第22話

「各班、出撃準備完了。いつでも行けます」

「順次出撃してください」

 小型のヘリコプターが1機づつ屋上に上り飛び立っていく。

「まさか人間相手にEMP銃を使う日が来るとは思ってなかった」

「人間相手というより仮面の無力化ですね。サンプル調査によるとEMP防御が組み込まれている可能性は高いみたいですが、まあ気休めです」

「気休めでこんな高価な武器を使う日が来るとは思っていなかったって意味ですよ」

「確かにそうですね」

 EMP銃は電子制御の兵器を無力化する非殺傷兵器として期待されていいたが、銃そのものが高価であるだけでなく、一度撃つたびに交換する必要のあるカートリッジが非常に高架でコスト面で正式採用を見送られただけでなく、有効射程距離が極端に短いというおまけ付きの銃であった。

 綾乃は、少し考えて機内据え付けの通信機を手に取った。

「3係長より各機。これより所定の計画に従い巡回を行い、ターゲットを確認した場合には速やかに無力化、拘束せよ」

 次々に返ってくる受諾の声を満足げに聞き、パイロットに行先を指示した。


 長丁場になると予期していた巡回は意外に早く新展開を迎えた。

『こちら3係4班。ターゲットを発見。これより降下し、いえ、待ってください。なんてことだ、ターゲット死亡!』

 通信機から聞こえてきた情報は綾乃にとって衝撃的だった。

「どういうこと?」

『わかりません、ターゲットはどこかからか狙撃された模様です。いま車が接近して、連れ去りました』

「車のデータは取ってる?」

『映像は取っています』

「計画に沿って巡回を続けてください。各班は第3勢力による介入に備えてください」

 その後も類似の報告は何件かあった。

 狙撃後の迅速な回収を考えるともっと多くの襲撃が行われていた可能性もある。

「この地点で降下しましょう。次のポイントは上空からの監視が困難です」

「わかった」

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