ハロウィン

@zonbi-zio

第1話

【ハロウィンの日】




〈Prolog〉


10月31日。

この日はハロウィンの日だ。トリックオアトリートなどといってお菓子を貰いに行く、あの恒例行事。

しかもハロウィンは霊道かなんかと繋がっていて、お化けや幽霊が出るとも恐れられている。


僕はもう中学生だ。だから、あんな子供みたいな事は絶対にしない。それに霊道なども信じない。どうせ大人が子供をからかう為の嘘なのだから。


でも、何故僕は___



「何処、此処」



古い館の前に立っているのだろう。




〈one time〉


いやいやいや、訳が分からない。

先程まで自分の家でテレビを見ていたはずだ。なのに此処は明らかに家ではない。それに、こんな館は家の近くで見たことない。


もう一度当たりを見渡してみると、多数の木と目の前の館しかなかった。

そして森の中から、複数の鋭い視線が背中を刺す。

もしかしたら狼か何かかもしれない。だったら喰われる前に入れさせてもらおう。

最悪、人がいなくてもなんとか雨乞いや命拾いはできるだろう。


「失礼しまーす…」


ギギギ…と嫌な音をたて、館の扉を開く。

中は特に古臭くなく、むしろ全て新しい物のようだった。

床に敷かれる赤いカーペットに、壁に掛けられた三本セットの蝋燭。天井には小洒落たシャンデリア。

金持ちか何処かの家か?


赤いカーペットが敷かれる先を歩き、とにかく一直線に進んだ。この廊下は曲がり角がなく、真っ直ぐ歩くだけで良かった。


少し歩いた処に、人の話し声が聞こえた。

内容はよく聞こえないが、男の声だ。2,3人と言った処だろうか。

不幸なのか幸いなのか分からないが、そこの部屋のドアが少し開いていた為少し覗いて聞き耳をたてた。


「___Don't you think so?」

(そう思わない?)


「I don't know」

(いや知らねーよ)


「Halloween is Halloween today」

(そういえば今日ハロウィンじゃん)


「「I think so.」」

(そういえば)


彼らもハロウィンが好きなのか。見る限り、中学生より年は上そうだ。


「Well」

(まぁいっか)


「I want to drink tea!」

(紅茶飲みたい人!)


「「Yes!!」」

(はーい!)


「I would like to have some tea.」

(紅茶入れてあげるから称えろ)


「Thank you God.」

(ありがとうございます神様)


「Good」

(よろしい)


彼らの茶番に、思わず頬が緩んだ。

高校生以上であろう彼らが、あんなに子供っぽい会話をするのか。きっと毎日楽しいんだろうな。

そんなことを考えていた__



「What?」

(え?)


「……………あ」


僕は、彼らの中の一人の人間に見つかっていた。




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