epilogue 東の風が吹けば
告白いたします。
「二人とも、今回の仕事、ご苦労だった」
「いえ、もったいないお言葉でございます」
私は、私たちはあの
外国の家具のひやりとした質感が、ひときわこの御家の高貴を主張する、いっそどこか空疎な部屋。
一際
あの〝
私たちは、この方の
ですから、お嬢様が卒業された今、〝少女〟の学友だった少女も消えなければなりません。この先は少女ではいられないのですから。
薊さんは今頃、今後の身の振り方を教わるための教育係の、その顔を見て、仰天なさっていることでしょう。
私達は将来的に、お嬢様の秘書として働くことになっています。しかし、学友の役をやっていた手前、いつまでも学校気分では困りますので、当分の間、私と梅さんは外国にいて、違う仕事をすることになっています。
その間に、私もすみれを消さなければなりません。
これから先は国家に関わるのですから。
「さぁ、いこうか」
「ええ、そうしましょう」
きっとまだどこか
この人だけは、変わらないのだなと思うと、どうにも嬉しさと羨ましさで、不思議な気分になります。変わらないでいられる幸運は、いっそ妬ましいくらいですけれど、私が変らざるを得ないからこそ、その分まで変わらないでいて欲しいのです。
それが、薊さんとすみれの誓いがあったことの証になるのですから。
私は、あの女を騙しました。
だけど、あの日の誓いだけは、きっと果たしましょう。
他の何が変ろうとも、行く先まで供に。
少女開花の音がする 大蔵くじら @umanohone7700
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