第3話 変化と維持

人間の中では、絶えずふたつの想いが葛藤している。

思いではなく、思い・・・


「変化を求める自分」と、「現状を維持したいと想う自分」

しかし、意識的にしろ無意識的にしろ、変化はしていく。

それが、成長であり、宿命である。


生まれた時から、終焉の時まで、意図しなくても変化は起きている。


「幸二、どうしたの?」

「烈子か・・・何でもない」

烈子が、転校してきたのも、俺の生活の上で、変化のひとつかもしれない。

でも、出会いがあれば、別れがある。


彼女とも、このままではいられない。

そう思うと、心なしか寂しくなる。

いつの間にか、烈子との関係に満足している自分がいた。


「幸二、今日暇?」

「ああ、予定はないが・・・」

「じゃあ、つきあってよ。放課後」

「また、スーツアクターか?」

もうこりごりだ。

俺には無理・・・

職業としている方に、申し訳がない。


「違うよ。図書館」

「えっ」

「もうじき、テストだからね」

「わかった」


高校を卒業すれば、会う機会は減るだろう。

でも、今は考えないでおこう。


出来る事なら、もうしばらくでいい。

この関係を楽しみたい。

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しばらくは・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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