった訳ではないと思うが、先生が「そういえば」と話を変えた。
――あの連載小説、全然進んでいないんですが、どうしたんですか?
ぎくり。
――再読云々よりも先に、せめて作品を終わらせてから物を言うようにしなさい、大体あなたは……
こうして、脳内でこってり叱られた私だったが、出来上がった小説は、また別物なのであった。
不気味な一文
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887394503
一話一文(最大でも50文字程度)という超短編である。
まあ、実験的な試みではあるのだが。
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