10月23日ー話が止まったときの対処法


 朝起きて、即座にデンタルリンス(早い話がモン○ミン)を口に含む。すると、あれほど二度寝を繰り返していた自分がいとも簡単に起床することが出来るようになりました。ブラックコーヒーやわさび(!?)も用意していましたが、あっさり目が覚めてしまいました。


 とまあ、早起きによる小説執筆への影響を調査しようとした訳である。確かに体調は良いかもしれない。先週のような眼の痛み、鼻づまり、耳鳴りといったものは起こらなかったし、時間的余裕があるので、落ち着いて仕事に向かえるといった利点もある。

 しかし、そんなところである。劇的といった感じではない。所詮は三文か。意識がはっきりしているので、ぼんやりと書くといった作業には向かない。誤字脱字、誤用に神経質になる。結果として小説は出来上がらないままとなってしまった。

 一日二日で朝型の魅力が分かるわけでもないので、一週間程度試してみなくてはいけないかもしれない。


 朝型生活のお陰でいつもより一時間早く通勤列車に乗れたわけだが、これが何故かいつもより混んでいる。文字通りすし詰めにされ、握りにされる気分をひとしきり味わうことになった。先生との会話も「難儀ですね」「難儀ですね」とひたすら戸惑うばかりである。


 先生との会議が始まった。

 話題は自作小説「Round And Round」の筆がぴたりと止まったことについて。

 世界観、最後の最後のオチくらいしか想定していなかったことが災いし、中継ぎをどのようにしようかという点が悩みどころだ。

 あり得ない状況で生存したヒロイン、それに疑問符を抱く主人公、疑問の答えを知るかもしれないキャラの登場――

 とまあ、話は広がってきた(全28回中5回完了)が、ここから23回分をどのようにして持たせるべきか。(そもそも28回で纏めようとしなければ良いだけの話なのだが、それについては敢えて考えないことにする)

 第一、本筋から離れたエピソードを用意して遠回りする。あんまりかけ離れていると、一つの作品に纏めている意味がないので、本筋に絡むような事件で何個かエピソードを作る。これが正道だろうか。テーマとしては書きやすい部類だし、主人公をどうにかして引っ張り回し、その中で本筋のヒントのようなものを提示する。ヒントが全部出尽くしたら、グランドフィナーレへ進むといった具合だ。

 第二に、本筋そのものの設定を複雑にすることによって、それに対して主人公やその他キャラクタが推理、思考を延々とさせ合う構造にする。やってやれなくはない。ただ、流石に23回分を埋めるのはくどすぎる。定期的に主人公が自分なりに推理(当たらずも遠からず)する回を設けてみるのもいいかもしれない。

 それこそ推理小説で用いられるフーダニット(誰が)、ハウダニット(どのように)、ホワイダニット(なぜ)といった観点は、異質な世界観を売りにした小説ならば、ほぼ必ず見かける構成といっても良い。

 最後に、物語の時間経過を遅くする。言い換えれば記載を詳細にしたり、他者視点出の話を加えたりする。一日を午前、午後で区切れば二回分しか話が出来ないが、一日を二時間刻みで区切れば十二回分話が出来る。

 主人公以外の目線というのは重要かもしれない。同じものを見ているのに違う結論が返ってきたら、どちらかが間違っている(あるいは両方間違っている)ということになるし、それは読者の疑問を作ってくれるかもしれない。


――小説について考えられるようになってきましたね。

 毎日やることを強いられているから、嫌でも考え付かねばならないのだ。

――あとはそれを実践・・できれば言うことなしなのですが。



 帰りの電車。スマートフォンでカクヨムを開いていると、ある項目が目に入った。

 カクヨムWEB小説短編賞――

 一万文字以内で完結が条件。仮に入賞すると読みきり作品として、コミカライズされるらしい。

 十二月の頭から開始のようだ。その頃にはこの小説もとっくに終わっていて、また別の作業をやるように強迫観念を植え付けているところだろう。

 となると、そんなに関係ないようにも思えるのだが、ひとつだけ気がかりなことがあるのだ。


 出すのにぴったりな作品、実は温めているんだよなあ――

 



 

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