10月22日ー醜い箇所を分析する
ナルシスト。脳幹まことという男を表現する際に、一番最初に浮かんだ言葉である。自分自身のことをナルシストと呼ぶのは本物のナルシストではないと言われてしまいそうだが、しかし、実際に私はナルシストなのである。
自分が一番可愛い。幸せな時だけでなく、不幸な時ですら、そんな自分が可愛いと思えてならない。そうでなければ、こんな不幸アピールみたいな作品は作らない。
自分の本音は語った――「小説を書きたい」の文字を頁いっぱいに埋める奴と交流を深めたい物好きなどいないと。まさしくその通りだ。ぐうの音も出ない正論だ。
しかし、実際文字を埋めずに他のことをやっていたとして、果たして身になっていただろうか。目的のないネットサーフィンか、手慰みにゲームをする時間が僅かに増えるだけではないか。
それに――自分の気持ち悪さをひけらかすようだが――「小説を書きたい」と書き続けている間、私は半ば陶酔状態に入っている。それはきっと悪魔の魔方陣を作り上げるオカルトマニアと同じ気持ちなのだ。自分を特別で崇高で偉大なものにする薄暗い儀式をしているような。
そんなことをしている内に人間の格は下がり、より痛々しいものになる。人との認識のずれは激しくなり、いずれ「電波」のあだ名を授かること請け合いだろう。
しかし、私はそれでも繰り返すのだろう。そうでもしないと
また、ナルシストにも色々なタイプがある(持論)が、私は自身を陰気なナルシスト、あるいは内向的なナルシストと位置付けている。
どういうことかというと、おおっ広げにナルシストの性質を出すことはせず、内々で
とまあ、冒頭から気色悪い話になってしまったが、別に読者の皆様に不快感を与える為に発した訳ではない。上記は小説を書く為の分析ーー自分が何者なのかを素直に振り返った結果の一つである。こんなところで誤魔化しても仕方がない。
「陰気なナルシスト」であることが一体、小説作成にどう関係するのか。
まず、長所から挙げてみると、「自分が悦に浸れる」ことを何よりも優先するので、恥じらうべき、またはやりたくない(面倒くさい、難しい、見返りが少ないなど)ことでも、見返りとして悦に浸れるのなら、実行出来る。
よって、自分自身で何らかの実験を行い、その結果を報告するようなものは書きやすい。起こったことをただ文面に出すだけなのだから、「やる」というハードルさえ越えれば、これほど合ったスタイルもないだろう。
また、「ニッチなジャンル」も書きやすい。単に自分の世界にどっぷり浸っているからなのだが。どれだけひねた妄想が出来るかに依存しているが、まあ、ナルシストという性格上、わざわざ他人の猿真似だけすることはない。「○○出来る俺カッケー」を地で進むからだ。大体は「今まで誰かが考えていたけど、敢えてやらなかったこと」で済む話なのだが。
そして短所。自分中心であるが故に、我が強く、視野が狭くなる。先述の通り「敢えてやらなかった」ものを作ることがある。よって作品は万人受けせず、しかも、指摘やアドバイスをもらっても、素直に従わない可能性がある。どういう場合にそうなるか。もちろん、自分が悦に浸れなくなる時だ。
加えて陰気というのは、へこむとこじれる。より捻ったものを敢えて作ったり、やけくそな行動に出たりする。そこで「俺カッケー」と自らを慰めにかかるからより質が悪い。
よって「自分はこのままで良い」と思っている間は平和だが、「評価や名声が欲しい」と考え出すと地獄を見ることになる。
とまあ、自分の性格から適当に割り出してみた訳だが、もっと具体的な分析をしてみることにする。
私は人の感情というか、キャラクタを書くのが苦手である。というより、キャラの性格を作ったり、服装を作ったり、経歴を作ったり、風景を作ったりという舞台設計が出来ない。やれたとしても記号的なもの――「ここは病院」や「中年の男が一人」といった具合のものしか出来ない。キャラクタを増やすと、後で要らなかったとなることが多々ある。
原因としては様々あるが、第一に挙がるのは「詳細な描写に興味がない」という身も蓋もないものだ。興味がないなら仕方がない、稚拙な小説を書き続けるがよい。
ともかくそういった経緯で、自ずと登場人物ひとりの独白を一人称で延々と流す形式か、ふたりの対話形式を好んで書いている。現在書いている小説「Round And Round」なんかは相当無理をしている。
対して、不毛なこと、無意味なことを延々と考え続けることには自信がある。矛盾した例を挙げ、どうしたら両立出来るようになるか、または別観点からすればどうか、といったことを黙々と考えられる。「無意味なこと」とは「くだらないこと」と読み替えてもらってもよい。
つまるところ、この話のことである。
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