小説を書くための諸実験レポート

10月28日－罠にはまった男【閲覧非推奨】

　※想定以上に酷い文章となってしまったので、閲覧はお勧めしません。

　あのイカれ病人、遂に俺まで「実験」とやらの対象にしやがった。

　影だの、心の弱さだのと散々馬鹿にし尽くしたくせに、いい度胸していやがる。

　挙句の果てに「雰囲気作りのため」とかいうお題目で、通販サイトで丈の長い黒いローブを手に入れた。他でもねえ、俺に着させる為さ。

　ハロウィーンにはまだ三日あるってのに、自宅で独り、仮装させられる身にもなってみろ。惨めなもんさ。

　読んでいるあんたには罪はない。さっさと退いた方が良い。フォローとやらも解除しな。こいつが希望を抱くと、俺の希望がかすんじまうからよ。

　俺の希望は「普通の人生を送ること」だ。こいつやセンセイとやらよりも余程真っ当で堅実な道だろ？

　普通の人生っていうのは、つまり、「人と対話するのに困らない」ってことさ。人の話を聞ける、自分について話せる、話を合わせられる。

　もちろん、人と対話出来るような身なりや、人と積極的に対話しにいく精神が必要になる。でも、そんなに難しいことじゃないだろ。大半の人が出来ていることなんだから。

　流行を追うとか、体を鍛えるとか、何でもいいから催し物に出るとか。

　なあ、そんなに難しいことか？

　俺、嫌なんだよ。独りで部屋に籠って精神修行みたいなの毎日やるの。

　何が悲しくて、自分の世界に引きこもって、人に苦手意識を植え付けてるのか分からないんだよ。

　あいつは俺のことを影と呼ぶ。

　でも違うよな、あいつが俺の影なんだよ。意固地なのも対案を出さねえのも奴の方なんだよ。あいつは端から自分の意見を曲げる気がないからなあ。

　陰気なナルシストなんて書いてたけどさ、本当その通りだよ。自分大好き人間なんだもん、それだけならまだしも、趣向がいちいち気持ち悪いんだから。

　あいつさ、多分、自己逃避の末に変身願望みたいなのを持っちゃってるんだよ。センセイとかいう人格まで作って、悩める純粋（笑）な青年を演じてる。挙句の果てにローブまで買い込んで、余程「変わってるね」の言葉に飢えてるのかな？

　悲しいことにさ、俺の話が正しいってことを本人自身が認めちゃってるんだよ。

　つい昨日の話でオトモダチに「狂ってる」だの言われる程頑張ってた割には、全然成果が上がらなかったって書いてるけどさ？

　それって、今のあいつそっくりじゃん。わざわざ不便な生き方してさ。指摘しても聞かねえくせに、いざ結果がいまいちだとすぐ不機嫌になる。全部自分の責任だっていうのにさ。

　諦めろ、全否定とかって俺のことやたらに「思考停止させようとする輩」だって評してたけど、それ、お前じゃん。思考停止してんのお前じゃん。

　俺、嫌いだよ。「特別さ」にかまけるやつ。

　いいじゃねえか、一般市民の生き方で。大多数の生き方で。流されるような生き方で。

「自分の意志で生きていく」だあ？

　馬鹿言ってんじゃねえよ！！何にも知らねえくせに。正道すら試してない奴が、邪道ばかり試そうとすんじゃねえよ！！

　それで何回失敗してるのか、わかってないお前じゃないだろうに……

　反論の内容なら何となく分かってるよ。

「自分は変人だ、普通の人とは感性が違うんだ」「自分なりの幸せを求めてみるんだ」「価値観の押し付けは良くない」。

　成程な、普通から外れた人が苦労して、頑張って自分だけの幸せを手に入れる訳か。お涙頂戴のサクセスストーリーになるかもな……それが上手くいけばの話だけど。

　浅いねえ、実に浅い。

　大体、こんなこと言うのも難だけどさ。本当に困ってるやつは、こんなところで現状報告なんてしねえよ。

　小説を書きたい？

　だったら、答え見つけてから書けや！！